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第12回『人を動かす[完全版]』③(D・カーネギー著、東条健一訳:新潮社)


前2回に続き、『人生を幸せに生きる極意』をご紹介いたします。


        ✧


『議論をするな』


これは、ある生命保険会社が販売員に対して示した方針の中に書かれている言葉です。『販売員の仕事は客と議論することではない』と明確に示しているのです。


カーネギーは言います。


「議論に勝つことはできません。負けることはあっても、勝てません。なぜでしょうか? 相手をやり込めたとしましょう。相手の論点を攻撃してハチの巣にして、徹底的にやっつけたとしても、それで、どうなりますか? あなたは良い気分です。でも相手はどうでしょう? あなたは相手に劣等感を与えました。相手のプライドを傷つけました。相手はあなたを快く思わないでしょう。無理に説得しても、人は本心を変えません」


ですので、毒蛇や地震を避けるように、議論は避けなければならないと言います。


ベンジャミン・フランクリンはよく言っていたそうです。


「議論したり反論したりして勝利を得ても、相手の好意を得ることは決してなく、それは空虚な勝利となるだろう」


なので、自らにルールを課しました。


「他人の意見に真っ向から逆らう言動や断定的な言動はすべて慎む。『確実に』とか『疑問の余地はない』といった表現は使わない。代わりに、『私は~と考えます』、『私は~と理解します』、『私が想像するに~』、『今のところ、そう思われます』といった表現を用いる。また、いきなり相手に反論したり、主張に何らかの矛盾を見つけたりする楽しみを封印する。反論する場合は、『ある条件下では正しいでしょうが、この場合は、やや違うかもしれません』などと言うことにする」


リンカーンはこう言っています。


「犬に嚙まれるくらいなら、犬に道を譲った方がよい。その犬を殺したところで、噛まれた傷は癒えないのだから」


フランスの哲学者、ロシュフーコーはこう言っています。


「敵が欲しければ、友に勝ちなさい。友が欲しければ、友に勝たせなさい」


「負けるが勝ち」という諺もあります。


つまらない議論や喧嘩はしない方がいいようですね。


        ✧


『わずかな称賛が可能性を引き出す』


10歳の少年、エンリコ・カルーソーの話をご紹介します。

貧しい農民の家に生まれた彼はナポリの工場で働いていました。歌手になりたくて仕方がありませんでしたが、ある日、教師にきついことを言われます。


「君が歌えるはずはない。まったく声が出ていないし、風でバタバタする雨戸みたいに聞こえる」


しかし、家に帰って母親にそのことを伝えると、「あなたなら歌えるわ」と両腕に抱いて褒めました。その上で、音楽の授業料を払うお金をねん出するために、靴も買わずにはだし(・・・)で頑張りました。そのお陰で音楽の道に進めるようになった彼は、のちに高名なオペラ歌手となったのです。


次は、ロンドンに住む貧しい若者の話です。

彼は作家を目指していました。しかし、4年間しか学校に通えなかったばかりか、父親は借金を払えず、刑務所に収監されてしまいます。そのため、陰気な屋根裏部屋にしか住むことができず、常に空腹に悩まされていました。

それでも作家になりたいという夢を諦めず、原稿を書き続け、出版社に送り続けました。でも、採用になることはなく、ネズミがはびこる倉庫で靴墨の瓶にラベルを貼り付ける仕事をするしか道はありませんでした。

ところが、ある日突然、彼の原稿を称賛してくれる編集者が一人現れました。それだけでなく、出版までしてくれたのです。彼は感動に身震いし、頬に涙を流しながらあてもなく通りを歩き続けました。

彼の名は、チャールズ・ディケンズといいます。のちに『オリバー・ツイスト』や『クリスマス・キャロル』などを著した著名な作家となったのです。


カーネギーは言います。


「自分の子供や配偶者、または従業員を、バカとか、間抜けとか、才能がないとか、こき下ろしたら、向上心をほぼ根こそぎ奪い取ってしまうことになります。だから、逆のテクニックを使いましょう。励ましを惜しまず、ものごとの達成を簡単だと思い込ませます。更に、相手の達成能力や潜在能力を信じていることを伝えれば、相手はもっとできるようになろうと、朝まで練習するはずです」


        ✧


『幸福になるための10の質問』


最後に、結婚生活を失敗させないためのチェックリストをご紹介します。


先ずは夫への質問です。


①誕生日や結婚記念日、または突然のハプニングや優しさの表れとして、妻に花を贈っていますか?

②他人の前で妻を非難しないよう、注意していますか?

③自分が浪費するより多く、妻に自由なお金を渡していますか?

④周期的に疲れたり、ナーバスになったり、怒りっぽくなったりする、女性特有の傾向を理解しようと努力していますか?

⑤少なくとも余暇の半分を妻と過ごしていますか?

⑥妻の料理や家事を、自分の母親や他人の妻と比較しないように注意していますか?

⑦妻の知的生活やクラブ活動、社会活動、読書傾向、問題意識に関心を示していますか?

⑧妻が他の男性から親切にされても、嫉妬しないでいられますか?

⑨機会を見つけて、妻を褒めていますか?

⑩ボタンを付けてくれたり、服をクリーニングに出してくれたりといった、妻があなたのためにやってくれた“ちょっとしたこと”に感謝していますか?


次は妻への質問です。


①夫が仕事をしている時は完全に自由にさせていますか? また、夫の同僚や秘書、勤務時間をうるさく批判していませんか?

②家庭を面白く魅力的にするのに最善を尽くそうとしていますか?

③食事のメニューを変えていますか?

④夫の仕事を理解し、助けになるような会話ができていますか?

⑤夫の失敗を批判したり、より成功している男性と比較したいすることなしに、財政的困難に果敢かつ前向きに立ち向かえますか?

⑥夫の母親や親類に好意的に接する特別な努力をしていますか?

⑦夫の好みを考えた服装をしていますか?

⑧わずかな意見の違いには譲歩していますか?

⑨夫の余暇を共有したり、夫が好むスポーツを覚えたりしようとしていますか?

⑩新しいニュースや本、アイディアを仕入れて、夫の知的興味についていっていますか?


これは、専業主婦が多かった時代の質問なので、共働きが多い今の時代に合わないものもありますが、しかし、ちょっとした気遣い、思いやり、優しさなど、参考になる点もあるのではないかと思います。私は山ほどありましたので、今から改めようと思っています。


        ✧


以上で全3回のご紹介を終わらせていただきますが、いかがだったでしょうか。

数多くの極意が紹介されている本ですので、ほんの一部しかご紹介できませんでしたが、少しでもお役に立てば幸いです。


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心に沁みる物語、

救ってくれた言葉、

ヒントを与えてくれたビジネスワード、

心を豊かにしてくれる写真と絵と文章、

そんな綺羅星(きらぼし)のようなエッセンスが詰まった、

有名ではないけれどグッとくる本がいっぱいあります。

そんな素敵な本をこれからもご紹介してまいります。



光り輝く未来


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下記の小説を公開中ですので、併せてお楽しみいただければ幸いです。


『ル・リアン』~絆、それは奇跡を生み出す力~《連載中》

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『世界一の物語‼』~人生を成功に導くサクセス・ファンタジー~

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