追放
【冒険者】は通常、4人一組でチームを組む。これを【パーティ】と呼ぶ。もしこの4人で構成されるパーティ一つで事足りない時、これの4人単位の繋がりによって隊列を組み、人間達は魔物と戦う事になる。この作戦指揮における最高司令となるのは、依頼受注者となり、この受注した4人組を【フラッグパーティ】と呼ぶ。
「僕は、既に五回の【フラッグ】経験を経たパーティから勧誘を受けたんです。僕自身もかつては2度、フラッグパーティの中で作戦指揮を執り行った経験もあって、正直、良い誘いだと思ってはいるんですが……」
そう語るのは、【マシルス・バーン】 21歳の冒険者だ。その身に纏う防具、腰に差す剣は平民、ランクの低い冒険者では手の届かないレベルの業物だ。そして男の顔貌、綺麗な金色の髪に、白い肌艶、そんなものからしても高貴な身分が窺える。この人材を必要とする者は多いだろう。
「そこで、占い師さんの意見も聞いてみたくて」
金色のバッジを付けたローブを纏う占い師を前に畏まって何度も会釈を繰り返している。やる事は変わらない。ただ、『それっぽい事をして』『喜びそうな事を言う』 それだけだ。
「占ってみましょう」
ペタッ……ペタッ……、とカードを開いてみる。シンと静まった部屋の中でそんな音だけが鳴り、二人とも、無言でただなんとなくそのカードを見つめる。
多分、本物の占い師はこれで何かを見据える事が出来るのだろう。
これが何を意味しているのかは全く分からないが。
二人とも、共通して同じ事を思っていた。だがそれを、顔には決して出さない。分かっている風。さも全てを見通した。そんな顔で「見えました」と伝えた。
「その誘い、貴方にとって運命的なものになるでしょう。栄光に照らされ、素晴らしい冒険の旅、成功への道が視えます」
マシルスは、大いに喜んだ。それはもう、子供みたいに拳を握って跳ねるくらい、少年のような笑顔を讃える。
「ほんとに!? やったっ」
見ている方もつい笑ってしまうような、可愛らしい青年だった。だが、その懐は驚くものだった。膨れた財布から札束が取り出され、テーブルに置かれる。
「あ……ありがとう……ございます……」
遠慮する事はしない。『金に怯えない事』 占い師として公認を受けた時に真っ先に教えられた事だったからだ。
「それじゃあ! 本当にありがとう!!」
マシルスが店を出た後。少しの一息を終えてローブを脱いで壁に掛ける。そして、また家に戻る。家の外にマキスが居て、彼は防具を身に着けていた。
「マキス? 今から任務?」
「お。リッタ。おかえり。ああ今から。なんか急に呼び出されてさ。なんかデカい仕事かもな」
「そっか。気を付けてね」
「おう」
【冒険者ギルド C‐E】 国の中心となり、国を象徴し、国の全ての情報を管理する場所。その玄関からマキスは飛び込みすぐ、待合所に皆が集まっていた。そこに一人、見慣れない男もまた共に居る。
「マキス。お前を、冒険者パーティから追放する!!!!!」




