第59話 目白さん……
「グレイさん達遅いですね。」
テントの中で片付けをしていたジェイミーが言った。
「みなさん、ここから動かないでください。」
「え?」
ノアの発言にジェイミーが聞き返す。
「マロン、行くわよ。」
「言われなくとも。」
そう言われてテントを出て入り口の前で待った。
来る、そう思った時、地面が大きく揺れ砂埃が舞った。
「あら、お出迎え?ありがたいわね。」
そこに立っていたのは白い服を着た背の高い女だった。
「自己紹介だけしておくわね。私はメランダ。城を破壊したお前たちを殺しに来たのよ!」
喋り終わると同時にメランダは地面を蹴り
爪を変形させて突進してきた。
「ッ!!」
速い。
避けることが出来ないわけではないが、気を抜けばすぐに攻撃を当てられるだろう。
「なかなかいい動きをするわね。」
見るとメランダの爪が当たった地面は大きく抉れている。
当たれば致命傷になる事は間違い無いだろう。
「久しぶりに私を楽しませて頂戴!」
そこからは、メランダの攻撃を避け続けるのが精一杯だった。
こちらは二人で相手は一人。
ノアも避けるのが精一杯で、攻撃をする隙が無いように見えた。
「ウッ!!」
「よそ見しているとは、だいぶ余裕なようね。」
ノアの方を見て考えているせいで、メランダから気を逸らしていた。
メランダの長い爪が服を貫き肌を切った。
「少し当たっただけで……」
「マロン!」
「私はいいから、ノアはメランダを。」
私の元まで来ていたらノアまで攻撃を受けてしまう。
この程度の傷ならどうにでもなる。
「グッ…ヴァッッ………」
立った瞬間、口から血が出た。
そして、足からどんどんと力が抜けていった。
「マロン!」
ノアは瞬間移動を使って私の元へ来た。
「これは……毒………?」
傷口を見ながらノアが言ってきた。
「ようやく気づいた?」
メランダが爪をカチカチと言わせながら歩いてきた。
「くっ……マロン。もう少しだけ我慢して。」
ノアはメランダの方を向いてそれだけ言った。
「水弾!火炎球《ファイアーボール!」
メランダの方へ向かって全力で撃ち続けた。
「そんな生ぬるい魔法じゃ私は倒せないわよ。」
「じゃあ、これならどうだ?水素爆発球!」
前からグレイの声が聞こえた。
ー十五分前ー
「目白さん、俺は戦いたく無いんだ。」
先ほどからずっと目白さんへ語りかけているが全く様子が変わらない。
「俺がわからないのか!」
目白さんに向けてついに俺は、水球を撃ち込んだ。
「軟弱な。」
が、目白さんへの甘みなのか水球の軌道が少しズレた。
それを目白さんは見逃さず、持っている剣で水球に対して平行に刀を入れて真っ二つに切ってしまった。
「は!?魔法を切るってなんでもありなのかよ!」
今度はなんの甘えもなく水球をどんどん撃ち込んでいった。
目白さんから逃げているうちにまた最初の広場に出た。
「口ほどにもならない。」
「待て!」
マヨルダは、俺とフィオナの前に立って言った。
すかさず、俺はマヨルダを止めるために極水球を高速で撃ち込んだ。
「お前たちは、あっちのお仲間を助けたらどうだ?」
俺の撃った魔法が当たる前にマヨルダは、ドアのようなものを作り出した。
そのドアを開いてマヨルダは消えていった。
それに続いて目白さんも何も言わずにマヨルダついて行き、姿が見えなくなると同時にドアも消えた。
「クソッ!」
「兄さん。悔しいのはわかりますけど、今はノアやマロンの方に行かないと。」
「そうだな。」
そうして、俺たちはマロンとノアの方へたどり着いた。




