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第19話 夏休み①

 

「グレイ様!グレイ様!朝ですよ!起きてください。」


今日は夏休みの記念すべき1日目なんだからもう少し寝かせてもいいだろ、と思いながらベッドから出ようとする。マロンが腰に手を当て頬を膨らませて怒っているように見える。


「なんで起きないのですか!こんなにずーっと呼んでいたのに。」


「だって今日は夏休みの記念すべき1日目だからだらだら過ごそうかなって思ったのになんでこんなに起こすのが早いんだ?まだ8時だぞ。」


ベットから出て服をこの前買った白い服に黒いロングジャンパーのようなものを着ながら言う。


「グレイ様は、女子がいるのに目の前で着替るなんて恥ずかしさを感じないのですか。」


すこし顔を赤らめてややうつむき加減で俺に聞いて来た。


「別に恥ずかしいとは思ってないよ。マロンも女子だしすこしは恥ずかしいと思うかもしれないけど見られて困るものじゃないからね。」


そう言って一階に向かう。今回は瞬間移動を使わずに歩いて一階に向かった。

 

「ねえねえマロン。」


「なんですか。グレイ様。」


俺の後ろを付いて来るマロンに対して顔を後ろ側に向けて聞いてみる。


「昨日グレイ様言ったこと覚えてないんですか!」


俺が昨日なにを言ったんだ?フィオナに対して婚約を申し込んだのか、それともマロンに言ったのか?どちらにしろまずい。

覚えてないと聞かれたので俺は顔を縦に振った。


「昨日食事の時グレイ様、明日は実家に帰る。親に君たち20人を紹介したいから準備しておいて、って。」


知らないな。マジで言ったんならそう言うことにしよう。


「わかった。じゃあ今日親のもとに言って紹介をするよ」


そう言って朝ご飯食べ始める。今回はついに納豆が食べられるようになった。作り方は前世テレビで見た方法をうろ覚えだか5人の料理家たちに任せておいて、試作を何回も食べた。

お腹を壊した日もあった。

毒を喰らった日もあった。

だが、そんな日々も今日この日のためにあった。

納豆にタレをかけて箸でくるくるとかき混ぜ口の中に入れる。

これだ!この味をずっと求めてたんだ!


「料理長!君はやっぱりすごいよ!この納豆。100点だ!」


そう言うと料理長とその部下たちは席を立ち俺の方にお辞儀をする。


「褒めていただき光栄でございます。」


そう言ってみんなをナックルたちに紹介することを伝える。


「みんな、今日の昼頃に俺の実家に帰る。みんな実家に行ってもらい挨拶をする。それで、俺とフィオナは2日間過ごすけどみんなこの家にいておいてください。もし僕の友達が来たら家に呼びに来てください。」


「グレイ様のいう通りにいたします。」


マロンが言うとそれに続いてみんなもグレイ様の言う通りに、と言った。





「よし。じゃあみんな実家に行くけど準備はできたか。」


料理人たちは俺が用意した執事のようなスーツを着せて、お手伝いさんもスーツを着せた。流石に露出の多いメイド服で親に合わせたら俺の趣味がバレて大変なことになってしまうからな。


「はい。しっかりと挨拶も考えてきました。」


ノアが真面目に答えた。


「フィオナも準備できたか?」


「はい。いつでも大丈夫です。」


そう言ったのでみんな瞬間移動を使って俺の家に飛んだ。この4ヶ月の間にみんな遠いところまで瞬間移動を使えるようになり、料理人の人も魔法空間まで使えるようになった。


「父さん母さん、ヘレナさんただいま帰ってきました。」


1番驚いていたのはナックルだった。まあそりゃ俺とフィオナの2人だと思って見たら後ろに20人のスーツを着た人がいるからだ。


「な、なあその後ろにいる大勢の人たちはなんだ?借金でもしたのか?」


まさかそんな発想が出て来るとはな。でもスーツを着て無言で黙って後ろに立って威圧感があったんだろう。


「この人たちは私たちの屋敷をお手伝いしてくださっている方達ですよ。」


フィオナが前に出てナックルたちを落ち着かせるように喋りかける。


「そうなのか。って言うか屋敷ってなに?お手伝いさんってことはそんな大きな家なの?」


今度はアーシャが落ち着いて聞いて来る。まあ結構大きい家かもな。時間があったら案内しよう。


「まあ、結構大きいとは思います。」


そう言って俺は後ろに下がりノアが出てきた。


「私はフィオナ様の側近を務めさせていただいておりますノアと申します。グレイ様やフィオナ様には大変良い暮らしをさせていただいており、そのお母様やお父様にお会いできて光栄です。今後ともに私たち全員でグレイ様とフィオナ様の暮らしを支えていきますのでよろしくお願いいたします。」


