第56話 ゲルメールとの戦い
「ノアはそっちを。」
ゲルメールの巨体の攻撃を避けながら指示を出した。
「分かってるわよ。」
ノアは私以上に厳しいであろう。
攻撃を避けるだけでもほぼほぼ隙がないのにその隙を見つけて魔法を撃つ。
たったそれだけのことが体の疲労を溜めていく。
ゲルメールの攻撃は非常に単調で避けやすい。
だが、その攻撃の数がすごく多い。
ゲルメールの周りからは無数の矢が飛んでくる。
矢は尽きることなく一定の速度で私たちを狙い続けている。
「逃げまわるだけか?」
攻撃方法に頭を悩ませている時にゲルメールが言ってきた。
「水系統の魔法を撃って。」
先ほどゲルメールと戦ったアルバート達の情報では、水球などの魔法を目に見えないほど速い勢いで撃ったらしい。
そのことを考えてノアにも言ったがノアももう気づいていたのだろう。
私の言葉にはピクリとも反応せず攻撃を避け続けていた。
ノアの攻撃だけでは足りないだろうと判断し私も魔法を撃つ体制になる。
「つ!!」
互いに目が合った瞬間、私とノアは同時に水弾を何発も撃ち込んだ。
「ウァァ…」
ゲルメールはその場に倒れんこんだ。
しかし、ゲルメールの体から煙が出たと思えばすぐに回復した。
「さっきの奴よりはやるようだな。」
気がついた時にはゲルメールは何も無かったかのように通路に立っていた。
「こいつが回復できないほどの魔法を撃ち込まないと。」
ノアの近くによってそう言った。
「私たちが撃てる魔法はこれが限界なのよ。あとはフィオナ様が使える……」
テントの方を見やってノアは口ごもった。
「フィオナ様が起きるまで時間を稼ぐからノアはテントで様子を見てきて。」
ノアは何も言わずに瞬間移動を使った。
「一人だけか?随分となめられたものだ。」
前へと大きく踏み出しゲルメールがする攻撃を掻い潜りながら懐に入り込んだ。
「獄水球」
「それの魔法はもう効かんぞ!」
ゼロ距離でゲルメールの体に手を押し込むようにして腹に獄水球を撃ち込んだ。
ゲルメールの腹は真ん中に大きな穴が開き大きくよろけた。
「同じ魔法でも質と魔力量の差で威力は何倍にでもできるのよ。」
地面に転がるゲルメールに追撃をするために水弾を撃った。
「やられた……とでも言うと思ったか?」
油断をして近づいた私を見てゲルメールは笑った。
すると、ゲルメールは周りにある木や魔力のすべてを吸収しだした。
「っ、マズい。」
ゲルメールの身体はどんどんと大きくなっていく。
「これが私の力だ!」
ゲルメールは先ほどと同じように手で攻撃をしてきたが避けたら避けた場所にも手があり攻撃を喰らってしまった。
水弾を撃ってみたが、まるで歯が立たず弾かれた。
「マロン!フィオナ様が……」
そんな時にテントの方からノアの声が聞こえた。
「あいつは私がやるからマロンは私の後ろに下がってて。」
後ろにフィオナ様が現れた。
私の今の実力ではゲルメールには勝てない。
自分の弱さを噛み締めながら私はフィオナ様の後ろについた。
「防御壁の展開を手伝ってくれる?」
指示された通りに私はテントの方に防御壁を張った。
「今度はお前か。」
フィオナ様はゲルメールの前まで近寄った。
「あんたともここでお別れね。獄水球」
魔法自体は私たちが撃てる魔法だ。
しかし、フィオナ様はその一発にありったけの魔力を詰め込んだ。
着弾と同時に周りに恐ろしい爆風が吹き荒れた。
思わず目をつぶってしまい爆風が止んだ頃には辺りにあった木々は消えていた。
「フィオナ様!」
周りを見ていたら目の前で人が倒れる音がした。
「流石に今日は疲労が溜まったみたい。」
その一言で全てを理解した。
疲労が溜まりいつも出来るはずの魔力回復が出来ないのである。
先ほど全ての魔力を注いだので魔力切れを起こしてしまったのだ。
「私は…こんなところで……」
道の真ん中に落ちている肉塊が喋ったと思えばドンドンと大きくなっていく。
空気中の魔力を吸収しているのである。
マズいと思いながらフィオナ様をそっと地面に置き先頭の体制をとった。
直後、地面が揺れ出した。
違う。
崩れだしたのだ。
私たちはバランスを取れなくなりゲルメールと共に地の底へと落ちていった。
「間に合ってよかった。」
そう思っていた時、聞き馴染みのある声が聞こえた。
目を開けると目の前にはグレイ様がいた。
「何を?」
「この下の施設と城が爆発するらしいから急いでここまで来たんだよ。間に合わないと思って最後はテントの周り全体を転移させたけど。」
話している間にも後ろで城が爆発し倒れていくのが見えた。
「ゲルメールは!」
テントの周りを転移させたのならばゲルメールも来ているはずだ。
「あのウィリアムみたいな奴か?それは城の近くに戻しておいたよ。今頃城の下敷きだろうな。」
やはりグレイ様はすごい。
戦いの技術に関しても魔力の質に関しても全てにおいてすごい。
「とりあえず今後のことについて話し合おう。」
「では、テントの中へ。」
そう言っで私はフィオナ様を抱きかかえながらテントの中へ入っていった。
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