第126話 新情報と話し合いの末に
「カティよ、地下施設が見付かったら、その時はお主の
水魔法を使って、地下施設を綺麗に清めて欲しいのだが
そうしてくれるならば、私もこれ以上は文句を言わんよ」
「わかった、わかった、スオマの言う通りに水魔法で施設
を清めるから、お主は心配するな!マリタの土魔法も使い
施設の綻びも治すから、虫なども侵入しないはずじゃわい」
水属性使いのカティさんは、風属性の使い手スオマさんの
要望を全てのみ、スマオさんが嫌がっていた地下施設での
研究をすると言う目的を何とか出来る様にしたのだった。
俺も正直に言うと、虫は苦手ではある。
それも、この世界の虫は、日ノ本に生息している虫より
ひとまわり大きい虫が多いのだ。
下手をすると、人間くらいの大きさの虫も居る程なのだから
虫と言えど侮ってはいけない!
鴉でさえ、この世界では危険な動物である。
日ノ本では、鴉と言えば、狡賢いだけが取り柄だが、
この世界の鴉は、群れで狩りをしているのだ。そして
群れでの狩りで、獲物を取り捕食するのだが、その獲物
は動物だけが標的ではない。人間も標的にされる時が、
しばしばあるそうだ。
そんな危険な害獣などを専門に狩る者達が、この世界には
居るのだが、俺には関係の無い話なので、これ以上は何も
話す事は無い。
「研究施設も地下の遺跡跡に決まった事だし、残る問題は
ケット・シー族の村に残されている村人達の遺骸とケット・
シー族が溜め込んでいる鉄鉱石だけだが、如何せん...........
シーランド銃の生産が全然追いつかないんじゃ!」
オレークさんの突撃銃は、どの位まで生産できたのですか?
「残り後少しなのだが、好成の所と同じで、材料がカツカツで
材料が何時無くなってもおかしくない所まで、きておるんじゃ
どうしたものかの.....」
鉱石組合のヨウニさんから、数日前に買った鉄鉱石で、
この町にある鉄鉱石は御終いと言ってましたからね.....
「何じゃと!?」
ここ数ヶ月で、鉄鉱石を我々で殆どを買い占めましたから
もうこれ以上、シーランド銃組合に鉄鉱石を買い占められ
てしまうと、他の組合が仕事が出来ない状況になると言わ
れてしまっては、俺としても言い返す言葉も見付かりませ
んでしたよ。
「そっ.....そうか.....他の組合の者達の仕事が出来なければ
この島に暮らす者達が困る事になるからな....仕方ないな」
そうなると、残りの銃は、どうやっても作れないですよ!
「んっ......困ったな.....」
「好成さん!好成さん!お困りの様ですね?」
誰かが俺を呼んでいるのだが、何処から声がしているのか
と周りを見回してみると、居ました!
扉から手だけ出して、手招きをしている!?
俺は、その手招きに応じて、扉をくぐって部屋の中に入ると
その中に居たのは、ハルネフェルド村の村長の息子のヤーコブ
だったのだ。
ヤーコブ?どうしたんだ話があるのならば、皆の前に出てきて
話をすればいいじゃないか?
「いや......普通ならばそうしますけど、今は隠れてないと色々
と面倒な事になるので、こうして好成さんと2人だけで話しを
しようとしてます」
俺は、ヤーコブが何故か余所余所しくしている事に、疑問を
感じていたのだが、ヤーコブ本人が皆の前に出ることが出来
ないと言っているのだから、俺も無理にとは言えなかった。
「先程から話を訊いていたのですが、鉄鉱石でお困りだとか?
それならば、ボクに良い案があるのです!」
良い案とは何だ?
「アントンとイーナさんが話していたのを小耳に挟んだだけ
なのですが、何でもイーナさんの知り合いの船乗りが乗って
いた船だったんですが、その船が町から然程遠くない場所で
座礁してしまったとかで、汐の満ち潮で船が海面に現れると
言ってたんですよ」
うんうん!それで?
「はい!続きを言いますね。その座礁した船の積荷が何と....」
あっ!鉄鉱石だったと言う話なのか?
「何で先に言うんですか!」
俺はヤーコブの抗議を無視して、ヤーコブがもたらした有意義な
情報を精査しつつ、この幸運な......幸運?
沈没船は、引き潮で船体が現れると言っているが、どうも嫌な予感が
するのは気のせいなのか?
否!
きっと俺の予感は的中するはずだ。
直ぐにオレークさんやインガ婆様に相談しなければ!