第3話 魔法の講習会
「よし、じゃあまず適当に魔法でも撃て。それで、今後の指導内容を決める。的はそうだなぁ、じゃああの木の小屋を狙え。あそこなら誰も使ってないし、周りに何もないから大丈夫だろう。」
えっ?そんなに俺に信用がないのか。
ナックルの口から出た信じられない言葉に驚く。確かに家は、何度か壊した。
だが、さすがにもう大丈夫。
「わかりました。——水球」
バーンと言う大きな音と共に、小屋が崩れ、粉々になった。
まじかよ。あんなに練習したのに……
「わかった。じゃあまずは、魔法の制御の練習からだな。」
「うふふ。あの子達楽しそうね。」
アーシャが笑いながらヘレナさんに話しかける。テーブルを拭いていたヘレナさんは、庭の方を見た。
そしてヘレナさんも笑いながら言う。
「ええ。そうですね。」
「はぁはぁ。なんでできないんでしょうか。たくさん練習してるのに」
くそ。と思いながら、俺は、悔しい気持ちで言った。
「グレイ。お前は、確実に成長している。だって今、あんなに魔法を打ったのに全然平気じゃないか。最初は、どうだった?1発で倒れたじゃないか。それと同じだよ。ちょっとずつ上達していくよ。」
そう言ってナックルは、励ましの言葉をさ俺にかけた。
まさかこんなに、魔法の制御が難しいとは、俺も思ってもいなかった。
そういう気持ちで、午前の魔法の授業が終わった。
午後は、アーシャからの授業だった。
アーシャは、いろいろなことを教えてくれた。
たくさんのことを少しずつ教えると、俺に昨日寝る前に言ってきた。
今日は、何かなと思いながら、1階に行く。
「グレイ!こっちの席に座って。」
「グレイ。魔力っていうものについて話しましょうか。魔力って、どこにでもあるのよ。例えば、グレイの前にも後ろにも、どこにでもある。でも、それを気づかないで、みんな過ごしている。魔法を撃つときって、自分の中からもだけど、空気中の魔力も吸収して、魔法を放っているの。」
へぇ。これは初耳だ。
「グレイの場合はね、空気中の魔力を体に取り組む量が多いの。だから、少ししか自分は、使ってないと思っても、実際は、すごい量を使ってることになる。じゃあどうやったら体に取り込む魔力を減らせると思う?」
俺は、考えた。
まず、空気中の魔力を体に取り込んでいるのすら気づかなかった。
気づかなかった。
ん?そうか!
「空気中の魔力の流れを掴み取ればいいと思います。」
「そうよ、グレイ。具体的には、魔力は、空気とは違って、特定の周波がある。それを掴んで体の中に取り込む。それができて初めて、レベルの高い魔法でも、威力を抑えて撃つことができるのよ。」
なるほど。そういうことか。
今日はアーシャに教わった方法を試そう。
まずは、魔力の流れを掴まないとな。
俺は、これまでで1番集中した。
目を閉じて、呼吸を抑えて、空気中にある魔力の流れを感じようとした。
けど何故だろう。
魔力がどんなものかわからない。
それもそのはずだ。
魔法は、撃てるが魔力は撃ったことはない。
だから、まず魔力を撃つことにした。
身体中にめぐっている魔力を、少しだけ。
じゃないとまた家を壊してしまう。
それを指先に集中させる。
手を開いているちょうど真ん中ら辺に集中させて自分の手から放つ。
パンと小さい音で壁が少し焼けた。
初めて威力を抑えられた。
そこで俺はようやく魔力がどんなものかを理解した。
これが魔力なのだろうか。
確かアーシャは、魔力は身体に取り入れて魔法を出すって言ってたよな。
じゃあ魔力を出さずに閉じ込めたらいいんじゃないか。
俺は、集中して指先から魔力を取り入れた。
するとさっき使った魔力がどんどんと回復していく。
これを使えば魔法をずっと使い続けられるんじゃないか?
