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第二話:目覚めと泡の喜び
水が染み込み、柔らかさが体を包む。
ひんやりと湿った感触が、長い眠りの殻を溶かしていく。
僕の中で微かな心臓のようなものが動き始め、息をするたび、世界が膨らむような気がした。
仲間たちも、目を覚ます。
粉の粒の隙間から伝わる彼らの振動が、僕の胸に届く。
誰も言葉はなく、けれど確かな存在を感じる。
僕たちは共に呼吸し、微かな泡を吐き出す。
その泡が、周囲の世界を押し広げていくのがわかる。
僕たちの命が、世界を少しだけ変えている──その事実だけで、心が震える。
温かさ。柔らかさ。満ち足りた空気。
僕は思う。
「生きている、って、こういうことなのかもしれない」と。
でも、微かに熱が混じる匂いが鼻をくすぐる。
窯の匂いではない、まだ遠くの予兆。
それが、僕たちの喜びの終わりを告げるのだと、ぼんやり考える。
今はまだ、ただ泡を吐き、仲間と膨らむ喜びに浸るだけ。
目覚めた世界の、柔らかく温かい瞬間を、心に刻む。
僕たちは働き、膨らみ、泡を出し続ける。
そして、初めて知った、命の重さと、その儚さを。




