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第4部 もう一つの日の本

「もう一つの日の本?」

天照大御神の言葉を改めて聞き返す。


(正しく申し上げるのであれば、伊邪那岐さまと伊邪那美さまが

真に御造りになりたかった世と言えばいいでしょうか)


「…真に作りたかった世…」


その内容は次のようなものであった。


伊邪那岐神と伊邪那美神は、遥か古来に日の本を造った創造神として

語り継がれてきた存在である。

そして日の本を創造する過程において様々な神を生んだという、まさに

八百万の神々にとっても特別な存在でもあった。

しかし、伊邪那岐神と伊邪那美神にとって、日の本は本当に

造りたかった国ではなかった。

2人にとっては日の本は、本当に創造したかった理想の世を造る上で

試しに手掛けた、実験体ともいうべき存在だったのである。

しかし、その実験体である日の本がある程度形作られた段階で、

ある出来事が起こった。


伊邪那美神が事故で命を落とし、黄泉の世へと堕ちてしまったのである。


伊邪那美神を深く愛していた伊邪那岐神は、一度は黄泉の世から伊邪那美神を

呼び戻し、生き返らせようとした。

が、腐敗し数多の穢れに取り憑かれた伊邪那美神の姿を目の当たりにし、

それに激怒した伊邪那美神より絶縁を突き付けられてしまし、叶わぬ夢と

なってしまった。

そして伊邪那岐神はその余りの絶望感のため、伊邪那美神と共に力を合わせ、

理想郷を創造しようとしていた熱意を完全に失ってしまった。

創造主を失ったその理想郷は、未完成のまま打ち捨てられ、

そして実験的に創造され一応の完成をみていた日の本だけが現世へ

残されたのである。


その理想郷は、後に現世とは別の異界へ放棄された。

そして現世の日の本と同じように、人が誕生し、文化が誕生し、

国のような存在も現れるようになった。

しかし、完成された日の本と打ち捨てられたかつての理想郷では

大きく異なることがあった。

それは…


(異界へと飛ばされた世には、神と呼ばれる存在があまりにも

少なすぎるのです)

天照大御神の沈んだ声が、三成の頭の中に響く。


(火、水、土、風などの森羅万象を司る神や

森、海、山々などの自然界に属するものを司る神は

数少ないながらも存在しています)

ここで小さく息を吐くような声が聞こえ、そして続きを語る。


(しかし、人の営みの中に存在すべき神々が

その異界にはほとんど存在しないのです)


「人の営みの中に存在する神?」


(大漁追福の漁業の神である恵比寿、食物・財福を司る神である大黒天など

のことです)

七福神の一角として、人々にとって馴染み深い神々の名を上げて天照大御神は

答える。


「ふむ…、しかしその人の営みの神がいないということが

そこまで問題なのか…?」

三成は疑問に思う。


確かに、大抵の商人の家には商売繁盛の神棚が飾られているし、

農民たちも作物の収穫期や作付期に盛大に五穀豊穣を祈願して

神に祈りを捧げるための祭りを催すこともある。

しかしいくら神に祈願したところで、経営不振で破産する商家は多いし、

作物の豊作・不作も結局は農民たちの努力と、その年の気候などの

自然の気まぐれに左右され、毎年大豊作が続くなどということはない。

商売繁盛・五穀豊穣を司る神がいたとしても、最終的には

それが人の営みの結果全てに影響があるとは思えなかったのである。


(それは、この世の全ての者たちが等しく神の加護を受けることが

出来ているから、そのように感じてしまうのです)


例えば同じ商売を営んでいる商人が2人いたとしよう。

2人とも同じ商売繁盛の神を信仰し、同じだけの加護を受けていたとする。

これでもし、2人が同じだけの努力をしたのであれば、きっと同じだけの

成功を収めることになるだろう。

しかし、仮に2人のうち片方に神の加護が全くなかったとする。

結果は神の加護を受けられた者が高い確率で勝つことになると言うのだ。

もちろん、加護を受けられない側が多くの努力と工夫をすることで

結果を覆すことも出来なくはない。

だか、すでに始まりの段階で開いてしまっている差を縮めることは

相当に難しいことなのだという。


(神の加護を受けることが出来ないがため、もう一つの日の本は

他の神々の加護を受ける者たちにより支配されることになったのです)

天照大御神の声が更に沈んだものとなる。

本来であれば現世の日の本同様に、国として発展する余地があったはずの

理想郷が、自らの創造主によって打ち捨てられたことで、そこに暮らす

人間を不幸にしてしまったことに責任を感じているのかもしれない。


「ふむ…、まぁもう一つの日の本についてはよく分かった」

小さく頷きながら三成が返す。


「しかし…、そのような話をされたところで、一体儂は何をすれば

良いのだ?」

神様のいないもう1つの日の本が存在する異界、というわけで

少なくともその異界には日の本以外の国も存在します。


構想が文章にならない、統一した文体にならない、

表現が思い浮かばない、等々

空想することと表現することがここまで難しいとは…><


一度書いた内容も、ある程度話が進んだところで少しずつですが

修正していきたいと思っています。


最後に、今回もお読みいただきましてありがとうございました。

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