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溶解  作者: 歩く魚
6/30

心霊系YouTuberH 4月6日 配信

※コメント欄については、ユーザーの個人情報保護のために名前を伏せ、配信者が反応したと思わしきもののみ記載


H:――まぁ、信仰なり言霊なり、こういうのは今は学術的な範疇を超えたものと言えるよね。ほら、占いもそうじゃん。当たったら占いのおかげにする。要は成功でも失敗でも、原因を身近に感じたいだけ。俺はちょっと信じられないなぁ


 Hは鼻で笑いながらそう言った。


H:はい、じゃあ次ねー。今回は……大学生の子が送ってくれたみたい


 数度マウスをクリックする音が聞こえた後、配信画面にメールが表示される。


コメント:はいハズレ

コメント:大学生の送ってくるメールって嘘ばっか

コメント:そう決めつけないで信じた方がいいと思うけど

H:そんなこと言わない。この……〇〇さんも言ってるじゃない。信じてあげようよ。ってことでメール読んでくね


 Hさん初めまして。〇〇と申します。

 いつも動画、配信楽しく見させてもらってます。


 先日、友人と千葉県にある某廃墟に肝試しに行ったのですが、その時に恐ろしいものが映りました。

 この出来事があってから寒気が消えず、時々自分が自分でなくなる気がします。このメールも、3時間かけて書きました。


 お祓いとか、行ったほうがいいですかね?

 お忙しいと思いますが、ご意見いただけたら嬉しいです。


H:じゃあ、今からその映像を流すね。みんなも気になることとかあったらコメントで送って〜


※以下は映像を文字起こししたもの


(数人の呼吸音)

(画面に一人の男性Aが現れる)


B:もう回ってるよ

A:あ、もういい? えーっと、今は深夜2時。俺たちは千葉県のお化け廃墟に来てます! 今日はみんなで幽霊見つけてシバこうと思ってまーす


(無言)


B:はいっ! じゃあ行きましょー


(Aの後ろ姿がしばらく続く。不安げに視線を彷徨わせながら話している)


B:てか、この廃墟のこと調べてきた?

A:いや、全然?

B:なんか、首だけの女とか明らかにヤバい家族?とか出るんだって

A:明らかにヤバい家族ってなんだよ。え、言い出しっぺはちゃんと知ってるの?

B:――まぁ、こういうのって実際に何か出ることよりも、空気感を楽しむものなんじゃないの? ガチの心霊現象とか起こっても困るし

A:それ言ったら来る意味ないだろ


(Aの前方に廃墟が現れる)


A:おお……これは確かに雰囲気あるわ

B:お、怖くなってきた?

A:ちょっとだけね。でも、正直勝てそうな気もするけどな。だって、ホラー映画って基本的に一人になったやつが狙われるじゃん? これって要するに、何人かでいれば向こうも手出しできないんじゃね

B:いやーどうかな。向こうも団体だったら終わるんじゃね?

A:そしたらもう、勝ち抜き戦にして俺が全員倒してやるわ

B:じゃあお前が先鋒な。俺は大将だから

A:あ、ずりぃぞ。――ってか、なんかちょっと寒くね?


(Aは長袖だが、両手で腕をさすっている。 Bはカメラを持っているため過度な動きはないものの、呼吸は浅くなっていた)


A:はーい、廃墟に、入りまーす

B:廃墟だけに?

A:廃墟だけに。この廃墟、かなりデカいよな。しかも真っ暗だし

B:そりゃそうだろ。とりあえずスマホのライトつければ?

A:それな。んー、どっから見るか。1番出やすいのはどことかあるの?

B:Twitterで調べたらいくつか出てきたんだけど、3階の廊下の奥がヤバいらしい


(映像が途切れる)


A:お、おいやべぇって! どうすんだよ!

B:とりあえず逃げるしかないだろ! くるまっ、はぁ、


(画面が大きくブレる)

(2分ほどで、地面がアスファルトに変わる)

(車のドアが開けられ、Aたちが乗り込む)


A:はぁ、はぁ、と、とりあえずいないよな?

B:……そうっぽい

A:エンジン! 一応かけとけよ!

B:あ、うん……マジで出るとは思わなかった。首だけ浮いてたよな?

A:絶対浮いてた。しかも、目もなくなかった?

B:え、マジで?

A:……多分。女とか家族とか信じてなかったけど、なんなんだよあれ――


(ドンドンと車が叩かれる音)

(続いてAたちの叫び声)


A:ヤバいヤバい! 出せ出せ!


(映像が途切れる)


A:お、おい……お前のせいだぞ


(Aが車内でうずくまって震えている)


A:絶対なんか憑いてる……どうすんだよこれ、マジで!

B:い、今からお祓い……とりあえず神社に電話かけて――

A:お前が言い出したのに、なんで俺が……

B:とりあえず落ち着けよ、今電話するから

A:落ち着けるわけねぇだろ! なんで俺だけ……お、お前だって、呪われればいい! 消えちまえよ!

B:落ち着けって!

A:うるせぇ! お前もいつまで撮ってんだよ!


(Aの手が乱暴にカメラを掴み、映像が終わる)


H:はい、これで映像は終わりだね

コメント:ちょっとありきたりすぎない?

コメント:これ見るだけでもなんかあったりして

コメント:肝心の心霊現象もうつってない

コメント:ここマジで出るらしいよ


 Hは一度、大きく伸びる。


H:まぁ、俺も最初はそう思ったんだけどさ、なぁんか気になるんだよなぁ。大学生にしては演技が上手すぎるっていうのもあるし、なんか、気付いてないだけである気がするのよ

コメント:てか、相談者はカメラの子とブルってた子どっちなの?

H:それね、このメールもらった後に聞いたんけど、ブルってた子みたいだよ

コメント:Hにしては用意いいな

H:でしょ? しかもこれだけじゃありません。なんと、この子に直接会って話を聞くことにしました!

コメント:マジか!

コメント:Hが直接なんかするのって何年振り?

コメント:さすがにありがたい

H:えっとね、来週会いに行くつもりだから、次かその次の配信では話せると思う


 この後、話題は違う相談に移っていった。

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