第45話 再会
城の前の門を風魔法でひょいと飛び越えた俺と目白さんは、城の前にいた人たちの前へ行った。
「フィオナ。」
久しぶり(俺にとっては四日ほど)に会ったフィオナの顔はいつもより少しだけ疲れた顔立ちだったが俺を見るとその疲れも吹っ飛んだのか俺の方に走ってきた。
「本当に兄さんなんですか。変身とかして大きな怪物とかにはなりませんよね。」
そんなことを言われながら体のあちこちを弄られた。
「あぁ、本当だよ。」
「よかった。」
フィオナが安心したような顔を向けて言ってきた。
「そういえば何でこんなところにいるんだ。」
「いろいろあって。もうすぐ夕食なのでその時にお話ししますね。」
そう言って後ろに歩いていった。
そして、何もない空間でフィオナが手をかざすと急にテントが現れた。
幻影魔法かと思いながらフィオナに続いて俺と目白さんはテントの中へと入っていった。
それからというもの、テントに入ってアルバート達がいることに驚かされ、ダンジョンを一つ攻略したことに驚かされた。
そして、何より俺の考えた魔力循環法がアルバート達が使えていたことだ。
「——兄さん達も色々と大変だったんですね。」
「まさか、この世界に来て銃を取り扱うとは思わなかったわ。」
椅子に座っていた目白さんが言った。
「何にせよ、こうして再開できたんだから良かったじゃないですか。」
「ところで、グレイ様たちはここが何処なのか分かりませんか。」
ノアが空になった皿を持ち運びながら聞いてきた。
「残念だけど私たちはわからないわ。目を覚ませばここに飛ばされていたから。」
「そうですか…」
「とは言えまだ諦めるのは早いです。まずは、目の前にある城を探索していきましょう。」
と目白さんとノアが会話して、アルバート達も頷いているように見えた。
「じゃあ、明日はあそこにある城の中を探索しましょう。」
俺が言うとみんな快く頷いてくれた。
—次の日—
「じゃあ皆。城の中にはどんな奴がいるかわからない。誰もいないかもしれない。でも、警戒は怠らないでください。」
朝早くに起床した俺たちは早々に朝ごはんを食べて目の前にある城を探索しようとしていた。
「あのさ…昨日私たちで考えたんだけどみんなで城に行く必要は無いと思うんだ。」
今から行こうと言う時にローズが言った。
「だから、私たちは城に行くのはやめとくよ。代わりに下の街を捜索しておくから。」
それなら効率よくここが何処なのか分かるな。
ただ、三人で街を捜索させるのは少し気が引ける。
「では、私たちが皆さんをお守りします。」
「グレイ様たちもどうかご無事で。」
後ろにいたマロンとノアがそう言って三人の方へ行った。
となると、城の中を探すのが俺、フィオナ、目白さんで街を捜索するのがアルバート、ジェイミー、ローズ、マロン、ノアということか。
「分かった。俺たちはもう城の中に行くから。」
「はい。いってらっしゃいませ。」
その言葉を最後に俺たちは目の前の城へ向かった。
左右に分かれた階段を登り大きな城の扉を力一杯開ける。
重々しい音と共に扉が開き中が露わになる。
「こんなに人気が無さそうなのに中は綺麗なのね。」
城の中はしっかりと掃除され明かりもまるで俺たちを祝福するかのように明るく輝いていた。
「この城とてつもなく大きいので手分けして探しましょう。」
目白さんが後ろで城の扉を閉めながら言った。
話し合った結果、俺がこの城の本館三階より上。
フィオナが別棟。
目白さんが二階と一階と地下。
ということになった。
日が暮れ始めたらこの玄関に戻ってくることを約束した。
「じゃあお互い何かあったらこの魔法石を使ってください。」
フィオナが何か見覚えのあるものを渡してきた。
そしてそれを渡された時、それがなんなのかを悟った。
「これ何処で…」
「屋敷から出る前にありったけ持ってきました。屋敷にもあるんですが、もう連絡は付かず…」
そういうことか。
「それで、これは何?見たところただの魔法石では無いようだけど。」
フィオナから貰った魔法石をジロジロ見つめながら用途を聞いてきた。
「これは、俺が最近作った音声での遠隔会話を可能にした魔法石です。」
「あっ、あんたそんなものまで作っていたの。」
「ええ。まあ。」
こうして言われるとむず痒いな。
「とりあえず何かあったらこの魔法石を使ってください。」
三人とも何かに会うことはないだろうと思ったが、念には念をおすべきだ。
「じゃあ、とりあえず私はもう地下に行くわ。それじゃあ後で。」
目白さんが手を振りながら右手にある地下へと続く階段を降りていった。
「じゃあ私も別棟へ向かいますね。」
玄関から少し歩いたところに見えた別棟。
少しだけ離れているから不安なのだがフィオナならば大丈夫だろう。
気づけば玄関にいるのは俺一人だけだったので俺も目の前にあった階段を使い三階へ行った。
—当城最上階—
「城に客とは珍しいわね。」
そう言ったのは人というにはあまりにも大きすぎる女性だった。
「それにしてもあいつら何処からきたんだ?」
黒い眼鏡をかけ全身を黒いコートで身を守っている男が言った。
「古代の先人が送りつけたんだろう。」
他の人とは違い膝下ほどの大きさしかない人と言うには程遠い外観の者が言った。
「なんにせよ、ここに来たからには潰してみせるわ。それが私たちの使命なのだから。」




