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第53話 拘束


ぼんやりと牢屋の中で過ごして数分。

特に何か起きることもなく過ごしていた。


「ウァッ!ゥゥ…アァッッ…クリストファー……」

「ウィリアム何を?やめ…ガッ……」


突然こんな声が聞こえてきた。

そして、先ほどまで目の前で何かをしていた黒い眼鏡を掛けた男が飛んできた。

ただ飛んできたのではない。

腹の辺りから血を流して飛んできた。

所々腹がへこんでいるように見えた。


「アアァァ痛い……アァァ……」


次に牢屋の前へ来たのは俺を水の中へと突き落とした男。

ウィリアムだ。

黒い眼鏡の男の言動から察するにおそらくそうだろう。

そして黒い眼鏡の男はおそらくクリストファーだろう。

だが、ウィリアムはもう俺の見たウィリアムではなかった。

右肩は大きく膨れ上がり顔は半分肩に飲み込まれているように見えた。

そしてその右肩は手が大きく変化して爪からは血がポタポタと落ちている。

その爪でクリストファーを刺し殺したのだろう。


「おいおい、マジかよ。」


ウィリアムは、俺を見るや速攻で飛びかかってきたのだ。

しかし、牢屋というだけあって飛びかかってきただけでは壊れなかった。

ただ、知能がなくなったかのようにこちらに突っ込んでくる。


「ウァァ……」


そんな声を漏らしながらウィリアムは変異した右手を牢屋の小さい隙間に捩じ込んできた。


「グアアァァァ!!」


やがて牢屋を破ってこちらに来た。


「冗談キツいぜ。」


そう言うしかなかった。

なぜなら、俺は今クリストファーによって、手を拘束されているのだ。

それゆえ牢屋内に入ってきたウィリアムから逃げる方法はないのだ。


「イタイヨォ……」


そんな声を張り上げて右手を大きく振り上げた。


「ウッ……」


右手が振り下ろされた瞬間、俺は死んだと思った。

しかし、実際はそうはならなかった。

大きな爪は俺を拘束していた壁にめり込み壁が一枚丸ごと崩れた。

それによって俺の手には手錠のみになり手は動かないが自由に動けるようにはなった。


「グルァァ!!!」


俺が横から抜け出したのを見たウィリアムは、右手を振り回して暴れた。

一方、俺はと言うとすでに牢屋を出ていた。

クリストファーの死体を横切りとにかくウィリアムから逃げた。

角を曲がった時横からドン、と壁を突き破る音が聞こえた。

前にはウィリアムがいた。

先ほど俺がいた牢屋から壁は十枚はあっただろう。

その十枚の壁を全て突き破ってウィリアムはここまで来た。


「ここまで来ると逆にどうなっているのか聞きたいな。」

「アアアアァァ……」

「無理そうか。」


ウィリアムは変異した右手を押さえながら不恰好に俺の方へと歩いてきた。

一体どうしてウィリアムはあんな事になったんだよ、と聞きたいところだったが今はウィリアムから逃げる事に専念した。






ー30分前ー





「ここは、本当にどうなっているんだか。」


私は洞窟に入ってからずっとこの場所をさまよっていた。


「クリストファー。そいつはもう俺には必要ない。」

「本当にいいのか?こいつ魔力とか全て凄まじいが……」

「いいんだよ。好きに使ってくれ。」


そんなやり取りをする声が奥から聞こえた。

声の感じから察するに先ほど私が戦った者ではなさそうだ。

曲がり角から奥の様子を確認した。


「全く。あの男もバカな判断をしたものだ。」


奥では男が呟きながら物置のようになっている机の上で作業をしていた。

見た感じ机の上に置いてある物をケースのような物に詰め込んでいるようだ。


「誰かいるのか?」


まるで私がいる事を知ったかのようにこちらを向いて来た。


「そっちこそ誰なのよ。」


このままここにいても意味がないので角から姿を現した。


「俺はウィリアムだ。何の用だ?メランダの手先か?」

「何のこと?」


目の前の男が何を言っているのかわからなかったので聞き返した。

するとウィリアムは何かを察したのか笑い出した。


「そうか……ハハ…そういうことか………そうやって私の作ったこれを壊そうって判断だな。」


ウィリアムは先ほど何かを詰め込んでいた箱を大事そうに抱えて言った。


「それは何なの?」


そう聞くとウィリアムは箱を開けた。


「そうはさせないぞ。全てを洗いざらい晒そうとしても無駄だ。これは誰にも渡さない!」


箱の中から取り出したのは注射器のような物だった。


「本来ならクリストファーに渡ったあのクソガキに使う予定だったがこの状況なら仕方がない。」


ウィリアムは注射器を思い切り右肩に刺した。


「アアアアァァアァァ………」


注射器の中に入っていた毒々しい液体が全てウィリアムの体内に入った。

ウィリアムは注射器を床に捨てもがき苦しんでいる。


「ねぇ……大丈夫?」


そう言って近づいた時にはもう遅かった。

ウィリアムは細い体とは思えないほどの力を出した。

私は首を掴まれそのままウィリアムと共に天井を突き破り地上へ出た。

そのまま私はウィリアムにおもちゃのようにポイと投げ捨てられた。


その後、私の意識は途絶えた。

もちろん、ウィリアムがどうなったのかも私には分からなかった。

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