日常の壊れる時
新キャラ
国王:男
国民から慕われ信頼されている王様
名前 グリシャ
年齢は21歳
まず、最初に言ってこう俺はこの物語を語るにあたって決めていることがある。それは真実を全て伝えようということだ。真実、それは何より残酷なものだ。今語り継がれているおとぎ話、例えばシンデレラ、例えば白雪姫、その他にも真実を捻じ曲げられ伝えられた物語が沢山存在する。それらは一様に血生臭いところを取り除き綺麗で優しい部分のみが語られる。俺は真実を、血生臭い部分も全て伝えようと思う。苦手なやつは引き返して構わない。おそらく引き返すならここしかない。それでも読みたいやつは進んでくれ。
覚悟はできたか?では話そうか…
その手紙ははぐれ者どもを絶句させるのに十分なインパクトがあった。
ネブラ「な…⁈」
キュリア「嘘でしょう…」
ライズ「なんで…」
グラン「マジか…」
フィオ「?」
ジャック「シンのヤツが脱獄しただと?」
どうやらシンとか言うのが脱獄したらし…ってシンだとぉ⁈
フィオ「あの、そのシンっていうのは…」
ネブラ「あぁお前は知らなくても当然か。シンっていうのは、もともとこの国の騎士だった男だ。品行方正、頭脳明晰で出世も早かったんだ。だが、騎士長まで上り詰め全体の指揮を執れるようになった時奴は豹変…いや、本性を現したと言ったところか。」
フィオ「本性、ですか?」
ネブラ「あぁ、さっきの騎士だった頃のヤツは猫を被っていたみたいでな、誰もヤツのドス黒い本性を見抜けなかったんだ。」
フィオ「そうなんですか…それでシンって人は何をして投獄されたんですか?」
ネブラ「ヤツが本性を現したあと、隣国との関係がこじれて戦争になったんだ。それにヤツも指揮官として駆り出されていたんだ。ヤツの指揮は天才的だったんだが、何分兵の質が低かったんだ。それを補うためにヤツはある古代生物を復活させそれを使った。」
フィオ「古代生物、ですか?」
ネブラ「そうだ。その生物については俺よりグランの方が詳しい。おい、グラン説明してやれ。」
グラン「なんで俺が…チッ面倒クセェ。その古代生ってのはヴェノムファントムつって第1級の危険生物に指定されているやつだ。そいつは生命体に寄生して宿主の身体機能を異常に高める。うまく共生できればいいんだが、大体の場合はそいつに意識を奪われてそいつの思うままに動かされちまう。さらに性格は極めて凶暴。寄生されたら最期、宿主が死ぬまで引き剥がせない。危険すぎてわざわざ絶滅させたぐらいだ。そんなのを復活させて使用したんだ、そりゃ投獄されるさ。」
ジャック「それにそれだけじゃない、ヤツは今日行ったダンジョンのアースドラゴンの復活にも関わっている。」
フィオ「え?」
キュリア「そうね…アースドラゴンは200年前に絶滅してるものね。」
ライズ「まぁ、あのゲス野郎らしいやり方ではあるんだけどね。」
フィオ「待ってください。そしたら早く捕まえないと…」
ジャック「あぁ、まぁシンのことだし下手な動きはしないだろ。しばらくすれば向こうから出てくるさ。」
何を悠長なことを…しかしジャックの予想が正しかったことを数日後、俺はもちろんフィオも思い知ることとなった。そしてその知らせを持ってきたのは、なんと国王のグリシャだった。しかもかなり焦って…
グリシャ「マーベリックのみんないるか⁉︎ヤバいぞ!」
ジャック「どうした、そんな慌てて…」
グラン「公費使い込んだのがばれたか?」
グリシャ「そんなことじゃない。そもそも公費を私事に使ったこともない‼︎いやそんなことより、大変だ。ヴェノムファントムの大群が…」
フィオ「え⁈それってこの前言っていた…」
ライズ「私が行こうか?」
ジャック「いや、俺が行こう。最近運動不足だったんだ。」
グリシャ「お前が行ってくれるのか?ありがたいじゃあ早速兵士と騎士を用意…
ジャック「俺一人でいい。どーせきたって巻き添えを食うだけだ。」
ネブラ「そうだな、下手に大勢で行くよりジャック一人に任せた方が安全だ。」
ジャック「で、今何処にいるんだ?」
グリシャ「あぁ、報告によるとここから西へ500マイルのカイナ大陸中央部出そうだ。」
ジャック「なんだまだ結構距離があるな…まぁ俺が戦う時点で500マイル程度安全圏にも入らんが。」
グリシャ「ほどほどにしてくれよ。」
グラン「なにをいっても無駄だ。仕事が増えることとそれなりの損害は覚悟しとくんだな。」
ジャック「さて、行くか…」
ジャックの戦いか…見たことがないな。俺もついて行くか…
ジャック「キュリア、転移魔法頼む。」
キュリア「はいはい。トランスポート」ポゥ
ジャック「ちょっくら行ってくる、夕飯には帰る。」
