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戦国の鍛冶師  作者: 和蔵(わくら)
122/129

第122話 理想の銃と現実の銃


俺は旧式と化した鋳型で作った来式銃を取り出すと、それを元に

新しく来式銃を設計し直していた。


まずは銃底を取り付けなくても、長距離射撃が出来るだけの性能を

残しつつ、命中精度も維持しなければ司祭様は納得してくれないと

思ったので、その2つをどうやって両立させるかが課題になってい

いたのだ。


今の状態でも、来式狙撃銃には及ばないが、オレーク式突撃銃並みの

性能はあると自負しているが、それでは司祭様は満足しないだろう。


そうなると、オレーク式突撃銃よりも優れた銃を作らなければならな

かったのだ。簡単に言っているが簡単には完成しない。


まず手を付けたのは、銃身の付近からだ。


銃身の下の部分の木材を火縄銃と同じ作りをしていたが、そこの部分

に棒状の取ってを取り付けてみたのだが、銃を撃つ時に狙いを定める

時に棒状の取ってがあると便利ではあるが、魔法球5型では威力が高過

ぎて棒状の取っ手を握っていても、撃った時に発生する衝撃を制御する

のは難しく、銃底を取り付けられているオレーク式ならば、次弾を撃つ

時でも照準を固定したまま次を撃つ事も可能だが、銃底が付いてないの

では、次弾を撃つ時に狙いを再度、付けないとわるく、とてもそれでは

司祭様が納得してくれるはずもなかった。


魔法球5型を使って居る理由は、4型より次弾を撃つ事が早い事である。

その特徴を生かしてオレークさんは、独自のシーランド銃を開発して

いたのだ。


俺も4型の魔法球の長所を生かした銃を開発したのだが、売る価格が少し

だけオレーク式突撃銃より割高になってしまい。オレーク式突撃銃に価格

で負けてしまう可能性もあった。


どっちにしても、ユニオンに買い取られる運命だが、発注される数で

オレークさんに負けてしまうと、何だか悔しいので、俺も鍛冶師とし

ての誇りがあるので、価格で負ける訳には行かなかった。


狙撃銃と短筒銃だけでは、オレーク式突撃銃の生産量には勝てなかった

のだ。


それ程までに、オレーク式突撃銃の発注数が来式銃を上回っていたのだ。

それを何とかオレーク式突撃銃と同じにする為に、今回の件が来式銃の

未来を切り開く切欠になったのだった。


話を戻す。


早く撃てて尚且つ威力を求めるならば、魔力球3型でも問題はないのだが

3型は射程が短いと言う欠点があったのだ。


だが、3型は価格が5型や4型よりも安いのだ。


欠陥魔力球3型と揶揄されていた3型だったが、俺は3型に秘められている

力を信じて魔力球を3型に変えてみた。


3型を試射台に固定して、何時もの様に試射を始めたのだが、3型の魔力球

は、オレーク式突撃銃の半分の距離しか飛ばなかったのだ。


それも、半分の距離まで飛んだら、魔法弾が威力を失くす瞬間に砕かれた

感じになり、バラバラになってしまうのだ。


俺は、魔力弾がバラバラに砕ける場所に的を置くと、直ぐに試射台の上に

置いている試作中を撃たせたのだが、どうも試作中をみてると、撃った瞬間

には魔力弾はバラバラになって飛び出している様である。


もう1度、色んな距離に的を置き直した後に、試作中を撃たせると、なんと

撃ち出された魔力弾が、バラバラに砕けたと思ったら的を粉砕して行ったの

である。


今のオレーク式突撃銃でも70m位までの射程があるのだが、その半分だと

35mでしかない!それでは司祭様がまた怒りだすのは判っていた。


だが、3型を使った来式銃ならば、誰でも練習しなくてもシーランド銃が

撃ててしまうのだ。前に銃を構え、そして銃の引き金を引くだけなのだか

ら、簡単なものである。後は魔力弾がバラバラに砕けて、銃の前に居た敵

を瞬時に薙ぎ払うだけなのだ。


司祭様に、この事を報告したら射程が短いではないかと、怒り出したのだが

俺は、この銃の長所を司祭様に根気良く説明したのだった。


「それでは、この銃は町人や農民でも、直ぐに的に当てれる銃だと言うの

ですか?でも好成様、射程が短いと簡単に撃てる銃でも、信徒に怪我人が

出てしまいます」


俺は、司祭様に戦場がどんな場所か説明する事で、司祭様に納得して貰った

のだ。戦場では何処に居様とも怪我をする時はするし。しない時はしないの

だ。それを根気良く司祭様に説明し続けただけだ。


長距離で敵の弓兵とかを倒したいのならば、来式狙撃銃を別途で買って下さい

と司祭様に言うと、司祭様は苦笑いしながら頷いていた。


後は戦術で優れて居れば、敵に後れを取る事も無い。


俺は心の中で、そんな独り言を呟きながら疲れた体を宿屋に向けて帰り出した

のだった。



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