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戦国の鍛冶師  作者: 和蔵(わくら)
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第103話 ニーロの覚悟とヘレナのお礼

俺はニーロ達に飛び乗ると、直ぐにニーロを教会へと向かわせた。

のである。教会に向かう途中に合った酒屋で、強い酒を買って行き

それと、服の仕立て屋が途中にあったので、針と糸を譲ってもらっ

たのだった。残るは、鉄の棒などがあれば良いのだが、無ければ直

に、ニーロを使いに出し鍛冶屋・黒猫屋に戻って貰い、オレークさ

んに頼んで、鉄の棒と炭を運んで貰う様にするつもりであった。


これ等は、刀傷を負った者への処置に使うのだ。どう使うかと言う

と、まずは酒で消毒した後に、熱した鉄の棒を傷口に近づけて、傷

口を焼くのだ。そうする事で、傷口から細菌が入り込むのを防げる

とともに、出血をすると言う意味もある。傷口を焼いた後に素早く

傷口を針と糸を使い縫うのである。


縫った後に、再度、傷口を酒に浸した布で、綺麗に拭き、傷口を常

に綺麗にする事が肝心であった。もしも、傷口を綺麗にしなければ

傷口を塞いだとしても、直ぐに傷口が膿んでしまい、膿が大量に出

て腐って行くだけなのだ。


そうこうしてる間に、俺達は教会に到着していた。


教会に入ると、凄い数の負傷者の呻き声が、外まで聞こえてきてい

たのだった。どれだけの激戦だったかを物語っている。


教会に入ると、近くに居た騎士を呼び止めて、事情を説明すると直

ぐに、重傷者の下へと通されたのだった。


負傷した兵士は、高級な鎧を身に纏って居たが、上半身は裸にされて

いたが、腕などには服の残りがまだ着たままになっていたのだ。近く

には切り裂かれた鎧が置かれていたが、切り裂かれた鎧を見ただけで、

人がした事で無いと悟ったのである。


傷口が鋸で切られたかの様な斬られ方をしていた。こんな斬られ方な

ど、熊にでも襲われたのかと思うほど酷い有様である。この世界での

傷の治療と言えば、回復術士が魔法と言う物を使い、軽い傷などは治

すのだが、此処までの重症な傷には、効果は無く直ぐに処置をしなけ

れば、彼女の命は助からないであろう。


俺と芳乃は、直ぐに彼女を助ける為に、行動を起こしたのだった!

彼女が着ている服が上半身に残って居たので、直ぐに服を切り裂き

彼女の上半身を完全に裸にしたのだった。


そして!


芳乃には、彼女の上半身を綺麗に強い酒で拭く作業をして貰っていた。

流石に男の俺が、助ける為とはいえ、服を脱がすなど周りの騎士達が

見たら、どう思うかなど明らかである!


その間に、俺は鉄の棒がないか騎士や司祭に聞いたのだが、何も無い

みたいなのだ。そこで直ぐに外に出ると、俺はニーロを大声で呼ぶと

直ぐにオレークさん達を呼んで来るように頼んだのである!伝える内容

は既にニーロい伝えて居るので、問題は無かったのだ。


俺は女騎士の壊れた鎧を更に、バラバラに分解すると、直ぐに教会の

食堂を借りると、釜戸で火を熾して鎧の一部である鉄を熱したのだった。


教会の食堂の釜戸の火力では、火力不足で中々鉄が熱くならなかったの

だ。早くニーロがオレークさん達を連れて来る事が出来れば、それだけ

多くの者達の命が助かるのだが、ニーロも解って居る!


全力で町中を疾走するニーロを見た町の者達は、妖精が町中に居る事を

不思議に思い騒ぎになっていたのだ。だが、ニーロは何も考えずに町中

を一心不乱に、黒猫屋へと駆けて行ったのだった。


黒猫屋に到着していたニーロは、直ぐにオレークさんに会い、主人である

好成の用件をオレークさんに伝えたのだった。オレークさんもニーロの姿

が何時もと違う事に気が付き、直ぐにダニエルとターニャに、持ち運びが

出来る鍛冶道具を揃えさせたのだった。


炭にSカンフックにふいごにヤットコ等を鞄に詰めると、直ぐにニーロの

鞍に跨り、救護所に向かったのだった。


ニーロが、全速力で町中を駆け抜ければ、教会までは10分前後と言った

時間で付くのであったが、町中には人込みなどもあり、全速力で走り抜

ける事は困難であった。その為に、オレーク達が教会に付いたのは、

黒猫屋を出てから、20分も後の事であったのだ!


ニーロも額に怪我をしていた。何故ニーロが額に怪我をしているかと言

うと、妖精の姿に驚いた町の者達が、ニーロに向けて石を投げ付けたの

だった。子供達や妻は怒って町の者達に、反撃をしようとしたのだが、

ニーロは、そんな家族を止めると、直ぐに主人の考えを家族に解らせた

のである!その為に、大事にはならずに居ただけなのだ。


少なくともニーロ達に、秋を動向させる配慮が好成にあれば、ニーロは

怪我をしなくても済んだのだが、ニーロは怪我などを気にもしていなか

ったのだ。


教会に付いたオレークさんは、直ぐに俺を見つけると、何をするのかを

訊いた後に、作業に取り掛かったのだった。教会の脇を借りて鉄を熱し

続けたのだ。もしも、オレークさんが来なければ、多くの者達は熱消毒

が間に合わずに、傷口が膿み死んで行ったであろう。


俺と芳乃に静は、傷口の熱消毒が済んだ者達の傷口を針で、縫い続けて

いたのだ。秋はと言うと、負傷者の破れた服を取り除くと、強い酒で傷

口を綺麗にして行っていたのだ。その後に、オレークさんが熱した鉄の

棒を傷口に中てて、消毒をして行くと言う流れが出来ていたのだ。


最初に助けた女性騎士も、今では静かな寝息を立てて寝ていたのだ。

その傍には、家族と思われる騎士達が、彼女を見守っていた!


「お忙しい所すまぬが、貴殿が部下達の傷の手当をしてくれた者です

すか?私は白の団のヘレナと言います。貴殿が治療した女騎士は、私

の娘です。娘を.....娘を助けてくれて、有難う御座います。うっぅぅぅ」


そう言うと、彼女は俺の前で泣き崩れたのである!



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