そして俺とジャックはカイナ大陸の入り口あたりに転移した。そして転移した先で俺は情けなく腰を抜かしてしまった。その理由は目の前にヴェノムファントムがいたからだ。正確には50マイルくらいは離れていたがそれでも腰を抜かすには十分すぎるインパクトがあった。
ジャック「また、お得意のドーピングかよ。相変わらず生物いじりがお好きなようで…」
ジャックはじゃあ行ってくるからここで待ってろとだけ言い残しヴェノムファントムの元に行ってしまった。巨大なヴェノムファントムの周りには小さいが大量の分身がいた。
ジャック「数はまずまずだな。」
小ヴェノムファントム「アアアア‼︎‼︎」
小さい方が大群でジャックに襲いかかった。
ジャック「中に人はいないな…単純な分身体か。なら遠慮はいらねぇな。オラッ!」ドン
ジャックが軽く放った一発は空気を揺らし、一瞬で小さいヴェノムファントムの大群を蹴散らした。
小ヴェノムファントム「ア…アァ…」
蹴散らされた小さな分身体が親玉である巨大ヴェノムファントムの元へと戻っていく。
ヴェノムファントム「ゴアアァ‼︎‼︎‼︎」ビリビリ
親玉が吠えると空気がビリビリと震えた。それは50マイル先にいるはずの俺にもはっきりと伝わってきた。
ジャック「うるせえな…」
ヴェノムファントム「ガアアア‼︎」グァ
ジャックにヴェノムファントムがその拳を振るった。とんでもない音とともに周囲の木々が一気になぎ倒された。
ヴェノムファントム「ゴアアァ‼︎」
その時、流石のジャックでもダメだったのかと思っていた。しかし
ジャック「ったく危ねえな…」
ヴェノムファントム「?」
ヴェノムファントムのヤツも一瞬理解が遅れた。それはそうだ、跡形もなく吹っ飛ばした相手が平気で目の前で立っているんだから。困惑しない方がおかしい。
ジャック「お前のパンチは遅すぎる。避けるのに十分過ぎる時間があったよ。」
ヴェノムファントム「ゴアアァ…」
ジャック「ま、化け物に話しても無駄か…」
ヴェノムファントム「ガアアアアア‼︎‼︎」ゴゥ
今度は拳の鉄槌をジャックに振り下ろした。その威力は絶大で大陸の全土を覆うほどの衝撃を撒き散らし木々どころか周りの山々まで全て吹き飛ばしてさっきまで自然豊かな大陸だった場所は、更地と化した。
ヴェノムファントム「ゴアアァ‼︎」
ジャック「お前学習しろよ。勝利の雄叫びかなんか知らんが、死体を確認してからやれよ。」
ヴェノムファントム「ゴア?」
既にジャックへの攻撃が二発とも不発に終わっている。ヴェノムファントムは確信したんだろう。こいつには普通の攻撃では意味がないと。そしてヤツは腕に力を込めて拳を振り上げた。今度こそジャックを確実に仕留めるために。しかし、その振り上げた腕が下りることはなかった。その理由は…
ズドン‼︎‼︎‼︎
ヴェノムファントム「ゴア…アァ…」ズズーン
ヴェノムファントムの腹には巨大な穴が空いていた。ジャックの一撃が山より巨大なそいつの腹をぶち抜いたのだ。そしてその中には人がいた。
ジャック「さて、何処でこんなことになったのか聞かせてもらうかな…」
ジャックが死体の中にいた人間に近付こうとした時だった。
ジャック「ん?って、おわ!!」ゴォォォ
突然炎が上がり、そこにいたはずの人間どころかヴェノムファントムの死体すら燃やし尽くしてしまった。
ジャック「危ねぇ…」
パチパチと手を叩く音とともに一人の男がジャックに近づいてきた。
ジャック「シン…」
場所は変わりギルドマーベリックではとんでもないことが起きていた。話はジャックと俺が出かけてからすぐのことだった。
グリシャ「まぁ、ジャックが行ったなら安心だろ。」
ネブラ「そうとも言えないぞ。」
グラン「あぁ、そうだな。」
グリシャ「え?だってあいつはここでは最強だろ?」
ライズ「そうじゃないんだよ。視点を変えてみて。今まで最強がいたのにそれがいなくなったらどう?」
グリシャ「どういうことだ?話が見えてこないんだが…」
キュリア「全く、鈍いわねぇ…もし戦争の時あなたが指揮だとして相手陣営からその中で最強の戦力が消えた…さて、貴方ならどうする?」
グリシャ「それは、そいつが居ない間に…って、ちょっと待てよ。まさか…」
グリシャ国王が核心を言おうとした時だった。
ネブラ「危ない‼︎」
ライズ「フィオ君こっちへ!」
フィオ「え?」
ズドォン‼︎
ギルドマーベリックの壁が壊れ、何か禍々しいものが入ってきた…
to be continued…
さて、全然血生臭くないって?急に血生臭い感じにしたら流石に引くだろ?ここからは本当に覚悟を決めろ。それじゃあ今回はここまでだ。次からかなり描写がきつくなるなー