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第66話 傀儡人形


海底都市の崖の上にあったマヨルダ城は、跡形もなく消え去った。

だが、その近くに大きな黒い城が新しく建っていた。

間違いなくマヨルダが作ったものだ。

注射器を打ち込み身体が変異してしまったマヨルダ。

ウィリアムと同じように怪物になるかと思えば、意識を残していた。


「目白さんはどういう人なんですか。」


フィオナは元マヨルダ城の方へ走りながら聞いてきた。


「あぁ、そういえば言ってなかったか。とにかく凄いんだ。知識も実力も。」

「兄さんが言うほどすごいんですか?」

「あぁ。」


フィオナはまだあまり目白さんと話したことがないだろうからわからないが恐らく俺を超えるかもしれない。


「階段?」


そんなことを話していればついに元マヨルダ城の前に来ていた。

元マヨルダ城の前には丁寧にここを登れと言わんばかりの石の階段があった。

その先は、黒い木が周りにあるせいで奥は暗闇になっていた。


「フィオナ。ここから先は俺一人でやる。」


この先にフィオナを連れて行ってはダメだ。

本能的にそう感じた。


「無理です。また兄さんを危険に晒すわけにはいけません。」

「ごめんな。フィオナは行けないんだ。」

「どうしてですか!」


黒い城の方から、黒い塊がベチャッ、生々しい音を立てて落ちてきた。

やがてそれは人を模した泥のような形に変化した。

泥はどんどんと上から落ちてきた。

そして、全て人のように変化して辺りを埋め尽くしてしまった。


「ッ……」

「ここは私がやります。けど、すぐに向かいます。」

「すまない。」


そう言い残して俺は階段をテンポ良く登って行った。

横に埋められた木はざわつきそこからも泥のようなものが落ちてきた。

だが、全て無視して俺は階段を登り続けた。

泥は意外と速度は遅く逃げるだけなら簡単だ。


「あそこが一番上か。」


階段の上の方にいよいよ出口が見えた。


「死ぬ覚悟は出来たのか?」


階段を登り切った先には城へ入る前の庭があった。

最も、周りは全て黒い物体で埋め尽くされていたが。


「あんたこそどうなんだ?」

「ふ。面白いことを。私ならここにきた時からとっくの前に出来ている。」


マヨルダの手の中から黒い物体が投げられた。


「素晴らしいだろう。この力は。」


黒い物体を大量に作り出しマヨルダは言った。


「下にいるあの人形たちも操れるんだ。」

「ハッ。つまりは、傀儡化人形ってわけかよ。」


もしそうならば俺がマヨルダを倒さない限りは人形は再生し続ける。


「いつまでそんなことを話していられるか。」


マヨルダが作り出した大量の黒い物体を俺目掛けて一斉に飛んで来た。

球の軌道をよく見て俺は避けていく。

それでも処理しきれない分は魔力をぶつけて相殺する。


「こんなもんかよ。」

「いつまでそんなことを話していられるか。」







火球ファイヤーボール!」


一方、フィオナはというと泥で出来た傀儡人形という事も知らずにただ魔法を撃ち込んでいた。


「撃っても撃っても何で減らないのよ!」


マヨルダの魔力によって動かされているということを知らないフィオナにとって傀儡人形は再生し続ける敵になる。


「どこから湧いてるのよ!」


魔法を撃ち込み続けても結局、何も変わらない。

上からどんどん泥が降ってきて、目の前の人形はただ増えるだけになっていた。


魔力封印マジックシール


そう前の方から声が聞こえてきた。


「やっぱり苦戦しておられたのですね。」

「ノア!?」


魔力封印を掛けられた人形は、グラグラとよろつきその場に倒れた。


「どうしてここに?」

「実は、テントの方にもこれが。目白さんが教えて下さった魔法を使うと人形も崩れていきました。フィオナ様ももしかしたらと思いまして。」


兄さんが言っていた通り、目白さんはどんな状況でも対処できる知識と柔軟な対応が出来る人なんだろう。


「やっぱりすごいな……」

「何かおっしゃいましたか?」

「ううん。今はここにいる奴らを全員倒すためにその魔力結界を簡単に教えて。」

「分かりました。」






「こいつら、倒しても倒してもっ!」


ノアに戦闘中に人形と戦いながら私は魔力封印を教えてもらった。

だが、倒したとしても空中からどんどんと落ちてくる。

よって、私たち二人では減らすことはできなかった。


「おそらく発生源があるはずです。」

「それって、上のっ!マヨルダなのっ!」


会話に強弱があって、ノアも聞き取りづらいだろうが我慢してもらいたい。

それに、連日の大量の魔力消費に魔法や魔法の使用など身体が悲鳴をあげている。

いくら魔力を回復する術を持っていたとしても、それはあくまで理論値の話。

実際は、魔法を使うと身体に疲れが溜まっていく。

よって魔力を回復するだけでは永久に魔法を使うことはできない。

そして、魔力封印を教えてもらったものの、戦闘中でありしかも即興で覚えたのだ。

身体にまだ魔法が馴染んでいない。

身体に疲れが溜まっていた私は少しでも身体を楽にするために魔力封印と共に一緒に魔法を交えることにした。


「考えられるとしたらそうでしょうね。」


ノアの話によると、目白さんはまだ起き上がれる状態ではなかった。

だがそれでも起き上がってノア達、五人に魔力封印を僅かな時間でマスターさせたようだ。

でも、ノアはその解説はできないと言った。


「目白さんに教えてもらったっ!やり方ってどんな感じなのっ!」

「おそらく分かりませんよ。」


次々と現れる人形を倒しながらノアが言った。


「良いわよ。」

「では、遠慮なく。ここの指先に魔力を集中させて、それを閉じ込める感じのイメージで相手に撃つ。」

「それだけなのっ!」

「はい。」


思っていたよりも単純で分かりにくかった。

閉じ込めるイメージが分からなかったらどうしていたのだろうか。


「それでみんな分かったの?」

「はい。目白さんの魔力の操作で。」


え?

魔力の操作?


「ちょっと待って。」

「どうしましたか?今は戦闘中ですよ。」

「ええ、それは分かっているけど。魔力の操作って?」


魔力の操作なんて兄さんからも聞いたことがない。

もしかすると、兄さんが教えたのかもしれないがそれなら私に教えないのがおかしい。

今まで幼少期の頃からずっと一緒にいたんだから。


「私も直接は分からないのですが、マヨルダに操られていた時の名残で出来るようになったんだとか。」


マヨルダに操られていた時、兄さんによふと目白さんは透明な魔力の剣を作り出したらしい。

もしかすると、それも空気中の魔力を操作したのだろうか。


「まあ、ともかく。そんなことは、目白さんしか出来ないわね。」

「そうなんですよ。」


私の言葉に同情するようにノアが言ってきた。


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