第26話 ダンジョン攻略④
奥へと進んだ先には2人分のハンドガンと弾薬が各2個ずつ用意された箱があった。
俺と目白さんはそれぞれその箱の中のものを取って手に持った。
恐らくこれが先ほどの石板に書いていた武器なのだろう。
ていうか、ここのダンジョン作った人逆にすごいな。ゲームの再現ってハンドガンまで作ってるよ。
しかも弾薬まできっちりと用意されて。
しばらく警戒しながら奥へと進むと魔法陣があった。そしてまた石板があった。
ここから先が僕が作った最高傑作。
神に侵略されて残り少ない命で全てを捧げて作ったもの。
これをクリアしたら魔法石をさずけよう。
だがこのダンジョンは今までにない悲しみを其方らに植え付けられるであろう。
とだけ書かれていた。最後の一文だけ意味がわからなかったが今はそんなことは気にしている場合ではない。
「目白さん。この魔法陣は安全なんですか?」
また、変なところに転移させられたら嫌だから一応聞いてみる。
「わからない。この魔法陣は何かの空間に繋がっているのだろうけどその空間が安全とは言えないから…」
なるほど。じゃあ石板を信じて魔法陣に飛び込もう。
「でも、もうここしかないので行きましょうか。」
そう言って一緒に魔法陣に飛び込む。目の前が明るくなりもう一度目を開けるとそこは檻の中だった。
「なんでこんな檻の中にいるんでしょうか?」
「それを私に聞いてもわからないわよ。」
そりゃそうか。魔法陣に飛び込んで気づいたら檻の中だもんな。もしかしてここがあの石板に書いていた最高傑作とやらなのだろうか?
ならば瞬間移動などの魔法は本当に使えないのか試してみよう。
俺はこの檻の中で瞬間移動をしようと思ったが思うように出来ない。
空気中に出した魔力がどんどん消えていく。
おそらく空気中に魔力自体がないのだろう。
だから普通の人は魔力を身体に取り込めずに魔法を出せない。
一方、俺は空気中から魔力を身体に取り込んでいないので魔法こそ出そうと思えば出せるがすぐに空気が魔力を吸収して魔法をかき消してしまう。
だから俺も魔法を使えず、魔力を必要とする瞬間移動も魔法空間も使えない。
すると、大きな振動音が響くとともに天井が崩れ落ちて来た。
幸い俺と目白さんは落ちて来た天井とは反対側に立っていたので落ちて来た瓦礫の山の下敷きになることはなかった。
「いきなり落ちて来たからびっくりしたけれど、この瓦礫を使えば外に出られるかも知れないわね。ちょっと瓦礫を集めるのを手伝って。」
そう言われたので俺は仕方なくあたりに散らばった瓦礫を拾い集めて目白さんに渡した。
やがて、瓦礫が階段のように積み重なり上へ登れるようになった。
俺が先に上へ登り後に続く目白さんを助けて地上に登った。
地上へ出た先は空港の前だった。
「あの空港に行けば何か見つかるでしょうか?」
冷静に目白さんに聞く。
「そうね。今はそれしか考えられないからとりあえず行ってみましょう。」
そう言って空港の方へと歩いて行った。
空港の中は先ほどのセツシートの街と同じように荒らされていた。
「これはひどい状態ですね。」
「そうね。じゃあこっちに言ってみましょう。このダンジョンのクリア方法が分かるかもしれないわ。」
そう言って空港の右側に行こうとした時、上の方にあった液晶パネルが光りそれと同時に音が鳴り始めた。それに気づき俺と目白さんは液晶パネルの方を見た。そこには1人の男が立っていた。
「ダンジョンに来た皆さん。まずは魔法石9個集めたことを褒めましょう。僕は古代の先人って名乗ってるグループのリーダーだ。諸事情で名前は言えないけどね。そんなことよりこのダンジョンを攻略したいよね。だから教えてあげる。まずこのビデオを見てね。」
そう言って一瞬画面が黒くなりまた光が灯る。そこには先ほどと違う人が立っていた。
「我々はこの滅んだ土地からより強いモンスターの血液を採取。その後鑑定した結果人体に投与すれば超人的な能力を得られると言う結論に至り人間への接種を開始した。投与されたものは皆自我を失い暴れ続けた。以降血液を打ち込んだものをパルワードと言う。だが、1人ずつ投与するのは効率が悪いと判断し血液の力を得られる部分のみを分別した。以降これをG6と言う。G6を集団で投与し自我を持たせる方法を模索した結果、G6に耐えるには空気を遮断した真空状態でG6特有の凶暴性を無くした状態にすることが必要ということに至る。真空状態は最低でも10年間が必要と判断し実験は停止。実験に使ったG6は肌に触れただけでパルワードになるため厳重に警戒し保管する場所を絞りチェイス島とシーロード島の空港付近に保存することした。」
