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メビウス  作者: ののせき
勇者
6/11

凶器

 【冒険者ギルド 本部】が存在する小さな島【ASL(エーエスエル)】に隣接する凡そ500km2に及ぶ島がある。そこはかつて、戦死した人々を慰霊する教会が設けられ、数多の聖職者達が日々祈りを捧げる場所だった。だがしかし、軽微な犯罪者、刑期を終えた者、過去の過ちを憂う者。様々な者が集まり祈りを捧げ、そして奉仕活動に勤しむ最中、そこはいつか犯罪者達に呑まれてしまう。

 ものの十年もしない内に、街から人が消え、建物は壊れ、ゴミと瓦礫の山と化したその場所を冒険者ギルド本部は島を塀で囲み、凶悪な犯罪者を幽閉する場所となってこの時に至っている。

 今や、真っ当な建物など一つも建っていない。瓦礫を積み重ね家を作り、数十人が寄せ集まって生きている。彼らは全員、外の世界では凶悪と名の知れた犯罪者達。

 彼らは4つのグループに別れ、日々島全体の主導権を狙い、統一を目指して戦争を繰り広げている。ところが、【勇者決定トーナメント】告知がされたこの日、全ての戦争が終わった。


 申し合わせた訳でも、一時的なものでもない。この日偶然、彼女が全てを終えたのである。


「お前らぁ!!!!」


 瓦礫の頂点に、一人の女が立ち上がった。大きく、そして凶悪な瞳が一面に平伏する犯罪者集団を睥睨する。


 此処は【サイハテ】


 犯罪者達の人生最後の場所とされる場所。ゴミと瓦礫に覆われた土地で、彼女は王となった。


「アタシが此処に来て、5年。今日まで戦い、死んでいった者。命を賭けてくれた者。此処に礼を言う。そして勝ち抜いたお前らと共にこの地で生きた証を残せるこの日に感謝しよう。アタシらはこの世界で今、最も強く、固い絆に結ばれ1つになった。そのボスとなれた事を、誇りに思う。そんなアタシが、断言するぜ」


 彼女は空を見上げる。大きく息を吸い、ゆっくりと吐く。小さな声なのにそれはちゃんと、全員に届いた。


「狭ぇ……」


 全員の頭の上に?が浮かぶ。だが彼女は怒号を響かせた。


「アタシらはこんなもんじゃねぇだろう!!!! こんなクソ汚ぇ土地で!! 下らねぇ喧嘩して!! 無駄に血流し合うなんざもうおしまいだ!!! 天下!!! この星の陽の当たるところ全部!! アタシらが貰う!!!」


 民が声を上げる。それは隣接する島々にまで届くほどの、大声だった。そしてそれに負けないほど大きく、雷の如き声が呼ぶ。


「ルゥゥゥゥゥゥゥタァァァァァァァ!!!!」


 皆が道を開いた。その奥に、遠目からも分かる。動物の毛皮で造られたズボン一枚の半裸の男。美しく発達した上体が白い湯気を上げ、一歩踏み込めば、地鳴りを感じるほどの巨漢が、喧嘩の為と言わんばかりの大きく骨ばった拳骨を高くに上げ、彼女の元を目指し、そして、隣に立つ。


「アタシはこのルータを必ず【勇者】の座に据える!! そしてその後は世界!!! 魔王を打ち倒し!! コイツが新たな魔王となって!!! 世界を取る!!! アタシらをゴミのように扱った人間達を、次はアタシらが!! ゴミと扱う!!」


 『押忍!!!』 この声は衝撃波を齎し、空を覆う砂埃を弾き飛ばし、この島に光を届けた。


「ルータ!! しっかり付いて来いやぁ!!!!」


「………………押忍」


 占星術師(スターライト) 【ニコチー・スピリット】

 勇者候補(ゆうしゃこうほ) 【ルータ・セブンスター】

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