第13回『いつか旅してみたい フランスの美しい村100』(バイ インターナショナル編著・発行)
とても美しい写真が表紙を飾ります。緑に囲まれた小高い丘にレンガ色の屋根が映える小さな村です。中央には小さな教会がひっそりと佇んでいます。
もうこれを見ただけで心が躍ります。待ちきれなくなってページをめくると、一面が紫と黄色で彩られたお花畑が迎えてくれます。
目次をご紹介します。
・チャプター1:四季折々の花が彩る村
・チャプター2:街並みに見とれる村 ~建築・遺産~
・チャプター3:自然に圧倒される村 ~海・川・湖・山~
・チャプター4:おいしいフランスに出会う村 ~チーズ・ワイン・お菓子・雑貨~
さあ、夢とお伽の世界へお連れしましょう。
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先ずは、四季折々の花が彩る村からです。高木の鮮やかなミモザが春を告げる町、ボルム=レ=ミモザから幕を開けます。
町の至る所に植えられていることから町名にミモザをつけたようですが、実はミモザには名前に因んだエピソードがあります。それは勘違いによって生まれたという経緯です。ミモザの正式名称ははフサアカシアなのですが、フランスから輸入されたフサアカシアをイギリス人がオジギソウ(英語でmimosa)と間違えてミモザと呼んだことから、それ以来、ミモザと言われるようになったのです。でも、言いやすくて、覚えやすくて、この花にとっては歓迎すべき勘違いだったのかもしれません。
ところで、ミモザの開花時期は12~3月で、2月に開催される花の祭典『コルソ・フルリ』では、ミモザをはじめとした様々な花を積んだ山車や仮装した人々がパレードをして春の訪れを祝うようです。
また、ここから香水の町グラースまで、130㎞にも及ぶミモザで彩られる海岸の道『ミモザ街道』も有名なようで、人気を集めています。
それにしても、ミモザが町名になっているなんて、なんて素敵なんでしょう。写真を見ながら、ため息をついてしまいました。
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ページをめくると、今度は紫に染まる写真が迎えてくれました。ラベンダー街道の中心地、ソー、です。標高766mの岩場の上にある村は、美しい村々を通るラベンダー街道の中心地として知られ、毎年8月15日にはラベンダー祭りが開催されます。
日本でラベンダーと言えば、なんといっても富良野で、85ヘクタールの広大な土地に咲く景観に息を呑みますが、総距離が960㎞もあるラベンダー街道も絶景だと思います。あ~、行って見たい。
その後も、満開のバラが迎える「ジェルブロワ」や、丘を彩る虹色のチューリップ畑の「リュルス」や、石灰質の石壁に咲き誇るブーゲンビリアが有名な「サン=ポール=ド=ヴァンス」(何度でも訪れたいほど本当に素敵な村です)、藤の花で彩られる世界遺産と巡礼路の「ヴェズレー」、季節ごとに表情を変えるモネの庭の「ジヴェルニー」など、素敵な町や村が次々に出てきます。
あ~、全部行きたい。とため息が出てしまいますが、まだまだ続きがありますので、次のチャプターのご紹介に移ります。
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『街並みに見とれる村 ~建築・遺産~』には、おとぎ話のようなかわいらしい家々や、中世の面影を残す村などが紹介されており、まるで絵本や映画の中に迷い込んだような錯覚に陥ります。
最初に紹介されているのが、コルマールです。正にメルヘンの街で、童話の世界に迷い込んだようなカラフルな街並みから目が離せなくなります。その中にはジブリ映画『ハウルの動く城』のモデルになった有名な家『プフィスタの家』もあり、観光客の人気を集めています。
また、「小ベニス」と呼ばれる運河沿いの景観は美しすぎて、思わず見惚れてしまいます。(滞在中は何度でもそこを歩きたくなります)
そのままページが止まってしまいましたが、それでもなんとかめくると、リクヴィールのかわいい街が現れます。正にお伽の村で、木組の家と花とメルヘンチックな看板が人気で、多くの観光客が訪れます。
そして、リボーヴィレ。ブドウ畑の中に現れる中世の面影を残した村には15世紀から18世紀に建てられた建築物や噴水などが現存して、ふっとその時代に連れて行かれたような錯覚を覚えます。
因みに、コルマールとリクヴィールとリボーヴィレは『アルザスワイン街道』に位置する美しい街(村)です。アルザスワイン街道とは、フランス東部のアルザス地方(ライン川を境にドイツと接している場所)のマルレンハイムからタンまでの道のりで、170㎞に渡って続くブドウ畑とワイナリーが集積する街道です。美しい花々に彩られ、一気にメルヘンの世界へ誘われる、特別な魅力を持つ場所と言っても過言ではないと思います。何度でも訪れたくなるところなのです。
ところで、その他にも素晴らしい景勝地が紹介されています。オレンジ色の屋根が並ぶ中世の町、スミュール=アン=オーソワや、世界遺産に登録されている修道院があるサン=ギエム=ル=デゼール、日の光で刻々と色を変えるピンク色の村、ルシヨンなどに目を奪われます。もちろん、日本人にも大人気のル=モン=サン=ミッシェル(修道院のある孤島)も紹介されています。
う~ん、素晴らしい!
