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第71話 新入居者


「二人とももうすっかり元気なようね。」


僅か二日間しかローラさんを拝むことができなかった悔しさを胸に抱いて俺たちは病院を出た。

外は夕陽が照ってオレンジ色に輝いていた。

目白さんはまだ検査があるみたいなのでもう少し時間がかかるらしい。


「では、お元気で。」


ローラさんは最後まで俺たちを見送ってくれた。

セツシート大学併設の病院。

俺とフィオナはすっかり元気になった。

瞬間移動を使って家の近くまで飛ぶほどまで感覚を取り戻している。


「この家も久しぶりだな。」

「そうですね。」


俺とフィオナはやっとこさ帰ってきた家を見て言った。

扉を開けて俺とフィオナは中に入った。


「お帰りなさいませ。グレイ様。フィオナ様。」


大きな荷物を運んでいたマロンが言った。


「えーと、その荷物は?」

「これですか?これはここに引っ越してくる……いえ、何でもありません。」


おい待て。

引っ越してくる、ってなんだ?

俺なにも聞いてないぞ。 

未来のセツシートに飛ばされたり海底都市に行ったりしている間に誰か住むようになったのか?


「では、兄さん。私たちの部屋へ行きましょう。」


瞬間移動を使って四階まで飛んだ。

扉を開けて見て俺は初めて異変に気がついた。


「フィオナ。壁はどこに行ったんだ?」

「壁?何のことですか?」


よくよく考えてみればさっきの言葉もそうだ。

フィオナは、『私たちの』と言った。


「何気につくるの時間かかったし、いくら兄妹でも同じ部屋で寝るのは嫌だろ。」


ここは兄としての威厳を守らせてもらう。

兄妹といえど、俺とフィオナもいい歳いった兄妹だ。

お互い恋に目覚め始める時期である。


「私は嫌ではありませんよ。むしろその方がいいですよ。」


あ、これダメだ。

フィオナがなんかダメな方向に向かっている気がする。


「じゃあ、ちょっと肩慣らしに遊んでくるから部屋戻しておけよ。」


そう言い残して俺は瞬間移動を使って誰にもバレてないであろう砂漠へ来た。

砂漠であり、地図にも乗っていない場所。

ここを破壊しても特に問題はないだろう。


「ま、水素爆発球ハイドロジェンボール一発で済ますか。」


10%くらいの力で適当な場所に魔法を撃った。

だが、狙っていた場所を大きくずれて魔法は爆発した。


「ん?」


やばいかもしれない。

というかやばい。

砂漠の砂がほとんど無くなってしまった。

ちょうど、その場所だけ。


「逃げるか。」


後の事は考えない方がいい。


「あ、兄さん。もう終わったんですか?ちょうどみんなで夕食を食べようとしていたところですよ。」


部屋を見てみると、予想は出来ていたが壁はもちろん治っていなかった。


「はぁ。まあ今は食事で気を紛らわせようか。」


そう言って一階に瞬間移動をして、食堂の扉を開けた。

すると、お手伝いさん二十人が俺たちに向けて声を合わせて言ってきた。


「改めて、お帰りなさいませ。」


綺麗なお辞儀をして言ってきた。


「ああ、ただいま。」


ここで俺とフィオナはようやく家に帰ってきたという実感を改めて持ったのであった。






「なんか席が多くないか?」


俺が席に着いた時そう思った。


「そのことでグレイ様にご報告が。」


俺の言葉に対してノアが反応してきた。


「詳しくはフィオナ様から。」

「兄さん。実はですね、目白さんは寮に住んでいたみたいなんです。しかし、長期間居なかったせいで部屋が売り払われてしまったようで。」


なるほど。

大体ここからどうなるかは理解できた気がする。

それでノアがあんな大荷物を持っていたんだな。


「病院で寝ている時、聞いていてふと考えたんです。私たちの部屋にはまだ空きがありましたよね。だから、うちに歓迎することにしたんです。目白さん。」


何でそうなる。

どうして、俺たちの部屋になるんだ。

そう考える暇もなくドアが重々しい音を立てて目白さんが入って来た。


「今日からお世話になります、メジロ・ユイと申します。よろしくお願いします。」


目白さんは凄くかしこまって部屋に入って来た。


「そんなに緊張しないでもいいよ。今日からここは目白さんの家なんだし。」


そう言葉をかけるフィオナだったが、やはり緊張は解けることなく俺の横の空いた席に座った。








「どうして、あなたと一緒の部屋なの?」


とりあえず家の説明を全て終えて部屋まで案内した。


「元々、フィオナと俺の部屋を分ける壁があったんだけどな。俺たちが飛ばされている間に撤去されたらしい。」


その言葉には目白さんはやや納得してなさそうな顔で頷いた。


「それは仕方ないとして、ベッド。あれは何なのよ!」


指差された方向を見て俺も見る。

フィオナの分と俺の分のベッドがくっついて置かれていた。

この部屋にはその二つのベッド以外は置かれていない。


「それはフィオナに聞いたらどうだ?俺は全く知らない。」

「呼びましたか?」


俺がフィオナと口にしたのが聞こえたのか後ろに現れた。

何回か目白さんには瞬間移動を経験してもらっているからか、全く驚く様子もなかった。


「なんでベッドはああなっているの?」

「それは私と兄さんが一緒に寝るからです。目白さんも一緒に寝たいでしょう。」


おいおい、そんなはずがないだろう。


「まあ、私の方からここに住まわせてもらったんだしそれくらい我慢出来るわ。」


それ本当に受け入れるのか?

多分三日と持たない気がするが。


「じゃあ、目白さん。改めてよろしくな。」


このままでは話がマズい方向へ飛んでいきそうだったので俺が言葉を刺した。


「よろしくお願いします。」


目白さんが手を差し出して来たのでその手を取り俺は握手をした。

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