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メビウス  作者: ののせき
勇者
4/13

予言

 【穂見坂(ほのみざか) リリス】


 それが、文献に記された勇者の名だ。黒く艷やかな髪を靡かせる、美しい花の髪飾りを付けた女子高生という身分の女らしい。女子高生とは言わば、15歳から成る『ヤバい』と鳴く猛禽類だと文献には記されている。

 リリスは女子高生となって間もなくに強大な力を得たと描かれている。その力は、意図しない一度の拳の振り上げで、大の大人を空の彼方に吹き飛ばす威力となるようだ。逆に言えば、それほどの力無くして魔王を倒す事など出来ないという意味でもあるだろう。

 リリスとは幼馴染で同級生の【柚木(ゆずき) チノ】、彼女もまた不思議な女子高生だ。彼女は指の先に光を集め、光線を放ち魔物と戦う術を持っているという。

 これは大昔の事。人々はある板を片手に持ち歩き、指先一つで操作し、この世のあらゆる情報を閲覧する事が出来、遠く離れた人間とも、それで会話を可能としていたという記述がある。


 人の指先にはやはり、何かあるのだ。


 どうやらその力はまだ完全では無かったのか、リリスの生まれた時代には、【ガラパゴスケータイ】と呼ばれる端末を用いて情報を閲覧し、通話が可能だったらしい。


 現【冒険者ギルド 本部】がある場所。そこはかつて【ガラパゴス諸島】と呼ばれていた。


 水は丁度100度で沸騰し、0度から凍り始めるという。


 時計は一周が60分で、1分は60秒。


 もう3時間くらい働いたと思えばまだ600秒しか経っていない。


 この世は奇跡に溢れている。そしてあらゆる奇跡は常に何かしらの意味を持っているものだ。この文献に記された歴史を紐解けば、更なる奇跡の向こうにある希望が視えるような気がしてならない。

「【ステータス】 【オープン】」

 指先を前に置き、そう唱える事で目の前に透明な壁が現れ、そこに唱えた者の基礎能力が記されるという。しかし、魔王が現れ1000年。そんな現象は起こっていないとされている。そしてこの時もまた。


 そこは三大国が一【ファルディオン】


 黄金が散りばめられた寝室。ベッドに寝そべる赤いネグリジェを身に付ける少女が天井に向けた指先を枕に下ろす。

「出ません……か……」


 若干17歳の王 【エルメス・F・ファルディオン】


 ファルディオンはまさに、最強の国家とされ、その頂点に立つ彼女の戦闘技術、そして燃える炎のような髪の毛を散らし戦うその姿は【烈火の花】と称される絶世の美女、国の象徴であると同時に、冒険者、そして文献を紐解く考古学者でもある。


 文献の背表紙には①という文字が書かれている。これはこの文献には続きがあり、②、③がある事を意味しているようだ。

「この先が気になって仕方がありません……。リリスはどうやってこれほどまでの力を……。チノの能力の正体は一体……。いえそれよりも、チノは何故同じ幼馴染である【河野 源五郎】をそこまで毛嫌いしているのでしょう……。リリスに卑猥な悪戯は繰り返すわ、嫌いなのかと思えば、お姉様と慕っているようにも描かれている……。それならば源五郎とリリスの睦まじい関係を応援すべきではありませんか……。邪魔がしたい……? 一体何故……。この先は一体どうなってしまうというのでしょう……」

 文献が発見されて2年。全てを黙読出来るほど読み抜いた。この中にはこれから勇者となり魔物と戦う使命を背負う者達の人柄、関係性までしか描かれていない。力の源や、得るに至った経緯など禄に描かれていない。


「エルメス様」


 ノックもせずに入ってきた不届き者は、エルメスとより親交の深い友人であると共に、メイドを務める女。


 メイド【スーナオ】


 ジトッとこびりつくような視線に対して、同じような視線で返した。

「入る時はノックをして」

「し ま し た」

「聞こえないものはした内には入りませんわよ?」

 『わよ』は、これ以上は聞かないの意だ。スーナオは浅くため息を漏らして、手の先を扉に向けた。


「【艶美(えんび)】様がおいでになられています」


 黒いローブで全身に影を被る人物が既に扉の奥に居る。この人物の年齢はおろか、男なのか女なのか、エルメスはそのどれも知り得ない。しかしこの黒いローブの人物は、類稀な【占い】の力を有する人物であり、遥か昔から魔物の侵攻、天気、災害をピタリと当て、国難を救い続けた英雄である。


 艶美は口を開いた。


『人類絶滅の時が、迫っています』

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