第2話 ナックルの授業
「んん…」
そう言って俺は目を覚ました。
「起きましたかグレイ様。」
そう言ってヘレナさんがアーシャとナックルを呼びに行った。
一体俺はどれくらい気絶したんだ?そんなことを思いながら自室のベッドから起きて座った。
すると、ドタドタと音を立てて、アーシャとナックルが、走ってきた。
「もう大丈夫?体に変なところはない?」
「ちゃんと動けるか?」
心配そうにアーシャとナックルが聞いてきた。必要以上に心配されている。だから聞いてみた。
「もう大丈夫ですけどなんでそんなに心配そうなのですか?」
アーシャもナックルもヘレナさんも驚いた様子で口をぽかんと開けている。
あれ?もしかして変なこと言っちゃった?
そんなことを思っていたら、ナックルが言った。
「お前が昨日使っていた魔法は、レベル7なんだぞ。それをわかっているのか?」
レベル7?そんなものあったのか。そんなのわかるわけないだろ。
こんな小さい1歳迎えたばっかりの、幼い子供に。
「それってすごいのですか?お父様。」
「よし。お前ももう子供じゃないんだな。明日この世界について。魔法について。常識について授業をする。本来なら、ジュリエット家では、3歳を過ぎてからだが、まぁいいだろ。」
思い切った顔でナックルが言った。
「旦那様、まだ若すぎますよ。」
ヘレナさんが言った。
だが、ナックルはそんなことを聞かずに言った。
「いや、この子ならきっと大丈夫だ。」
そう言って満足した顔で、部屋を出ていった。
それに続いてアーシャも出ていった。
もう、皆様!と言って、ヘレナさんも出ていった。
この件で俺はようやくわかった。
ナックルは少し頭の構造が違うようだ。
だが、実力は本物だ。
ナックルの行っていたセツシート大学というこの世界で二番目に良い学校は入学した。
それゆえに制限がこれでもかというほど少ない。
理由は、簡単。
この学校に入るのが難しいからだ。
実力などを考えると、この学校に入るのが、1番だ。
そんなことを考えていると、ヘレナさんの声が聞こえてきた。
「グレイ様!ご夕食の準備ができましたよ!」
その声を聞きたら俺は夕食を食べに下へ降りた。
「よし。じゃあグレイ説明していくぞ。」
「はい!お父様!」
この日が来た。今日は昨日言っていた、この世界のあれこれについて教えてもらう。
「じゃあまずだ。この世界は、6つの区切り目がある。真ん中にあるのが、この世界で最も栄えている都市だ。」
俺はんっ?と思った。この地図は間違ってないよな?どうみても反転させて回転させた日本じゃないか。
でも、なぜだろう。
この真ん中は、どうみても東京の位置じゃないか。
「で、この西の方にあるのが2番目に栄えている都市だ。ここが、俺の通っていた大学。セツシート大学がある。
まあ、これくらい知ってればあとは、学校がなんとかしてくれるか。」
「あっ!そうだ。学校については、まだ話していなかったな。この世界の学校は、小学年、中学年、高学年、とそれぞれ、4年に一回階級が上がる。で、卒業試験は、高学年になって、2年に一回だ。試験は2つある。筆記 実技 この2つだ。」
うわっと思った。実技はまだしも、筆記は絶対無理だ。しかも2年に1回って。一回ミスったら2年やりなおしかよ。
キツすぎだろ。
この情報は流石に知らなかった。
俺が知っているのは学校の偏差値だけだからだ。
「じゃあ次だ。魔法についてだ。グレイ。お前が昨日放った魔法は、レベル7でな。学校と同じように魔法にも段階がある。レベルは10がマックスだ。でも、そんなの使えるのなんてそうそういない。ちなみに父さんも使えるんだぞ。」
「えっ?」
思わず声が出てしまった。
「まあそういう反応をするかと思いましたよ」
ヘレナさんが言った。
「次が最も大事だ。この世界には、何回か神がこの世に来る。その神は、ホッ・カイドウという都市を一日で消した。」
ナックルのいうホッ・カイドウとは、日本で言う北海道の位置に見えた。
ここで俺はようやく理解した。
俺が相手にしようとしてる相手は、北海道を1日で、消すやつなんだと。
「よし、まぁ色々勉強したし、2歳半から魔法をお前に教えようと思う。」
俺は、目覚めた。
全く朝なのになのでこんなにうるさいんだ?
俺はそう思いながらベッドから出て着替えた。
その後、下へと向かった。
そこで俺は驚くべきことを知らされた。
どうやら、俺についにお兄ちゃんになったようだ。
「よかったなぁ。グレイ!お前はもうすぐお兄ちゃんだぞ!」
「お父様。弟ですか?妹ですか?」
嬉しかったので直ぐに聞いた。
「えーーっと…多分妹だそうだ。」
「わかりました。お父様!」
俺は、嬉しかった。素直に
前世では叶わなかった、女子と話すこと。俺に理想論かもしれないが、それでもいい。
ただ、妹がいるだけで。ただそれだけで。
「アーシャ様、ナックル様、グレイ様、朝食の準備が整いましたよ。」
相変わらずヘレナさんの作る食事は、とても美味しい。
朝食を食べ終わり、ナックルがいった。
「グレイ。行くぞ。」
「お父様どこへ行くのですか?」
俺は聞いた。行くぞだけではわからない。
「もちろん外だ。っていても庭だけどな。」
講義から1年半色々あった。陰で魔法を使ってみていた。
だけど、毎回調整を間違えて、家の壁とか床を破壊した。
中には、アーシャとナックルが絡んでいる場所に突っ込んだ時もあった。
でもこの1年半で魔力もだいぶ増えて、調整もできるようになった。
「だから、この魔法の授業を楽しみにしていた。」
そういうワクワクする気持ちを、胸に抱いて俺は、ドアを開けて外へ出た。