第34話 結果発表
兄さんたちが消えてから三日が経った。
その間、教員たちは半数が兄さんたちを探しに行き半数が学校に残った。
中学年期末試験中止後、わずか一日で元通りの教育体制に戻したのは学校の対応力が素晴らしかったからであろう。
それに伴い兄さんに会いたい、という気持ちがどんどんと大きくなっていった。だが、そんな気持ちを抑え込んで過ごしてきた。
「ねえフィオナ。お兄さんのことが心配なのは分かるけど、今は試験に集中してくれないかな。」
ローズが前を行く私に向かっていってきた。そう。私は今、学校が管理している体育での期末試験中だ。
学校側は試験を中止し、二日後にまだ試験が終わっていない人を対象に二人一組で学校の体育館で試験をすると言ってきた。
正直今は、試験なんかより兄さんの方が大事だったので校長に言いにいったが、そのまま追い返されただけであった。
そのため仕方なく試験を受けている。
体育館では校長との対戦によって試験の得点が採点される。
「ごめんなさい。そうですよね。進級に関わりますもんね。じゃあ試験がんばりましょうか。」
「は、はい…」
ローズが自身なさげな弱々しい言葉で言ってきた。
「フィオナさんの実力は十分知っておりますので今回はローズさん一人で私と対戦することになります。」
校長は私と戦う事を拒否してしまった。
理由は今学期の授業内容はすでに獲得済だからという事だった。体育館の隅に行くときにローズに向かって小声で言った。
「頑張って。」
少し離れて後ろを振り返ってみるとローズは私の方をじっと見つめてきた。
そんな目で見られても…
私だってローズと一緒に戦いたかったけど校長がダメって言ったから、と自分に言い聞かせた。
「聞いてよ!フィオナったら、私が一人で試験を受ける前何を言ったと思う?頑張って、の一言よ!」
食堂で私の横でローズがジェイミーとアルバートに向けて喋りかけていた。
「まあ、フィオナが特待生だったからだろ。」
「そういうこともあるからね、あんまり気にしないのがいいよ。」
「なんでみんなそんな事言うのよー。」
ローズが涙目になって机に倒れ込んだ。
毎日をそんなふうに過ごしているが兄さんのことを一時も忘れた事はない。
試験のことを知らされたとき校長の元へ行き、試験をやるよりも兄さんを探してくれと言いにいったほどだった。
だが、お兄様たちは只今捜索中です、と言われて部屋から追い出された。
学校側は本当に兄さんを探す気はあるのだろうか。
それが兄さんがいなくなって学校に通っている間に思っていた一番大きな疑問だ。
今日は、高学年進級試験の結果発表日だ。
「フィオナが戦ってくれなかったから一時はどうなることかと思ったけど、どうにか高学年に上がれてよかったー。」
ローズが自分の名前を見つけた時言った言葉はそれだった。
掲示板を見ると、グレイ・ジュリエットという名前もしっかりとあった。
ついでにメジロ・ユイともあった。
「今回の試験はいろいろあったからな。」
「うん。フィオナさんもその…お兄様のこと…」
アルバートとジェイミーが私のことを気づかって聞いてきた。
「過ぎてしまった事は仕方がないわ。この高学年になるまでの期間は私はセツシートを出て兄さんを探しに行くことにしたから。」
私の周りにいた3人が口をぽかんと開けていたがローズが状況を理解したのか喋りかけてきた。
「それじゃあ私もついて行くわ。フィオナ一人で行くのは危険だもの。」
「俺たちもついて行くぜ。」
「はい。グレイさんを心配しているのはフィオナさんだけではありませんしね。」
反応は予想していた通りだった。
「何を言ってるの!ここから外は危険だし私だってみんなをかばいきれないかもしれないのよ!」
というのも兄さんが消えた日に屋敷にいたお手伝いさん十人を探しに向かわせた。
そしてそのうちの一人から連絡があった。
禁忌魔法陣と普通の転移魔法陣が一緒に書かれたダンジョンがあると。
その情報も本の情報だったが今はそれで充分だった。
「俺たちだって自分のことくらい自分で守れるさ。」
「そうよ。あなた一人では無理がある。」
「少しは私たちを頼ってください。」
みんなしてなんで…
どうしてそんな自分の身を投げ出すようなことを…
「分かりました。明後日の朝八時に用意をして私の家に来てください。」
兄さんを捜索する際の人数は多い方がいいし、ダンジョン内にもし入るのなら周りを見る人は多い方がいいだろう。
屋敷に戻って私はお手伝いさん全員を食事ホールに集めた。
「…というわけですのでマロンとノアは、私たちについてきてもしもに備えて守って欲しいのだけど…」
家に帰った私は先ほどまでの話を残った十人に説明していた。
「ご光栄です。我が命に変えて守り切って見せます。」
「グレイ様を取り返すのならば私の命も惜しくありません。」
マロンとノアは私の言葉が終わる前に迷うことなく了承した。
「マロンとノアは私についてきてもらうけど万一に備えて警備は怠らないこと。もし兄さんが帰ってきたらすぐにこれを使って連絡をよこすこと。」
私は手の中に握った小さな魔法石を見せた。
これは、兄さんが禁忌魔法陣で飛ばされる前に私に渡してくれたものだ。
なんでも離れた場所でも連絡が取れる優れものらしいが、詳細な仕組みまでは私は理解できなかった。
「これは…」
お手伝いさんが困った顔で私に聞いてきた。
「これは魔力を注ぎながら魔法石に向けて話すとこれを持っている私のもとに言葉がそのまま送られるものです。」
「分かりました。万一の場合に備えて私たちはこの屋敷を守ります。」
そう言ってお手伝いさんと私の会議は終わった。
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