第77話 魔法部門決戦
「グレイさん!こちらです!」
闘技大会一日目が無事に終わり家に帰ろうとしていたら後ろから声を掛けられた。
「校長。どうしたんですか。」
「実はですね……」
校長が俺を呼んだのは父であるナックル達が闘技大会会場に来たからだった。
部屋の中に入れてもらうとナックル、アーシャ、ヘレナさんの三人がいた。
「グレイ、フィオナも生きてたんだな、よかった……」
詳しい理由は校長は教えてくれなかったから何故来たのかは分からない。
「父さん達は何故ここへ?」
「グレイが魔法陣に乗って消えたって情報が来てな。」
ナックル達が現在住んでいる場所はここからかなりの距離がある。
だから情報が伝わるのが少し遅かったと言うことか。
「早とちりですよ。」
「そんなこと言っても実の息子が消えたとなれば……」
親というのはそういうものなのだろうか。
「とりあえず、今日からは学校の用意する宿に泊まって行って下さい。」
後ろにいた校長がそう言った。
闘技大会は二日目。
フィオナは、予選を難なく勝ち進み二日目にやってきた。
二日目もいよいよ大詰め。
決勝戦となっていた。
決勝はやはり観客の数も増えていた。
「フィオナなら大丈夫かなー。」
無責任に俺はそんなことを言った。
「兄さん。」
決勝前に横にいたフィオナが声を掛けて来た。
「どうした?」
「私が優勝したら、ご褒美を下さい。」
フィオナがこういう時は大体裏に何かがある。
そう感じてはいるものの、断ることはできなかった。
「俺が出来る範囲でなら。」
そう言うとフィオナは約束ですよ、といい試合は向かった。
相手は海の向こう側にある学校の選手。
選手紹介を見る限り、水魔法が得意なように見える。
「では、始め!」
審判が言うと試合の展開はすぐに動いた。
相手側の選手は開始早々、水を集めて光線のように撃った。
対するフィオナはその攻撃を交わした。
この僅かな動きで会場は盛り上がりを見せた。
相手の撃つ攻撃をフィオナは全て避けていたがついたフィオナは足を止めた。
相手はここぞと言わんばかりにフィオナに魔法を撃ち込んだ。
「獄水球!」
相手の撃つ魔法に対してフィオナは同じ水魔法で返した。
「っ!?」
相手は返す言葉もなくフィオナの撃つ獄水球に押し負けた。
フィオナの魔力は永久的に回復できるため、勝てる人はほとんどいないだろう。
「優勝は、フィオナ・ジュリエット!」
「水には水で対抗、これならどちらが上か分かりやすいですね。」
倒れている相手の選手の前に行きフィオナはそう言ってから出て行った。
一方、会場はというと。
フィオナの最後の言葉に歓声が飛び交っていた。
そうして、フィオナは魔法部門での優勝を果たした。
「いやー、フィオナも強くなったな。」
夜になって、ナックルはそう言いながら夕食を食べていた。
「それで明日からは剣技部門か。メジロさん、だっけ?優勝出来るといいな。もちろん、グレイもな!」
酒で酔っているのかすごく上機嫌に話している。
「優勝出来るように努力します。」
目白さんが反応してそう言った。
「剣技部門はなかなかに迫力があるからな。頑張れよ!」
その後も会話は続き、俺はキリのいいところで家に帰った。
「あれは酒で酔っていたんです。本来ならもっと真面目なんですけど……」
部屋に戻り剣の手入れをする目白に言った。
「別に良いのよ。人間、酒でもなんでも耐性があるから。」
剣を振りヒュン、と音を立てた。
「そうですか。ところで明日どうなんですか?」
「どうって、何が?」
「勝てそうなんですか?」
あぁ、と一瞬言ってから目白さんは話した。
「あいつとは会っても決勝だし、大丈夫よ。」
あいつ、というのは恐らくクロム・アルベルトの事だろう。
「一回戦で最初から負けるなんてやめてくださいね。」
「それはあなたでしょ。」
冷静でかつ正論を言われた。
魔法の勝負ならともかく剣では相手によってはまだ負けるやもしれない。
「兄さん。お風呂入りましょうか。」
食事が終わり家に帰って来たフィオナが言った。
「一人で行って来たらどうだ?」
こちらを見てくるフィオナに対してそう言った。
それにもう一緒に、なんで歳でもないと俺は感じる。
「優勝したんですから、少しくらいご褒美をくれても良いんじゃないですか?」
嫌な予感がしていたがそう言うことだったのかっ!
「それくらい行ってこれば?」
目白さんは口元がほとんど笑っている状態でそう言った。
「あー。分かった。そんなに長いことは行かないぞ。」
フィオナは俺の言った言葉を聞くとすぐに風呂場まで俺を連れて瞬間移動で飛んだ。




