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第91話 聖堂


「な、んだよ。あれ……」


ミカエルによって吹き飛ばされたセツシートを見てナックルが言った。

そういうのも無理はないだろう。


「まさか、あれほどのものとは……」


天使の涙によって粉々になったセツシートを見て理事長も言った。

天使の涙による爆風はナックルたちの避難場所までは届かなかった。

だが、もし百メートルも前にいたならば爆風に巻き込まれて飛んできた建物の破片などが飛んできただろう。


「とりあえず、セツシートに戻って状況確認をしましょうか。」


校長の言葉に賛成してナックルたちは動き出した。


「とりあえず、神はこれで帰ったようですけど。」

「損害が酷いな。」


改めて理事長は、ボロボロになったセツシートを見た。


「これからどうすれば良いのやら。」


頭を悩ませながら校長が言った。


「ん?あそこにいるのは……」


理事長が先の方にある人影を見つけてナックルに言った。


「グレイとメジロさんか。」


ナックルが早足でグレイたちのそばに寄り添った。


「ナックルさん。グレイを起こすのは今は……」


近くに寄ったナックルに向かって目白さんがそう言って止めた。


「そう言えばフィオナはどこにいるんだ?」


辺りを見回してナックルがフィオナにいないことに気づいた。


「…………」

「何か、あったのか?」


黙る目白さんに違和感を持ちナックルに言った。


「…………」


ナックルに聞かれるも目白さんは下を向いて黙った。


「何が、あったのか答えてくれないか?」

「言ったらすごく悲しみますよ。」

「大丈夫だ。言ってくれ。」


そう言っナックルに向かって目白さんは言った。


「フィオナは……その、ミカエルに腹を…」


目白さんそこから先を言うのを拒んだ。

ナックルもそこまで言えば何があったのかを理解したのか目には涙のようなものが浮かんだ。


「そんな、嘘だよな……フィオナは今どこにいる?」

「フィオナはその、ミカエルに連れ去られてしまって……安否も分からないままで……」


一瞬、ナックルは目白さんの言葉を信じられないようだったが少し間を置いて受け入れたようだった。


「分かった。じゃあ、グレイは俺が持つ。メジロさんも歩けるようなら一緒にセツシートに行こうか。」


ナックルはメジロさんにそう言ってグレイを抱き上げた。

メジロさんも体を起き上がらせてナックルたちの後を追った。

その時、ガンッという音と共に地面が大きく揺れ動いた。


「今度は何だ!?」


グレイを抱えているナックルが言った。


「見てください。セツシートの方です!」


理事長が焦った様子でセツシートの方を指差した。

地面から大きな塔のようなものが出てきた。


「何よ……あれ………」


大きく空高く伸びていく塔を見つめて目白さんは言った。

地面から一番近い部分は四角形の塔だったが一番上の部分は八角形のガラス状の部屋のように見えた。

やがて塔の伸びは止まり聞きなじみのある声が響いた。


「我が天空の聖堂、ドン・ルナティックへ招待しよう。天高き聖堂に辿り着いた者には天空の巫女との戦闘を許可しよう。」


と辺り全体に声が轟いた。


「今のは誰でしょうか。」

「天使いや、神ミカエルよ。」


理事長が頭を悩まし、目白さんさんに聞くとそう答えた。


「まさか、神が作った聖堂だと……」


校長はミカエルの言った言葉に信じられない様子だった。


「それで天空の巫女ってのも気になるよな。」


ナックルもミカエルの言った言葉に疑問を持っていた。


「これからは大変なことになりそうね。」


ミカエルの作り出した塔を巡って何かが起きるのは違いない。

そう思った目白さんであった。

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