第68話 最終決戦
「早く……早く行かなきゃ。」
目白さんはベッドの近くに置いてある剣を取った。
剣を杖代わりにして何とか入り口近くまで行った。
「何?」
目白さんは魔力を操作できるが故、それの応用で他人の魔力を感知する事も出来るようになっていた。
「あれは…グレイと、マヨルダ?」
遠くでグレイの魔力がどんどんと減っていくのを確認できた。
「ふーっ。落ち着いて。あそこまでの距離は、一キロ弱。」
剣を後ろに引き、体の魔力を足に集中させた。
「ここっ!」
足に溜めた魔力を一気に放出し、一秒も満たない時間で城の前まで来た。
「何これ?木?」
一瞬、何かと考えたがすぐに頭を切り替え剣で切り刻んで行った。
結論で言うと、この黒い物体は木ではなく何かもわからなかった。
が、今はそんな事を気にしている場合ではない。
「見えた。」
やがて、最奥が見えてきた。
グレイがマヨルダに吊るされていた。
すぐに吊るされている黒い何かを切ってグレイを助けた。
そして、近くにいたマヨルダを切った。
「あなたが負けてどうするのよ。」
「目白さん……」
グレイはまだ意識があったが、ほとんど元気のない声で言った。
「グァァァァァ………」
グレイの後ろでマヨルダが首を押さえながら唸った。
「とりあえず、あいつは私が惹きつける。」
目白さんはそう言ってマヨルダの方を向き剣を向けた。
持って一分ってどこかしらね、そう心の中で呟いた。
痛みはまだ引いていないし、力もあまり無い。
ただグレイが魔力を回復するまでの間くらいなら時間稼ぎは出来る。
「ハハハ。面白い。この私と剣で勝負か。」
目白さんは目にも見えない速さでマヨルダの間合いに入った。
「速いが……それだけのことっ!」
目白さんの振り下ろした剣をマヨルダは爪で受け流した。
「左側が空いているぞ。」
右手でマヨルダは目白さんの左横腹に爪を刺そうとした。
「なっ……」
が、マヨルダの爪は目白さんの左横腹に触れる前に止まった。
「お前が私の体を操った時覚えた技。その事をあの世で悔いるがいい。」
完全に無防備になったマヨルダの体に目白さんは剣を突き刺した。
「グゥ……」
「グレイ!さっさとマヨルダに魔法を撃ちなさい!」
剣でマヨルダを刺して身動きを封じた目白さんが言った。
俺は痛む体を起こして、マヨルダの方へと走った。
「目白さん!どいてください。」
後ろを振り向き目白さんは何をしようとしているのかを察し、剣を突き刺したまま後ろに飛んだ。
その隙に俺はマヨルダに今ある魔力を全て使って魔法を撃ち込んだ。
「水素爆発球!!」
今まで使ってきた中で、一番大きな爆発だっただろう。
「目白さん。大丈夫ですか!」
撃ち込んである程度、爆発が収まった後後ろを向くと目白さんが倒れていた。
「えぇ、少し無理しすぎたみたい。」
目を少し開けて目白さんは言った。
「あぁ……こ……んな……ところで………わ、私は…」
地面に這いつくばって倒れたマヨルダを見た。
「お前はもう無理だ。お前は俺たちに負けた。」
近くまで行ってマヨルダを見てから言った。
「お前だけは……絶対…に…………」
その言葉を最後にマヨルダは死んだ。
「ん?次はなんだ?」
地面が大きく揺れだした。
「早く逃げて。ここは、マヨルダが所有していた場所。マヨルダが死んで所有権が無くなった今ここは崩れる。」
目白さんが口だけ動かして行った。
そんな目白さんを俺はお姫様抱っこをして俺よりも少し小さな体を持ち上げた。
「ヒャッ!」
初めて目白さんが戸惑った声を上げた。
「捕まっててくださいね。」
少し恥ずかしそうな顔をする目白さんの方を見て言った。
来た道を走って駆け抜けた。
「何でマヨルダが所有してるって分かったんですか?」
「私、あいつに操られていた時意識はあったから会話はしっかりと覚えているの。」
俺の顔を見ずに目白さんは話した。
「マズい、もう無理かも。」
「え?」
目白さんがそう声を上げた時にはもう俺たちは空を飛んでいた。
崩れていくマヨルダ城(仮)の崩壊に間に合わなかったからである。
とはいえ、フィオナ達のいる場所までは十メートルもない。
「届けっ!」
そして、俺は背中を下にして地面に着地した。
「兄さん!?」
それと同時にフィオナの声も聞こえてきた。




