第60話 氷竜
「どうして……お前らが……マヨルダ様が相手をしていたはず……」
水素爆発球の爆心地で倒れているメランダが言った。
「マヨルダなら時間だ、とか言ってどこかに行ったぞ。」
「そうか。あぁ、マヨルダ様……私に最後にこんな素晴らしいことを……」
床に倒れボロボロになった体でなおも、笑い喋りだした。
「何を言っている?」
「兄さん。マロンの治療終わりました。」
フィオナの方を向きテントの中へ運ぶように指示した後、メランダの方を見るとそこにはメランダの姿はなかった。
「どこへ消えた。」
「ここだよ。」
上にいたメランダは、奇妙な姿だった。
魔力も何も感じないのに空に浮いていたのだ。
「マヨルダ様……本当にありがとうございます。まさか、生きているうちにもう一度あの姿に戻れるとは。」
両手を広げたメランダの手からは、肌が崩れ落ちるとともに氷のような水色の透き通った何かが出てきた。
「何をしている!」
咄嗟に火炎球を撃ったが、その魔法は最も簡単に避けられてしまった。
「もう誰も私を止める事は出来ない!」
後ろいたにマヨルダは、そう言い終わると身体全体が膨れ上がるように大きくなった。
みるみる大きくなりやがてマヨルダは、竜のような姿になった。
「ここにいる奴は本当なんなんだよ。」
「ガアァァァ!!!」
マヨルダは、自分の鱗を剥がし空中に飛ばした。
鱗は気付けば氷で出来た鋭い氷柱になっていた。
「あれは……ホッ・カイドウと共に消滅した伝説級の神竜の一匹。氷竜!」
テントの中にマロンを運び終えて戻ってきたフィオナが言った。
もともと、竜というのは下位竜、上位竜、神竜と分けられる。
そのなかでも最も危険なのが神竜だ。
つまりは、マヨルダというのは数十年前に滅ぼされた海底都市で生きていた神竜の一匹、氷竜というわけだ。
どうやってこの年月を生き抜いたのかは分からない。
「兄さん!危ない!」
考えていると氷竜は、氷柱を俺の方に一斉に飛ばしてきた。
しかも、氷柱の当たったところは氷に物質自体が変化した。
「厄介な。」
鱗は再生するし、その鱗で氷柱を作り攻撃をする。
永久機関じゃないか。
「フィオナ。この氷竜の倒し方って分かるか?」
「私もまさか神竜と戦うとは思わず……ただ、竜は基本的に鱗の下が弱点とされています。」
フィオナの近くまで瞬間移動をして聞いた。
氷竜は、大きく吠えてから俺たちの方へ突っ込んできた。
「そっちにはテントが!」
猛スピードで突っ込む氷竜に対して、獄水球を何百個と瞬時に作り一気に撃ち込んだ。
だが、神竜の一匹である氷竜の鱗は硬く獄水球では、壊すどころか傷つけることすら叶わなかった。
「グアアァァァ……」
氷竜は、スピードを弱めることなく地面に突っ込んでいった。
「そんな…そんな……」
フィオナが抉られた地面を見ながら言った。




