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第一話:眠りの世界
粉の中は、永遠のように静かだった。
僕はただ、そこにあった。名前も、世界も、時間さえも知らず、眠っていた。
乾いた空気が微かに揺れ、仲間たちの存在が隣でぼんやりと伝わる。
僕たちは、生きているのか、それともただそこにあるだけなのか。そんな問いも浮かばなかった。
日差しも、風も、音もない。
ただ、時折感じる微かな振動に、僕の意識はかすかに揺れる。
乾燥した粉の粒のひとつひとつが、僕の世界であり、僕のすべてだった。
水の匂いが遠くで漂い、かすかに湿った空気が指先のように触れる。
それは、眠りの底から呼び覚まされる予兆だった。
僕の中で、ぼんやりと心臓のようなものが動き出す。
泡立つことも、膨らむことも、まだ知らないけれど、確かに、目覚めは近い。
仲間たちも目を覚ますのだろうか。
僕はただ、静かに待った。
眠りの中で、永遠のように長い時を。