ため息をつきながらページをめくっていると、次の章が現れました。『自然に圧倒される村 ~海・川・湖・山~』です。
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地中海沿岸をカラフルに彩る街並みが美しい「ヴィルフランシュ=シュル=メール」が出迎えてくれました。ニース岬とフェラ岬に挟まれた入り江にあり、ヨットが浮かんでいます。ニースから岬をぐるりと回って歩いて行けるところなので、予定も立てずにふらっと立ち寄ることができます。私も何度か行きましたが、こじんまりとしていながらも南仏らしいカラフルな色彩に目を奪われました。
ページをめくっていくと、濃紺の海が現れました。崖の上の村から見下ろす紺碧の絶景です。その村の名はエズ。標高429mの崖の上に作られた村で、迷路のような石畳の階段を上っていきます。頂上には12世紀の城跡に作られた植物園があり、そこから見下ろす景色は正に絶景です。
そのあとも、マティスが描いた陽光あふれる南仏の港町、コリウールや、カラフルな壁や花々で彩られた小さな家が並ぶ漁師地区のサン=ヴァレリー=シュル=ソンム、高峰がそびえる絶景の入り江を持つタロワール=モンマン、ロマン主義の作家が愛した湖畔の村、コンブール、レマン湖に浮かぶ小さな真珠、イヴォワール、南仏プロヴァンス一の人気を誇る鷹の巣村、ゴルドなど、憧れの地が続々と出てきます。この章も目を奪われ続けます。
しかし、いつまでもとどまっているわけにはいきません。『おいしいフランスに出会う村 ~チーズ・ワイン・お菓子・雑貨~』が待っているからです。
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世界中の美食家たちを魅了する、グルメの国フランス。
地方ごとに特徴のあるワインやチーズ。
個性豊かな郷土料理や地方菓子。
暮らしに根づいた民芸品や日用雑貨。
その一つ一つが観光客をもてなしてくれます。
先ず紹介されるのが、カマンベールです。チーズ誕生の地として世界中に知られる村で、のどかな田園風景が広がっています。
続いて紹介されるのが、ヤギのチーズが作られる断崖絶壁の聖地、ロカマドゥールです。高さ150mの断崖に造られた村で、崖にへばりつくように建物が並んでいます。よくぞこんなところに建てたものだと、感心するしかありません。
で、チーズと言えばワイン。ワインと言えばブルゴーニュ。その代表格の一つである白ワインの銘醸地、シャブリが登場します。1118年より修道院の修道士たちによって始められた醸造の技は現在に至るまで磨き続けられ、白ワインと言えばシャブリと言われるほど有名になりました。
喉を鳴らして見ていると、世界に誇るボルドーワインの故郷、サン=テミリオンが登場します。古代ローマ時代からワイン造りが行われており、世界遺産にも登録されています。2,300人ほどの小さな村ですが、年間100万人の観光客が訪れるともいわれている人気のスポットになっています。赤茶色のレンガが美しく、周りには一面にブドウ畑が広がっています。こんな素晴らしい所で赤ワインを飲めたら最高です。
でも、名産品はワインだけではありません。シードルも有名なのです。シードルとはリンゴから作られるスパークリングワインで、アルコール度が2~8%と高くないので、初めての人でも飲みやすいと言われています。
そのシールドで有名なカンブルメールという村が紹介されています。木組の家が連なる通りは美しく、村の周りには白い花を咲かせるリンゴの果樹園が広がっており、約40㎞に及ぶシードル街道の出発点となっています。
そして最後は、サン=トロペです。20世紀初頭までは小さな漁村でしたが、1950年以降に映画の舞台となって、一躍有名になったようです。現在では有名人の避暑地ともなっており、豪華な別荘が建てられているようです。
ここで有名なのは、タルト・トロペジェンヌです。カスタードとバタークリームを混ぜてブリオッシュ生地で挟んだお菓子です。写真を見た途端、思わず涎が出そうになりました。
以上で、ご紹介を終わらせていただきますが、円安ユーロ高でフランスに行くのが大変な状況ですので、せめてこの本で疑似体験をしていただければと思います。今夜の夢に美しい町や村が出てきますように。
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