第78話 剣技部門
「こうして二人きりになるのも久しぶりですね。」
横で湯船浸かっているフィオナが言った。
本当に一緒に入ってしまった。
俺が先に入りフィオナはタオルでも何でも巻いて入ってこればいいのに何も気にせず全裸で入って来た。
「そうだな。フィオナは何も感じないのか?」
「何をですか?」
「裸で俺と風呂に入ることに。」
フィオナも今年で16だったはず。
それくらいの歳になればいくら兄といえど異性とともに裸を見せ合うことには抵抗があるはずだ。
「そうですね。兄さんなら特に何も。」
「恥ずかしさとかは無いのか?」
「兄妹なんですから。」
キッパリとフィオナが言った。
確かに兄妹なんだしそこまで意識する必要は無さそうだがそれでもやはり何かは残る。
「そうだよな。一緒に風呂に入ったけどこれでいいのか?」
せっかく優勝したんだし、兄としてはこの状況ではまだやれる事はある。
「そ、それじゃあ……昔みたいに体を洗い合いませんか?」
マジですか。
「あら、随分と長かったわね。」
部屋に帰った時には、もう俺の体は動かなくなるほど疲れ果てていた。
そんな中でゆっくりと部屋でくつろぐ目白さんが言った。
「長いだけじゃなかったんですよ。」
そう。
あの後、体を洗い合うところまでは普通に進んでいた。
そこからどんどんとヒートアップしていき、結果的には難を逃れたがあのまま進めばどうなっていたことか。
「色々あったのね。」
何とか自分の足で立ち、ベッドの方へと歩いた。
「それ、私の方のベットなんだけど。」
目白さんが俺の部屋で寝初めて少々。
目白さんは自分から寝相が酷いから、部屋を変えてくれと頼んできた。
がフィオナはこのままでいいと言い張り、俺がそこに入りベッドを離すことで解決した。
俺も寝ぼけていたのか、その離れたベッドの方へ寝転んでしまったようだ。
「ちょっと、聞いてるの。」
目白さんが肩を揺さぶるが今はそれどころの話では無い。
何せ全身が疲労を訴えているのだ。
今日はもう動くな、と。
父さん達の相手をしてフィオナの相手をしてそれ以上俺はもう無理だ。
体の活動限界である。
「今日はここで寝させて下さい。」
その言葉を目白さんに告げて俺は深い眠りへと落ちた。
「さて!今日からは昨日とは違い剣技部門となります!」
昨日とは司会の人が変わりかなり明るくノリのいい人になった。
昨日とは違い予選だから少しだけ人の数が少ない。
かと言ってすごく少ないというわけではない。
「おっ!あれがメジロさんか。グレイが言うほど強いんだから注目しておきたいな。」
横に座っているナックルが言った。
目白さんの相手は太刀筋もしっかりしていて覚悟を決めて来ているようだった。
「あなたは負ける準備が整ったと考えていいのね。」
剣を向けて来ている相手に目白さんは余裕を持って話し始めた。
「特待生だからと言って舐めるな!」
剣を持って相手は上に飛んだ。
相手は目白さんよりも何倍も大きい男の人。
上からの攻撃を目白さんは剣を一瞬で抜いて耐えた。
「あの攻撃を剣で支えるのか。」
横でナックルが感心していた。
試合会場を見てみると地面が相手の攻撃の重さで沈んでいた。
が、それを物ともせず華麗なステップを踏んで攻撃を軽々と受け流した。
相手は勢い余って地面に剣を振り下ろした。
その剣は刺さった地面から嫌な音を立てて真っ二つに割れた。
その激しさから会場は初戦ながら盛り上がった。
「どこ行きやがった!」
剣を地面から抜いて相手は辺りを見回した。
「ここよ。」
相手はすぐに後ろを向こうとするがその時にはもう遅かった。
「勝者!メジロ・ユイ!」
ドッと再び会場が沸いた。
こうして一戦目は難なく終えた。