「ええ。こちらこそうちの子たちをよろしくね。」


アーシャがノアと握手をする。ナックルはと言うと未だにに驚きを隠せないようでその場から全く動かない。


「それじゃもう戻っていいよ。あとはよろしくね。」


そう言ってお手伝いさんたちは屋敷に戻って行った。

それからは、何もなく穏やかに2日が過ぎて家に帰る日が来た。


「それじゃあ僕たちは宿題とかもありますので、もう屋敷に戻りますね。」


「もう帰っちゃうの?まだもう少しいてもいいよ?」


ナックルが俺に抱きついてきた。暑苦しいから俺はもう瞬間移動で屋敷に帰る。


「次は冬休みに帰って来る予定ですので。」


そう言ってフィオナも俺の後に続いて屋敷に帰ってきた。





それからと言うもの俺たちは宿題をしたり魔法の訓練をしたりと何も考えずただぼーっとしていた。夏休みの折り返し地点でフィオナが待ちに待っていた旅行に行くことになった。


「みんな明日からローテンド州に旅行に行くからちゃんと準備しておいてくださいよ。」


フィオナが朝ご飯の時に念入りに言っていた。そのおかげで俺も旅行の用意をちゃんと全部入れたかどうか不安になりながら夜眠りにつく羽目になった。


旅行に行く場所ははるか南のローテンド州。

いよいよ旅行当日となりお手伝いさんも全員旅行の準備をして家を出た。

家を出て向かった場所は転移魔法場エアポートだ。

日本とは全く違うが各地にある転移魔法陣と繋がっており空港と同じような役割をしている。

荷物の検査を済ませて俺たちは転移魔法陣の上に立ちローテンド州へと向かった。

ついた先は蒸し暑いの感想しか出ないほど暑かった。

転移魔法場内は冷房が効いているはずなのに温かく感じられた。

その暑さに耐えながら俺たちは、ホテルへと向かった。

ホテルにようやく着き受付の人にチェックインをしてもらおうと思ったが、流石に10歳の子供がチェックインをしていたら怪しまれると思い料理人たちを向かわせた。


「すみません。予約させていただいていますグレイと申します。」


事前に俺の名を名乗るように伝えておいた。予約した名前がグレイだから仕方ない。


「はい。グレイ様ですね。少々お待ちください。」


そう言って受付の人はカウンターでゴソゴソし出して紙のようなものをペラペラとめくり出した。やがて俺の名前を見つけたのか奥の部屋か予約した11部屋の鍵を持って来た。


「ご夕食とご朝食のお時間は電話でお知らせください。とのことです。グレイ様。部屋割りはどうなさりますか。」


そうか部屋を決めるのを忘れていたな。

部屋は2人で1部屋だそうなのでここは公平にくじ引きで行こう。

魔法空間から箱を取り出して1から11を書いた紙を2枚ずつ用意してくじ引きをした。

俺はマロンと同じ部屋になった。それを見たフィオナが妬ましそうに俺を見た。

と言うよりも俺と同じ部屋になって喜んでいるマロンを見ていた。


「決まったものは仕方ない。じゃあ今から自由に動いていいよ。18:30に夕食にする予定だからそれまでには帰ってきてね。」


そう言ってみんな一斉に解散した。俺とマロンは部屋に行って荷物を置いてからフィオナとノアを含めた4人でこの島の観光名所を1日かけて回った。この世界では珍しい水族館に行って18時になっていたのでホテルに帰ろうとする。


「この水族館なるもの何か魅力を感じました。」


俺に向けてそう言ってきたが、俺に取っては前世と同じようなものだったので特に何も感じなかった。


「ええ、ここは他の水族館とは何か違うオーラを感じました。」


ノアもそう言ってきた。まあちょっとは良かったかな。あの水族館も見たことない魚もいたしね!

そのあとは夕食をホテルの1階で食べて何事も起こらず1日が終わった。

次の日の朝も同じように朝食を済ませて午後から海で泳いでいた。ぷかぷか浮いて海を漂いまた1日が終わった。明日はもうこの旅行も終わりだと言う寂しい気持ちを胸に眠っていた。だが、その時事件が起こった。

館内のスピーカーに焦ったような声でアナウンスが流れた。


「みなさん!即時に海から離れてください!海岸にて水竜が現れました!即時に海から離れてください!繰り返します…」


その声と共に俺が飛び起きた。同じくマロンも飛び起きてドアが勢いよく開きフィオナとノアも入ってきた。


「兄さんどうしますか?戦いますか?」


そんなことを言われたら戦うしかなくなるじゃないか。正直休みなんだから無駄な戦いをするのは御免だったが、今の実力で竜に対してどれほど通じるかは気になる。


「僕とフィオナ以外の20人はこのホテルの宿泊者全員を外へ逃す手伝いをしてください。僕とフィオナは水竜を倒しに行きます。」


マロンとノアにそう言って海岸に瞬間移動を使って向かった。


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