第46話 それぞれの探索
—メジロ・ユイ視点—
グレイ達と早々別れた私は地下へ続く階段を下っていた。
地下へ近づくにつれて辺りの灯りは消えて行き、辺りは湿ってじめじめしていた。
「さっさと終わらせましょうか。」
右手に炎魔法で火を作り辺りを照らした。
この城の地下はほとんどが牢屋で出来ている。
辺りを少し見回したが今のところそれ以外見つからない。
だが、もう使われていないのか牢屋は錆びて中には牢屋の扉が錆で倒れているものまであった。
倒れた扉から牢屋の中に入ってみたがすごい異臭がしたのですぐに出た。
「あっ!」
突然体が垂直に落ちた。
いや、地面が崩れて地下からさらに地下に落ちたのだ。
何処まで落ちたのか分からないが辺りにはまだ牢屋があった。
辺りを見回しながら歩いていると奥から話し声が聞こえた。
サッと物音を立てずに近くにあった物陰に身を潜めた。
「……全く、なんたって私達がこんなところを見回りしなきゃいけないわけなの?」
「知らないわよ。マヨルダ様がご命令なさったからよ。」
「ここはあなた一人でできるでしょ。私は上に行くわ。」
「ちょっと待ちなさいよ!私だってここ嫌なのに…」
そんなことを言いながら全身を黒いローブで身を包んだ女は私の前を通り過ぎて行った。
「まずいわね。地下には何も無さそうだし早いとこ、上に行かないと。」
先ほどの女に見つからないように慎重に暗闇の地下の牢獄内から出ようと探索を再開した。
—フィオナ視点—
兄さんと別れを告げ城を出た先にある別棟へと向かい歩いて行った。
「それにしても大きな城ね。」
城の周りを見て分かったが外から見るよりもかなり大きな城だ。
しかも、どうなっているのか庭や城の外にまで手入れが行き届いている。
「いやはや、マヨルダ様は相変わらず怖いの。」
城の外観を眺めながら歩いていると目の前にあった城の中へと続く扉が開いたと思ったら声が聞こえた。
だがしかし、その声の主は物陰に隠れながら確認しても姿は見えなかった。
「私は研究を進めるとするかの。」
城の扉を閉じて別館の方へ向かおうとした時初めてその声の主を見ることができた。
それは、人というにはあまりにも無理がある者だった。
全身を黒いローブで隠し、膝下くらいまでしかない身長。
そして、手足で分かれているのだろうがなぜか四足で歩行している。
その見た目で同じ言語を話している。
「なんなのあれ…」
ボソッと呟きながら前にいる者の向かった別棟へと向かった。
—グレイ視点—
一階と二階は目白さんが捜索してくれるので俺は三階から先を探した。
まずは、入り組んだ廊下の一番奥側から捜索を始めた。
「会議室か?」
長細い部屋に中心を囲うように四角形にテーブルと椅子が置かれている。
しかし、ここには何も無かったので次の部屋へ行く。
そうして部屋を出ようとドアノブを触った瞬間外から声が聞こえた。
すぐに近く物置の中に隠れた。
声はどんどんと大きくなりやがて会議室のような部屋に入ってきた。
「全く何も言うことを聞かない奴らだ。」
物置の隙間からそっと会議室の方を見ると大きな女性が一人絵画の方を向いて喋っていた。
手元は何やら絵画を触っているように見える。
直後、絵画の前にあった壁がゆっくりと回転しだした。
その中へ入って行った女性を追って物置から飛び出したがすでに絵画のところにあった道は閉ざされ元のただの壁となっていた。
「遅かったか…」
先ほどと同じように絵画を触ってみるが何も起きない。
「それにしてもこの城に人がいたとは…」
そう言って俺はこの城の捜索を再開した。
—マロン視点—
グレイ様と城の前で分かれて数十分。
前を歩くグレイ様の友達を守るという大事な役を私は担っている。
「クソッタレが、あのクソババア俺に指図しやがって。」
「みなさんこっちへ!」
私とノアで身を隠せる場所に隠れた。
全身を黒いコートで身を包み黒い眼鏡を掛けている男が前を行く道から歩いてきた。
「なんたって俺がここに来た奴らをとっ捕まえなきゃいけねえんだよ。」
とんでも無いことを言っていると思いつつ、それが私たちだということを悟った。
しばらくして、男が見えなくなったので物陰から出た。
「もしかして、さっきの人が言ってたのって…」
「ええ。私たちのことよ。」
この場所に人がいることも驚いたが、私たちを捕まえるということが一番驚いた。
「とりあえず見つからないように街の中を探すわよ。もしかしたら、ここが何なのか分かるかもしれないから。」
「そうだな。」
ローズとアルバートが言った。
そうして私たちは先ほど出会った男に出会わないように気をつけながら捜索を再開した。




