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06:朝食

 目が覚める。


 どうやらあのまま寝てしまったようだけど、きちんとベッドに横になっているし毛布も掛かっているようだ。


 目を開けると目の前でクロがだらしない姿で寝ている。また夜中に遊びまわったのかな、何かした時は私の顔を見ながら寝るくせがある。

 何となく予感はあるけど、後ろ髪を触ってみると適当に纏められている。もう、また私の髪に絡まりながらごろごろと転がって遊んだみたいだ。


 まあ、けど、ベッドの端で倒れたまま寝てしまった私を念動力でちゃんとベッドの中央に移動して毛布も掛けてくれたみたいだし、昨日はお風呂に入ってないし、ちょうどいいかな。


 クロを起こさないようにベッドを出て、浴槽にお湯を張る。

 ローブを脱ぎ、陰陽浄衣も脱いで椅子にかける。マジックアイテムは洗濯とかしなくても自動的に元の綺麗な状態に戻ってくれるから便利で楽だ。着たきりで過ごしても綺麗なままとかズボラになるよね。


 まあ、下着はそうはいかないので水魔法で浴槽のお湯を切り取り宙に浮かせ、脱いだ下着をお湯の玉に入れ水流を作る。


 頭からシャワーを浴びる。

 手で髪をすくと結構絡まっているし、ベタベタする。クロ纏まらないからってぺろぺろと舐めたなあ。

 うーん、そんなに時間が無いし石鹸でいいかなあ。……なんか最近適当になってきているなあ。


 ザブンッ!

 「ふんふんふーん」

 いつの間に起きたのか、浴槽でネコカキをしているクロ君。

 「ちょっとクロ、体洗ってないでしょー」

 「我は綺麗なのだー」

 「そんなわけ無いでしょー、召喚!」

 浴槽のクロが光と共に消え、私の手の中に現れる。

 「はい、いいよー」

 クロは召喚すれば、元の綺麗な状態になる。便利だね。ぽいっと。

 「うっきゃー!」

 ザブンッ! 楽しそうに悲鳴を上げながら浴槽のお湯の中に落ちていくクロ君。


 チャプン...

 浴槽に広がる黒髪。

 「伸びたかなあ、切ろうかなあ、」

 「ダメなのだー」

 私の立てた膝の上に上半身を乗せて、ぷかぷか浮いているクロが言ってくる。

 「クロさー、私の髪で遊んじゃダメっていったよね?」

 「遊んでないのだー」

 「あんな雑な纏めかたじゃ誤魔化せてないからねー」

 立ててた膝をお湯の中に引っ込める。

 「ぶくぶくぶくぶくー!」

 お湯の中でクロが何かを叫んでいる。



 チャプン...


 そろそろ出ないとメイドさんが起こしに来ちゃうね。


 浴槽から出てアイテムボックスからタオルを出し髪の水分を取る。


 ぶるぶるぶるぶる!

 クロが部屋中に水滴を飛ばす。もー、もうひとつタオルを出しクロを捕まえる。

 「はーなーせー!」

 嬉しそうにタオルの中で暴れるクロ君。

 「ほら、風魔法で私の髪責任持って乾かしてよねー」

 体を拭きながらクロにお願いする。

 「しょうがないにゃ~」

 タオルから顔だけ出したクロが風魔法を器用に操り私の髪を乾かしていく。


 髪はクロに任せて、洗って風魔法で乾かした下着をアイテムボックスにしまい、新しい下着を取り出す。まあ、気分の問題です。

 服は...朝食食べたら出かけるし、わざわざ部屋着に着替える必要は無いかな。陰陽浄衣を着て魔王のローブはアイテムボックスにしまう。






 「…………」

 目の前に、フルコースというか、凄い量の料理が並んでいる。なにこれ?

 「えっと、朝食?」

 シェフ達の前にいるメイドのメルカさんに聞くと、元気よく答えられる。

 「はい、お好きなものを言っていただければシェフが切り分けます」

 うん、お肉とか丸ごとだもんね。そういえば一泊金貨五十枚もする高級宿には泊まったことなかったかも、これが普通なのかな?


 しゅぱ! たしっ!


 がぶっ!


 がつがつがつがつ!


 うん、そんな気がした。

 クロが肉の塊に飛びつきがつがつと食べだす。さすがにその量は食べれないと思うよ?

 ていうか、さっき綺麗にしたのに、もうお肉の油まみれとかやめてよね! おバカ!


 「あ、あの、」

 困惑気味のメルカさん、けど視線はクロ君に釘付け。まあ、自分の数倍はある肉の塊にかぶりつく姿はなんか可愛いよね。

 「あー、うん、気にしないで、取り合えずパンとシチューをお願いします」

 さすがに朝からお肉は重たい。

 「はい、かしこまりました」


 がつがつがつがつ!

 ぱく、と葡萄をひとつ。

 がつがつがつがつ!

 紅茶をひとくち、うん、おいしい。

 がつがつがつがつ!

 …………肉汁にまみれたクロを一同が黙って見つめる。あれって簡単に綺麗になるの? って召喚すればいいのかぁ。

 がつがつがつがつ!


 クロが肉の塊を食べきるまで食事が続いた。


 というか、朝食の時間はとっくに過ぎているよね。なぜか完食したクロに拍手しているメルカさんにお願いする。

 「明日から厨房で一人分だけ切り分けて持って来て下さい」

 (なぬ! 毎日これでいいのだ!)

 (ダメでーす。というよりクロ君食べ過ぎでーす)

 (くくく、あの程度の肉など朝飯前なのだ!)

 (もう朝食の時間大分過ぎてまーす)

 (むぅ!)

 明日から二人分の量の食事だけを持って来てもらう事にする。


 朝の空いてる時間に冒険者ギルドに行こうと思っていたのに、計画が台無しです。


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