表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
37/41

36:私vs私その2

 「もし私が死体になっていたら、そのまま迷宮に吸収させる事」

 「お嬢様、なにを」

 「これは命令。お願いね」


 メイド長は私の命令には絶対に逆らえない。だからもしもの時のための用意だけはしておく。

 私が死体としてボス部屋にいるということは負けたということで、クロも消えているということ。だから私の冒険もそこで終わりでいい。

 ただそれだけの事。


 フジワラ君、カーサ、テレスさん。色々な人の顔が頭に浮かぶ。うーん、なんか私本当にこのまま死んじゃうみたいだなあ。

 「リン、自ら死亡フラグを立てに行くとは上級者だな!」

 「えー、これフラグなの?」

 「うむ、最上級のフラグなのだ!」

 「まあ、けど、ねんのため、ね」

 「だが、洗脳してあるこいつ等ならば隷属の呪縛など織り込まれずに安全に復活できるのではないか?」

 「んー、別にいいよ」

 「そうか、」

 「うん。それに、死ぬつもりも無いしさ、でしょ?」

 「うむ。我がいる以上勝確なのだ!」


 なんかしんみりしてしまった。けど、負ける気が無いからといってその時の対応を考えないなんてただのおバカさんのすることだ。負ける事自体が最悪の結果なのにその後も最悪が続くなんて救いようが無い。考えるのは嫌だけど考えないことはただの逃げでしかないのだから、そうなった時の結末は決めておく。

 ただそれだけの事。


 メイド長さん。無理な命令をしたせいかちょっとなんていうか、うん。そうだ、必中の剣を一本あげようかな、うん。

 「家宝にします!」

 うん、そう? 好きにして。


 七層に残したメイドさん達も合流した。

 どうやら既に変化は始まっているらしい。急がないとね。


 最下層ボス部屋。なんだか色々と駆け足できた感が否めないけど、これが最後の戦闘になるのかな。

 「じゃあ、大詰めだね」

 メイド長さんによろしくねと言葉をかけ最下層のボス部屋へと入っていく。





 背後で扉が閉まる。

 「始めようか、」

 糸を放つ。敵が出てくるまで素直に待っている気など毛頭無い。感知されない範囲、私の後ろから次々と糸の結界を作っていく。


 正面の奥が光輝く。何が出るかなー?

 光を見ながら命じる、一瞬で灰色から漆黒に染まる魔王のローブ。


 魔眼を発動する。

 クロに糸を絡ませる。


 漆黒のローブに身を包んだ私が現れる。


--------------------------------------------------------------------

名前:――

スキル:(特殊)言語翻訳、アイテムボックス、魔眼

    (技) 隠密5、罠解除1

    (魔法)召喚魔法(式神)、空間魔法5

        炎魔法2、氷魔法4、雷魔法5、鉄魔法3

        光魔法、闇魔法5

    (自動)HP回復、MP回復、クリティカル

        魔法耐性、統率4、状態異常耐性


装備:

   聖魔の糸+5:HP回復、MP回復

   陰陽浄衣:魔法耐性

   素早さの靴

   魔力の腕輪

   力の腕輪

   ウサギの尻尾:クリティカル

   魔王のローブ:状態異常耐性、専用装備

--------------------------------------------------------------------


 お見事。完全に私をコピーしている。

 ひぅんと鳴り糸が私を襲う。それを私が放った糸が絡め取り。私が召喚を始める。


--------------------------------------------------------------------

名前:――

スキル:(特殊)言語翻訳

    (武技)剣術5、槍術5、格闘術5、弓術5

    (技) 隠密5

    (魔法)炎魔法5、氷魔法5、雷魔法5、鉄魔法5

        光魔法5、闇魔法5

    (自動)HP回復5、MP回復5

--------------------------------------------------------------------


 おっと、そうきたか。クロじゃなくてユウキ君が召喚された。ユニークスキルは見事に吸収されている。

 (クロ、相手の糸は見えてる?)

 出現したユウキコピーに向かって縮地を発動しようとしているクロに聞く。魔眼で見ている景色には直線、横と見えない糸が既に張り巡らされている。

 (ぬ、見えてない?)

 (だね、縮地はなるべく控えたほうがいいかも、やるなら念動力でバリアみたいなの張ってね)

 (うむ、どちらから殺る!)

 (私コピーから殺りたいけど、さすがに難しいかな。ユウキコピーは耐性関係のスキルが無いからその辺りから攻めようか)

 (うむ、というか、こいつ武器持ってないぞ)

 (お? おー、もしかして)

 (うむ、リンの悪辣スキルの賜物だな)

 しかし、クロに向かって伸びて来る糸を払うのに手一杯で、援護が出来そうに無い。私ってこんなに面倒くさい敵なのね。

 (クロ、ユウキコピーをこっちに持ってこれる? もしくは念動力で吹き飛ばせる?)

 クロに絡ませていた糸をユウキコピーの首へと移動させたところ、私コピーの魔力を混めた糸がいとも簡単に断ち切ってきた。

 距離が近い分あちらの糸の方が対応が早いし、こちらの対応が遅れてしまう。つまり向こうの陣地で戦うのは得策ではない。実際向こうも自分の周りに糸の結界を張りつつある。なんて嫌らしい戦い方をするんだ私め!


 ユウキコピーが雷魔法を放つ。

 「召喚!」

 「む?」

 クロが私の元に召喚され。クロの居たところに糸を伝った電撃が殺到する。

 「むー、なんて卑怯なんだ私」

 「むぅ、我、糸に囲まれてたのか、リンの糸なら解るがコピーのほうが解らんのだ」

 「意外な弱点が発覚したね」

 「うむう」


 こちらもそうだけど、あちらの陣地も糸の結界が完成している。これは攻め込んだほうが負ける展開だ。

 うーん、どうしたものか。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