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第30話 ダンジョン攻略⑧


「ゴオオオォォォ!」


俺がヴィンセントの方に向かって歩くとそれに気付いたのかすごい声と威圧をかけてきた。

だが俺はそんな威圧には負けずヴィンセントの方へ向けて銃を撃った。

当然ながら銃弾は周りに背中から出る触手によって弾かれた。

どうしたものか。

この狭い場所でどうやってあいつと戦うか。

おそらくここで戦うことはあまりいい選択とは言えない。

だからここから抜けたところにある工場のようなところなら十分な広さもあるし戦えるだろう。

でも、あいつの近くを抜けて横に逃れることはおそらく無理だと思う。

あいつが近づいて来て攻撃している隙ににげるか?

多分攻撃している隙に横に逃げることは可能でも背中にある触手が俺を捕まえるだろう。

それにあいつはパルワードと違って知能もある。

たとえ隙を作るまで待ったとしてもあいつがそんなに油断するはずがない。

したとしても俺を捕まえるための罠だと考えるのが妥当だろう。

何か使えるものはないかと思い辺りを見回すと気になるものがあった。


「一か八かなるしかないな」


俺はそう言ってヴィンセントではなく、その近くの壁を狙った。

ヴィンセントは自分の方に銃弾が来たと思い触手で銃弾を跳ね返そうとするが残念ながらそちら側に銃弾は飛んでいってない。

すると俺の狙った方から辺りに煙が立ち込め出した。

俺が狙ったのは壁の方にくっついていた消化器だ。

いくら銃弾を跳ね返せても煙を一瞬で払うことは無理だろう。

煙が立ち込め出した瞬間、俺はヴィンセントの伸ばした触手と反対側から走って工場側の扉へ走る。

見事ヴィンセントが煙で視力を奪われている隙に俺は工場側へと来ることが出来た。

だがここからが本番。やっと十分広さのある戦場が用意されたのだ。

ここからどうやってあいつを倒すか。

どう考えてもあいつに銃を撃ったとしても跳ね返させられるのがオチだろう。

そう考えていると扉の方から黒い触手がこちらに飛んできた。

マンホールの中で俺をこの施設まで突き落とした時と同じ感覚だったが今回は前回とは比にならない速さで避けられなかった。

そのため全身で触手の攻撃を受けてしまい俺は柵の方まで吹き飛ばされたが、その反動で通路から下の地面まで落ちてしまった。


「うっ…」


唸り声をあげて俺は背中から数十メートル下へ落下してしまった。

当然ながらこれではヴィンセントも俺のことを見逃さず上から飛び降りて来た。

ヴェールのような鋭い爪が生えた右手で俺を攻撃しようとして来たので俺は背中の痛みを堪えてその攻撃から逃れた。


「ゴンッ!」


地面が大きく割れる音がして元いた場所を振り返る。そこにはヴィンセントの右手の大きな爪が地面に刺さっていた。


「おいおい、マジかよ。」


その光景を見た時、自然に俺の口から出た言葉である。

右手の長くおぞましい爪のほぼ全てを地面に突き刺し刺されたところから四方八方に大きな亀裂が走っていたからだ。

もし、あのまま俺が避けずにあの場所に残っていれば今頃ヴィンセントの右手に腹を貫かれてしまって地面から爪を抜いた後も俺の体は爪についたままだったかもな、と思った。

ヴィンセントが右手を抜こうとしている間に俺は少しでも距離を置こうと必死に隠れられる場所を探した。

やっとのことで身を隠すことができる場所を見つけて俺はそこに隠れた。

そこは、パイプなどの工業用の荷物が置かれていた机の下だ。

ここに入るのを見ていない限り絶対に見つからないはずだ。

この付近にはそもそも荷物が散乱していたしこの机の入り口には鉄の板が立て掛けてあったからまさかここに隠れているといるとは思わないだろう。 

この近くをヴィンセントが通る音がしたが気付かずにそのまま向こうのほうへと歩いていった。

自分の安全を確認した俺は机からはい出て入って来たほうと逆のほうに歩いていった。

そこは小さな空間がありその先には頑丈そうな鉄の扉があった。

その扉を体重で押して俺は中に入った。

その中もやはり工場のようになっていて外側の場所からベルトコンベアで繋がっていた。

だが、ここは他のところとは少し違っていた。

なぜなら、ここには完成したものが運ばれて来て保管されていたからだ。

ずっと気になっていた。あそこで何を作っていたのかを。

ベルトコンベアで何かの部品が載っていたがここに運べれてきてそのまま組み立てられていたとはな。

しかもここで作られていたものが一番の問題だ。

壁には大量の爆発物のようなものがかけられておりそからかしこに床にも散らばっていた。

いちばん奥の机によりその机の上に散乱していた書類から一枚の紙を見つけた。



爆発物について

この度は所長の名により爆発物の作成を命じられ、爆発物の完成が出来た事をお知らせします。

威力は十分。一度着火すれば近くにあるもの全てを燃やし尽くすほどの威力を確認できました。



ん?爆発物?もしかしたら…これを使えばあいつを倒せるのか…

俺はすぐにこの部屋を出てあいつを探しにいった。

もしかしたらこの部屋にある爆発物であいつを燃やすことができるかもしれない。

再び机の下を通り工場内を探していると前からゆっくりと歩いてくる巨大な物体が迫ってきた。

ヴィンセントだ。

俺はあいつに向けて銃弾を1発撃ち込みこちらに気づかせると走ってこっちに向かってきた。

先ほどのことがよほど頭に来たんだろうな。

急いで先ほどの場所まで戻るとヴィンセントは背中から生えている触手で机の上にある鉄パイプをあろうことか軽々持ち上げて横に放り投げてきた。それも1つではなく全てを持ち上げた。

ここにいては危険と判断しそのまま爆発物のある部屋に行きあいつが入ってくるのを待った。

あいつが入ってきたらおそらく俺を探すだろう。

その間に俺は急いで部屋から出て先ほどの部屋から持ってきた爆発物一つに火をつけて部屋の中に入れ扉を閉める。

爆発物は一つで全てを燃やし尽くす。加減があるだろうがあれだけあるんだ。部屋ほぼ一面にあった。ならおそらくあいつを燃やし尽くすことくらい出来るだろう。

そんな事を考えているとあいつがまさかの扉を触手で思いっきり突き破ってきたが俺は動じる事なく近くの物陰に隠れていた。

やがて、奥の方へと俺のことを探しに行くと俺は急いで外へ出てポケットの中にある爆発物に火をつけた。

そしてすかさず部屋の中に投げ捨てた。

扉がない以上爆発に巻き込まれるかもしれないので俺は出来るだけあの部屋から離れた。

だが爆発物が床に落ちた音で部屋の中にいたヴィンセントも俺がこの部屋から逃げたことに気づいたようだった。

俺は先ほどの部屋の方へ振り向いた。

ヴィンセントが走って俺のほうへと走ってきたが、それよりも早く爆発物が大きな音と共に爆発した。

すると、部屋の爆発物もその爆発に巻き込まれて一緒に爆発した。

これによって施設は一気に振動して地下にあった施設はこの衝撃に耐えきれず上で待っていた目白さんと共に俺もヴィンセントも施設共に地下に埋まった。

ちゃんと俺はヴィンセントを倒せたのだろうか…

そう思いながら俺の意識はもうろうとしていった。

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