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書店員のエルフさん

作者: 薫納豆
掲載日:2025/11/21

エルフのお姉さん、日本の本屋で働く。

「なんなの、なんなのこの世界は!?」


「いきなり大声出すのは、やめてほしいなあ」

僕はビックリした後、呟く。

できれば面倒を起こさないでほしいなあ、自分バイトなのに。


冬休み。僕は書店で、バイトとして働いている。

外は暗い。閉店に近いから。客も少ないし、ゆっくりできるかなと期待していたら、これだ。


「なぜ、なぜ、たくさんの世界を知ってるの。私の世界ですら、1つも知らないのに」

エルフっぽい女性は口にする。


エルフっぽい。

耳は尖っているし、雰囲気もどこか違うし。

言葉は、日本語。カタカナもない。

だから、僕は精度の高いコスプレと思う。


ル✕ン三世みたいな。




「あー、言わなくちゃな。参ったな、誰か代わりに言ってくれないかな」

「似たような世界、似たような体験者ばかり。けど、世界が、こんなにもたくさん。

この世界はなんなの。全ての世界を統べる、伝説の!?」

「声かけにくなあ。蛍の光もかかってるのに」


ライトノベルのコーナーで熱心に本を読んでいる。

曲は聞こえていないのか、意味がわからないという設定なのか。

多分、言葉からして、異世界系を楽しんでいるのだろう。

異世界系、異世界転生とか、異世界転移とか。自分だけのキャラや世界観を作り出し、話を書くという。なろう系とかあるけど、僕としては、未来の人がどう扱うのか気になる。


創作なのに伝記物と勘違いしている?

いや、そんな訳ないか。

あり得ないな。


「やば、閉店の時間過ぎた」


「あのー」

「な、何っ!?」

「閉店の時間です」

「そんな概念があるのね」

概念て。

「わ、わかったわ。

とりあえず、出る」

とりあえず…?




「お疲れ様でしたー」

「うん、お疲れ」


ふう。今日もバイト終わった。

書店、いいよな。書店、本屋。

図書館は知識の宝庫、書店は新鮮市場、そう僕は考える。だって、図書館には新しい本はあんまりないし、書店には新しい本がたくさんあるから。

生きた本とたくさん出会える新鮮市場。

「やっぱ高校卒業したらここで働きたいな。まだ2年生だけど」


豪華な人生じゃなくていい、幸せな人生がほしい。


店から出て、家に帰ろうとする。


なぜか、エルフが店の前で土下座をしていた。




「あ、あの、どうしました?」

「私を、ここで働かせてほしい」

「は?」

「たくさんの世界を知ることができる店。

私は、ここで働いて、たくさんの知識と一緒にいたいっ」


変な人と思うべきか、マジのエルフと思うべきか。魔法を見せてくれたら、いや、手品って思いそう。被害も出そうだ。火の魔法!→店燃える、みたいな。


「そして、貴方の弟子にしてほしい!

若いニンゲンなのに、この店に所属している。素晴らしい、素晴らしい賢者だ」

バイトだし、ただの高2なんだけどな。


参ったな。

「店長に聞いてみます」

なんか真剣だし、変な人(?)だけど悪くはなさそう。


店長がいいって言ったら僕もいいや。


「働きたい?

とりあえず面接しよう。

履歴書は? なさそう? 持ってないってこと?

え?」


そして、エルフ(?)のお姉さんは、僕の働く書店で働くことになった。


ついでに、僕の家に住むことにもなった。

なんでやねん。

異世界系って異世界人に見せたら「なぜ、こんなにもたくさんの世界を…!?」て驚かれそう。

創作なのにね。

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