そう言われてまた画面が暗転しまた戻った。
「これがこのダンジョンの大まかな説明。簡単に言うと君たちが攻略してきたダンジョンと同じさ。ボスを攻略する。でそのボスっていうのがG6を投与して真空状態にいるやつを倒すってこと。魔法は使えないけど、最低限のことはしたからあとは君たち次第。これからするべきことを書いて紙をそのカウンターの前に置いてるはずだからそれを見るといいよ。で君たちが出てくる時にあった爆発でここの下にあったG6が出ていちゃったからこれからパルワードがたくさん出てくると思うけど頑張ってね。」
そこで液晶パネルは消えた。全く、設定が多かったが要は本当にゲームを作ったってことか。目白さんはもう俺の隣にはおらず、カウンターの前に行きこれからするべきことを書いた紙を見ていた。
「なんて書いているんですか?」
じっと紙を見つめていた目白さんに向けて聞いた。
「まずこの島から飛行機に乗ってボスを倒せ、とだけ書いてあったわ。」
全然それじゃわからないな…そう考えていると後ろから物音がした。そこには人間とは思えないほど肌が白く変色した人がいた。俺たちを視認すると走って襲いかかってきた。
魔法を発動しようとするが、この空間では魔法が使えないことに気づく。先ほどの白い人は俺を押し倒して手で殴ろうとしてきたが大きな銃声とともにその白い人は倒れた。
「何してるのよ…多分これがパルワードっていうやつよ。まだ確信はないけど…」
自信なさげに目白さんが言ってきた。
「ありがとうございます。」
「いいのよ。さっさとこんな所から出るために飛行機を探すわよ。」
頼れる人っていうのはきっとあんな人を指すんだろうな。俺は目白さんの後に続いて行った。
だいぶパルワードとの戦闘も慣れてきた。この銃も操作に慣れてきてしっかりと道を進むと弾薬も用意されていていた。このダンジョンっていうかゲームを作った人すごいな。
しばらく歩いていると飛行機を見つけた。搭乗口に行くが肝心の搭乗口のリフトを動かすための鍵がなかった。
「鍵がありませんね。どうしましょうか。」
「どうしようも何も探すしかないでしょう。」
嫌な予感がした。このめちゃくちゃデカい空港の中を探しまくって小さい鍵を見つけるのなんて無謀だと思った。このダンジョンをクリアするのはしばらく先だろうな。
「じゃあ、手分けして探しましょうか。」
1番効率的な方法を選んだ。
「そうね。私は左を探すからあなたは右側を探して。30分経ったらここに絶対戻ってきて。いいわね。」
目白さんはそう言い告げて左側に歩いて行ったので、俺は右側に歩いて行った。
空港内を片っ端から探し回った。おそらくパルワードが持っているのではないかと思い倒し続けた。先ほどの目白さんと別れてから30分ほど経った。ヤバっと思い急いで先ほどの搭乗口に戻る。幸いまだ目白さんはいなかった。
5分くらいして目白さんが来たがやけに服が汚れている。
「目白さん何かあったんですか?」
あまりに汚れていたので心配して聞いた。
「ええ。ここの鍵を持っているパルワードを見つけたんだけど、そいつ他のやつらと比べ物にならないくらい力も強くて…」
ここで俺はこのダンジョンを作った人の言葉を思い出す。
このダンジョンは僕の好きなゲームを再現した、と書いていた。となるとその鍵を持っているパルワードはおそらくゲームの中ボス的な存在。だとすると油断はできない。
「目白さんはここで休んでおいてください。僕がそのパルワードを倒して来ます。」
「でもあなた1人じゃ…」
「大丈夫です。自分の体のことを心配してください。」
「そこまで言うなら任せるけど、危険と感じたら逃げて戻って来なさいよ。この先私1人じゃ当然攻略できないだろうから。」
「分かりました。」
それだけ言い残して俺は目白さんが探しに行っていた方向へと進んでいった。




