第76話 魔法部門
「みなさん。大変長らくお待たせしました。ただいまより闘技大会、第一日を開始いたします!」
その声が聞こえると同時に各地から集まった闘技大会観戦者の声が響いた。
「今大会は観戦者側に攻撃が飛んでくる場合がございますので試合会場内には魔法障壁があります。ですので安心して試合を見ることができます、ね。」
そんな盛り上がりを見せる会場の中、俺たちは学校の用意した特等席に座っていた。
特等席は影があり風通しの良いちょっと良い席だ。
校長が用意したこの席は俺の知り合いなら何人でもと言ったので、家のお手伝いさん全員を連れてきた。
それと目白さんにアルバート達も連れてきた。
一日目と二日目が魔法部門。
三日目と四日目が剣技部門。
五日目と六日目が総合部門。
七日目がエキシビジョンマッチと表彰式。
という予定らしい。
「フィオナの出る魔法部門が最初か。」
兄として妹の成長を見守るのも一つの役目。
見届けなくては。
「そんなに心配しなくてもいいんじゃない?」
隣に座る目白さんに見かねられた目で見られた。
「まだ一回戦なのよ。」
この闘技大会は合計で八つの学校が参加している。
合計で一部門四十人で行われるブロック方式の大会だ。
八つのブロックに各学校一人を選び戦う。
その戦った内の勝ちの多い上位二組が勝つ。
そこからはトーナメント方式での戦いになる。
「だけど数少ない八試合のうちの一つなんだぞ。」
朝と昼合わせて今日で二十八試合になるわけで明日の方が会場に人は来るだろう。
「フィオナ様の実力ならば負けることは無いと思ういますよ。」
目白さんとは逆方向に座っているマロンにも言われた。
「そうこう言っているうちに試合が始まったわよ。」
序盤はフィオナは相手からの攻撃をずっと避けていた。
相手側はもちろん魔力を回復させる方法なんて知らない。
相手はどんどんと魔法を使っていった。
五分ほど経った時、フィオナがついに動いた。
本来なら相手はこんなに時間がかかるとは思っていないだろう。
そのためかフィオナが動いても他の学校の生徒は反応が鈍かった。
「獄火球《ヘルファイアーボール」!」
いくら観客席周辺が魔法障壁で守られているとはいえこっちまで燃えそうになるくらいの威力を出していた。
「勝者、フィオナ・ジュリエット。」
フィオナがペコリとお辞儀をすると、観客達は声援を送った。
対する相手側の学校の生徒は地面に倒れていた。
だが何秒もしない内に体の傷がなくなっていた。
しかも体の動きが試合中よりも滑らかになっている。
これがもう一つの魔法障壁の効果。
試合が終わったり、瀕死になればすぐに起動する便利な魔法。
魔法障壁内の人の傷を癒したり、擬似的に魔力を送ることもできる。
「相変わらず結界もすごいよな。」
近くに座っていた一般席の人がささやいた。
これも恐らくセツシートの技術アピールとなるだろう。
「明日が本番か。」
もう一度パンフレットに目を落とし呟いた。
「やっとこさ着いたな。」
「ええ。」
「ですがナックル様。これは一体?」
セツシートについたナックル達は賑わう街を見て驚愕していた。
「闘技大会の時期か。」
二人がポカンとしていたのでナックルが説明する。
「要はほぼ全員が会場にいるってことだよ。」
「じゃあどうするの?」
「大会が終わるまでに今のセツシート大学校長に会いに行く。」
人の山をかき分けて闘技大会会場へと向かった。




