第58話 2VS2
「そろそろテントに戻ろうか。もしかしたら、目白さんもいるかもしれないし。」
「そうですね。」
海の中でも不思議と明るいこの海底都市、別名ホッ・カイドウ。
神に滅ぼされたと思われていた幻の都市がまさか、海の中で古代の先人が作った結界に守られていたとは。
だが、明るいにせよ多少は辺りが暗くなる。
「ここが海の中とは信じられませんね。」
フィオナも同じことを考えていたのかそう言っていた来た。
「確かに海の中でホッ・カイドウも滅ぼされる前の状態で保存されていると考えるとすごいな。」
テントへ帰る道を歩く中、上の方を見ながら言った。
「そして、お前たちはこの場で滅びる。」
後ろから聞き覚えのある声が聞こえた。
後ろに立っていたのはマヨルダとメランダがいた。
「なんでここにいる?」
「そりゃもちろん、私の城をぶっ壊したお前らを殺すためだよ。」
マヨルダが言った。
「私の可愛い部下を殺したお前らに復讐するためでもあるわ。」
横に立っていたメランダがマヨルダの言葉に付け足すように言った。
「メランダは奥にいる奴らを倒しに行け。」
その言葉を聞いた瞬間、メランダはこの場から消えた。
「マズい。」
「よそ見をしている場合か!」
マヨルダが、火炎球を連発して撃って来たので咄嗟に横によけた。
「おいおい。二体一で勝てるとでも思っていたのか?」
フィオナの方を確認してからマヨルダに向かって煽るように言った。
すると、マヨルダは笑って俺の言葉を否定した。
「何を言っている?どこが二対一なんだ?二体二の間違いであろう。」
「何をっ……」
そう言いかけた瞬間、マヨルダの背後からローブを被った人が出て来た。
「これでニ対ニでちょうどだな。私も忙しい。七分。七分だ。七分だけやろう。」
ローブを被った女は音もなく動き俺の目の前まで来た。
そして、体の捻りを利用して俺を蹴った。
「ッハ!!」
「俺はこのローブを相手するから、フィオナはマヨルダを!」
俺が言い終わる前にローブの人は素早く動き俺の間合いに入った。
「獄水球!」
間合いに入った瞬間、俺は向かってくるローブの人に向かって思い切り魔法を撃ち込んだ。
ローブの人は、危険を察知したのか後ろに避けた。
ローブの人は腰から剣を引き抜いた。
「遂に本気を出したのか?」
「……。」
何も答えない。
聞こえていないのだろうか。
そうして気を逸らし瞬きをした瞬間、ローブの人は俺の目の前まで来た。
明らかに先ほどよりも動きが速くなっている。
「あぶっ……ない!」
咄嗟のところで頭を下げてなんとか攻撃を避けた。
しかし、そんな事では終わらずにまた次の攻撃を仕掛けて来た。
「水弾」
誰よりも多くこちらに来れないほど多くの弾を作り、ローブの人に向かって撃ち込んだ。
当たった、と思ったがその時にはもうその場にローブの人はいなかった。
前を見るとローブの人は先ほどよりは遅いが目で追うのがギリギリの速さでこちらに突っ込んできた。
剣でどんどんと水弾を切って近づいてくる。
本来なら水弾は、当たっただけで人体の身体を貫くほどの速さと硬さを持っている。
そんなものを切っているローブの人は相当強いのであろう。
「遅い。」
冷淡な声で急に目の前に現れた。
今までで一番速かったのかもしれない。
もしかすると今まではローブの人にとっては遊びだったのではないだろうか。
それくらい軽い動きで攻撃を繰り返してくる。
「獄炎球」
あまりに速い攻撃でとても受ける事はできなかったので、がむしゃらに周りに撃った。
あたりは、撃ち込んだ魔法によって大きな穴が空いた。
ローブの人には当たらなかったものの頭を隠していたフードは取れた。
「目白さん……どうして。」
先ほどまで俺と戦っていたフードの人は、俺が最近ずっと戦って来た目白さんだった。
「…………。」
無言で黙っている。
「ウッ……」
手に防御壁を貼り目白さんが降った剣の斬撃を受け止めた。
防御壁が受け止めている間に反対の手で水球を撃った。
相手が目白さんである以上、傷つける事はもちろん攻撃をすることもできない。
「どうしてそんなことを……」
目白さんの本気の剣技を後ろに避けながら話す。
「何があったんですか……」
一瞬、目日さんの剣が止まったように見えた。
「たす……け………」
「っ!」
微かで細く聞き取るのが難しいほど小さな声で目白さんは言った。
「グアッッ!!」
声に集中していたが、目白さんは先ほどと同じように剣を俺に向かって振ってきた。
その剣が見事に肩に当たりそのまま引き抜かれた。
傷口を手で押さえながら、後ろへ下がった。
ふと背中に何かが当たったような感覚が来た。
「兄さん?その怪我……」
後ろを向くとフィオナは息がだいぶ上がっていた。
こっちを向いて心配するフィオナに対してマヨルダが言った。
「私は忙しいのだ。ここは、こいつに任せよう。」
目白さんの体を触ってマヨルダはメランダが向かった方向に向かった。
「マズっ……」
行こうとする俺の前に目白さんが立ちはだかった。
今、瞬間移動を使ったとしても目白さんならば容易に壊して俺を斬るだろう。
かと言ってもう身体がもう限界のフィオナを守りながら戦うのは無理がある。
「フィオナ。もう少しだけ頑張れるか?」
「はい。」
その声を聞くと俺は目日さんほど強くも上手くもないが物質を分解できるほど細かい作業が出来るようになった俺が作った剣を魔力空間から引き出した。
「目白さん。今助けるからもう少し我慢してください。」