これは、俺だけの秘密にしておこう。
そういう満足な気持ちを胸に抱いて俺はバッドに入り眠りについた。
今日は、いよいよ待望の妹が生まれるらしいが、アーシャは何も異変がない。
いつも通り朝食を食べ、授業をした。
が、夕食の前に出来事は、起こった。
破水だ。
俺も生で出産を見るのは初めてだ。
だか、家族全員落ち着いている。
もう一回出産を経験しているからだろうか?
あれからだいぶ時間が経った。
「アーシャ様頑張って下さい。」
ヘレナさんが、アーシャの息に合わすように、ゆっくりと語りかける。
こんなとき、男はなんて弱いんだろう。この時初めて実感した。
アーシャが頑張っているのに、男二人は、何もできないで、ただ呆然として、アーシャの応援をすることしかできないのだろうか。
情けない。自分に腹が立ってくる。
「アーシャ様。頭が見えましたよ。あと少しです。」
俺はもちろん家族全員が待ち望んだ瞬間だ。
そして、生まれた。俺の妹が。
大きな産声をあげて。
「アーシャ様、おめでとうございます。アーシャ様の娘様ですよ。」
といい、アーシャにゆっくりと布を巻いて渡す。
「あぁ、やっぱりいつ見ても生まれたての赤ちゃんは、可愛くて無邪気ね。」
まぁ俺は、演技なんだけどね。そう思いながら、俺の妹を見つめる。
俺も生まれた時はあんな感じだったのか。
「おめでとおぉぉぉぉアーシャああ!!!」
一際目立ってお祝いしていたのは、ナックルだった。
泣きながら大きな声でアーシャに抱きつこうとしたが、ヘレナさんが、ナックルを止めた。
「旦那様!産んで直ぐにそんな勢いで抱きつかれますと、生まれてきた赤ちゃんにもアーシャ様のお体にも触られます。おやめください。」
そう言ってナックルを落ち着かせようと必死になっていた。
そうやっている隙に俺は、こっそりアーシャのとこへ行って、生まれてきた赤ちゃんのところに行った。
髪は、俺と違って白色か。
目は、なんて綺麗なんだ。
なんでも透き通してみてきそうな美しい青色だ。
すごく綺麗だ。
「お母様!おめでとうございます。俺は背伸びしてお祝いをした。」
「ありがとう。グレイ。今日からあなたは、お兄ちゃんよ。しっかりしてね。」
疲れたような声で俺に話しかけてきた。
もちろんだ。
しっかりするに決まっている。
俺は、今日で3歳だ。
3歳ということは、お祝い事がある。
まぁ日本で言う七五三みたいなものだ。
妹の名前は、生まれて3日で決まった。
妹の名前は、フィオナだ。
フィオナ・ジュリエット。
とても可愛い。今ようやく、首が座り立てるかどうかといったところだ。今のところ元気だ。
夜は、ヘレナさんがこれまでで見たことないくらいの、豪華な食事を作ってくれた。夕食を食べている時に、ナックルから聞かれた。
「グレイ、お前いつから大学行くんだ?」
俺は、ドキッとした。俺の最も大きいトラウマだ。
だか、俺はもうそんなことは気にしない。俺は、もう強いだから、力強い口調で、いった。
「フィオナと一緒に、大学へ行きます。」
もちろん将来の相棒と一緒に学校へ行く。置いてきぼりには、絶対させない。
決して俺が学校が怖いと言うわけではない。
「そうか、まあそれも一つの選択肢か。で、どこの大学だ?」
そんなものもちろん決まっている。
「フィオナも僕もセツシート大学です!」
力強い口調で言った。
全員が口を開けてぽかんとしているが、ナックルは、言った。
「それは、いいな。グレイ頑張れよ」
そうして夕食は、終わり今日もまた終わった。