第51話 弱点
「起きろ。おい起きろ。」
「んん…」
そんな男の声を聞きながら俺は目を開けた。
そして、今、俺はどういう状況になっているかどうかを知った。
俺は椅子に座らされて手足は縄で縛られていた。
「マヨルダのやつまた酷くやりやがったな。」
目の前の男は俺の腹に巻かれている包帯を見ながらいった。
「俺はどうなって…」
「ああ、覚えてねえのか。お前見つけた時は酷い状況だったんだぜ。腹のここほぼ全部くり抜かれてたんだぜ。」
男はみぞおちを指差しながら説明して来た。
「俺はウィリアム。どうだ?俺と手を組まないか?正直俺はあのメランダに不満を持ってる。この空間に侵入して来た奴らを囮にして俺たちで海底都市から抜け出さないか?」
危うくうなづいてしまう所だった。
フィオナやマロン、それにノアだけではなくアルバートにジェイミー、ローズまでも囮にしてこの場所から抜け出す?
そんなことは俺には出来ない。
出来るわけがない。
「済まないけど俺にはそんなことはできない。」
後ろで何か作業をしていたウィリアムがこちらを向いた。
「なんでだ?こんなにいい条件じゃないか?俺は脱出できてお前も脱出できる。素晴らしいじゃないか?」
ウィリアムがこちらに歩いて来ながら大きな声で言った。
「それでも、仲間を囮にすることはできない。」
そう俺は言い切った。
「そうか。それじゃあお前とはここでお別れだな。」
ウィリアムは俺の近くの足元にあったレバーを引いた。
その瞬間、俺が乗っている床が開き椅子に繋がったまま俺は下へと落下した。
やがて、俺は水の流れの急な洞窟に落下したが当然椅子に手足を縛られた状態では身動きを取ることはできなかった。
そのまま椅子に体を繋がれたまま息をすることもできずに俺は水の流れに負け沈んでいった。
ーメジロ・ユイ視点ー
私が魔法石での通信を切って数分。
場内の廊下を歩いていた私が見つけたのはその場に横たわっているグレイだった。
床には大量の血が流れており、もう死んでいるかも、という妄想が頭をよぎる。
反射的にグレイの元へ行こうとしたその時グレイのそばに一人の男が寄って行った。
「あーあ。メランダのやつまた酷くしやがったな。折角の客人っていうか、利用価値のありそうだった若者なのに。」
そう言って男はグレイを持ち上げて消えてしまった。
だが、その時に何かを落として行った。
男はグレイを持ち上げたため何かを落としたのは気づかず歩き去ってしまった。
近くに誰もいないことを確かめると私は注意を払いながら手帳を拾い上げ中身を見た。
「メランダには注意。マヨルダの部下三人は城外の空気に触れさすことにより白骨化させることができる、ね。」
マヨルダの部下というのはおそらくあの黒いローブの女達のことだろう。
グレイを早く取り戻しに行かないといけないのは第一だが、あの女達の倒し方を知れただけ良しとしないといけない。
フィオナにまず連絡しなければと思い魔法石を取り出した瞬間、その魔法石が割れた。
「何をしようとしてたのかしら?」
後ろにいたのは黒いローブを被った女だった。
「っ!!」
後ろを向いた瞬間白い魔法で作った矢が大量に飛んできた。
それらを掻い潜るようにして私は窓から飛び出した。
「この城の庭にお前のような人間は踏み入れてはならない!」
着地した私を追って女が降りて来た。
どうして女は城外の空気に触れても死なない?という疑問がまず思い浮かんだ。
「まあ、お前もここでお別れなんだけど。」
そう小さく呟いて女に攻撃をする体制に入った。
「サーシャを殺したことがどれほどのことなのか思い知らせてやるよ!」
女は癇癪を挙げて攻撃をする体制に入り私に攻撃を仕掛けて来た。




