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第85話 大結界


「父さんはとりあえず街の人に被害の届かない範囲まで出来る限り逃げて下さい。」


ミカエルの魔力の溜めが終わるまで残り四十分というところ。

俺たちは天使の涙を防ぐために動き出した。


「俺とフィオナと目白さんで防御結界を作るぞ。」


結界では防ぎ切ることは出来ないだろうが出来る限り防ぐ。


「グレイ。死ぬなよ。」

「はい。」


そう言ってナックルは校長達のいる方向へと走って行った。


「改めて見たけどミカエル酷いわね。」


目白さんが辺りを見回しながら言った。

大学にある美しい時計台は完全になくなり瓦礫の山となっていた。


「今はそんなこと言ってる暇はないですよ。」


フィオナに言われてハッとする。


「私の言うとおりに結界を描いて。」

「はい。」

「分かりました。」


目白さんの指示に従いながらミカエルを囲うように線を描いて行った。


「こんなに大きく書くんですか?」

「定義域が大きいし威力もすごいからミカエルの弱体化も入れるのよ。だからこれくらい必要なのよ。」


と言うようにフィオナと目白さんは俺には分からない専門的な話をしていた。


「あの、目白さん次は何をすれば……」

「こことあそこを繋いで。」


言われるがままに俺は目白さんの指示に従った。

魔法陣の知識が無い俺にとって出来ることは指示に従う事くらいだ。


「出来たわ。」


そうこうしている間に魔法陣が完成していた。


「これでミカエルの攻撃は防げるんですか?」


地面に書かれていたのは二十メートル×二十メートルの大きな魔法陣だった。


「いえ、これで攻撃を緩和できるだけよ。あとはあなた達の結界で守ってもらうわ。」

「具体的にどの点が緩和されるの?」


フィオナが目白さんに問いかけた。


「そうね。さっきも言ったとおりミカエルを弱体化、まあ魔力を減らす役割りがあるわ。それと勿論のこと魔法障壁としての機能もあるわ。闘技大会にあったものと同じよ。あれ私が校長に頼まれて作ったのよ。」


知らなかった。

でも俺の水素爆発球ハイドロジェンボールを耐えるほどの結界ではある。

早々破壊される事はないだろう。


「じゃあ後は、俺たちの出番ってことか。」


そう言って俺とフィオナは過去一、硬い魔法障壁を作り始めた。







「校長。何であんなものが?」


避難先で休息をとっていた理事長が校長に聞いた。


「理事長は力と力がぶつかった時にどんなことが起こるか分かるか?」

「いえ……」


理事長は校長の言った言葉に戸惑っていた。


「膨大な力で世界が繋がるんだ。」


理事長はさらに校長の言った言葉に頭がこんがらがった。


「どこと繋がるんですか?」

「神の世界とだ。」

「どう言うことですか?」

「とある文献によると、神はこの世界と繋がりを持った時その繋がりを排除するらしい。」


校長はようやく闘技大会前日に理事長が言った言葉の真意に気がついた。


「神の世界とこの世界とでは釣り合いがない。だから、世界を一つに見せるために神は繋がりを排除する。」

「そして、その繋がりを持った人と言うのが……」

「そうだ。」


理事長は校長がようやく理解したことに安心した。


「グレイ・ジュリエットとメジロ・ユイがぶつかったことにより、神の世界への扉が開いた。」

「では、私たちはどうすれば……」


校長は理事長の方を見た。


「理事長!早くもっと遠くに逃げますよ!」

「あれは……」

「グレイさんの父でもあり、レベル10魔法の使い手だ。」


走って向かってくるナックルの方を指差して理事長が紹介した。


「もう時間がありません。」

「どうしたんだ?」


ナックルが理事長の言葉に反応して答えた。


「早く逃げますよ。詳細は道中に。」

「分かった。校長も。早く行きますよ。」


理事長の言葉によりナックルに連れられて校長も走って逃げた。

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