第15話 お手伝いさん探し
俺たちはある屋敷の前に立っていた。
その屋敷がこの世界ではあり得ないくらいに日本の物のようだった。
日本からの転生者がここの館でも建てて作ったのか?
だとしたら日本に持ち帰りたいくらいすごいな、と言いたいくらいだ。
まず、ドアを開けたら飛び込んで来るのは、2階に上がるにつれて広がっていく階段。
この家は俺たちが住む前まで1週間に1回掃除に来ていた人が居たので、中もすごく綺麗で魔法で常に光は灯っている。
そして、1階の左側の扉の奥には大きなホールがあり食事をする場所があった。
そこには、真ん中の壁に大きな古時計があり一定のリズムを刻みながらチクタクと奏でていた。
その奥の扉を出ると厨房がある。
再び玄関に戻り次は左側の扉を開けた。
まずその奥に絵画などを飾ってある廊下があり、その先の曲がり角を右に曲がると応接室のような場所や倉庫、あと地下に繋がる階段もあった。
ここは、後回しにしておいた。
続いて2階に行った。
2階は長い廊下が右と左に続いている。
それぞれ部屋がありその中に机とベッドなど備えられていた。
おそらくお手伝いさんとかの人が寝たりする場所だろう。
続いて3階。
3階には2階の右側と左側にある階段を使っていけるようになっていた。
正直3階が一番すごい。
階段を上がるとドアがありその中には家の1階分全てを使って本がずらりと並んでいた。
恐らく図書室が何かだろう。
4階には奥にある階段を登るといける。
ここ意外と豪邸なのかもしれない。
この階には、2階と同じような廊下があり真ん中に大きな扉がありその先に大きなベッドにバルコニーなど、この家の主が元々いた場所なんだろうな。
5階は屋根裏部屋であった。
これ以上言うことはないくらいの大きさの部屋だった。
階段は、奥の方の天井から階段が出てきた。
人感センサーか何かで反応したんだろう。
屋根裏部屋って聞くとホコリくさいイメージだがここまで綺麗に掃除されていた。
そう考えると何人でここを掃除したのか気になるくらいだ。
最後に地下室。
地下室にも明るく電気のような魔法で灯っていた。ここは何かの実験室だったのか、大きな空間が広がっていた。
ここを改造して何かの重要なものを置いておく倉庫にしよう。
簡潔に言うと本当にお手伝いさんなどがいないと暮らせないサイズの家だ。
夜ご飯は学校から支給された1ヶ月分のお金のほんの少しを使って済ませた。
お風呂は常に暖かく完備されておりシャワーにも常に暖かいお湯が出る。
昔住んでいた俺の家のように最初は冷水が出る、なんてことはない。
お風呂に入り俺は4階の大きなベッドで寝ようとしたらフィオナも寝たいと言い出したので、許可を出した。
入試の時のような小さいベッドではなかったからだ。
でもそう思ってしまった俺がバカだった。
どれだけベッドが大きくても俺に抱きついてきた。妹の兄への感情はやはり抑えられないのだと思い俺は無駄なプライドを捨ててそのまま眠りについた。
今日は学校も休みだしこの屋敷を2人で管理するのは無理がある。
だからお手伝いさんを選びに行く。
服は俺は入試の時にもらった白い服を着てフィオナは、前買ってあげた紫色のワンピースを着た。
この街の奴隷は奴隷と呼ばれてないだけで実際は最低限の教育をされただけで生活や扱いは奴隷と同じだ。
この店もそうだった。
1人1人檻の中に入れられていて絶望的な目でこちらを見てくる。
1番奥のカウンターにいた男に声をかける。
「すみません。あの、家の家事ができる者と料理ができる者をそれぞれ紹介してくれませんか。」
そう言って校長からもらった紙をカウンターに出した。
「それぞれ1番いい奴を紹介するが、信頼関係を築けるかどうかはお前さん次第だ。あと種族は問わないからな。」
そう言って1人ずつこれが家事ができるとか料理ができるとかを丁寧に説明した。
種族は、全て長耳族と獣人族あとは人間だけだった。
別に種族はどれでもいいがやはり信頼関係を築けるかが大事になってくるからな。
「すみませんが、さっき説明していただいた20人全員僕たちが引き取りますがいいですか?」
「ああ、別にいいけどお前さんそんな量家に入るのか?」
そう疑問を抱えていそうな顔で俺に聞いてきた。
「ええ、家は結構大きいので。少し買うものがあるので後で引き取りに来ますね。入り口近くに20人集めておいてください。」
そう言って店を後にしたがそれと同時にフィオナが話しかけてきた。
「兄さん女子の奴隷に見惚れてましたね。」
不気味な笑みを笑いながら俺に話しかけてきた。めちゃくちゃ怖い。
女子っていうのは1人でも十分怖いが群がったらもっと怖いからな。
怒らせないように説明する。
「それは…きっとフィオナの見間違いじゃないかな〜。それより買いに行くものがあるんだよ。僕の服を買いに行くからフィオナが選んで欲しいんだ。」
完璧な流れで話題を変えられた。100点を通り越したぐらい褒められそうだ。
「まぁ、私の見間違いだったのでしょうか…服を選ぶのなら私に任せてください!完璧で華麗でかっこいい服にして見せます。」
フィオナのセンスは見たことがないから少し不安だったがあの言い方だったら信用していいんだろう。多分…
「兄さん!すごく似合っていますよ!」
そう言われて鏡をもう1回見た。
やはり俺の読みは正しかったようだ。
フィオナじゃなくてお店の店員さんに選んでもらって良かった。
フィオナは、最初俺に絵柄のパーカーを着たら大丈夫です、とか言ってきたからな。
全然大丈夫じゃない。
俺はもっと普通の羽織るやつが欲しい。
確かにパーカーも羽織っているかもしれないけどおかしい。
流石にあれはダサい。
だから、店員さんにこの服に合う羽織るものありませんか?と聞いて正解だった。
店員が持ってきたのはセンスのある黒のサッカーをする前に着るあの長いコートみたいなのだった。
白い服には黒が似合うって言ってきて、着てみてもこれがいいと思ってしまった。
フィオナもこれに絶賛していたのでこれに決めた。値段はワンピースよりも安い2000ダラーズ。
お手頃価格だ。
服を買ったらもう一回お手伝いさん(ほぼ奴隷のように扱っているが)を売ってる店に戻った。
親切に店のオーナーがしっかりとまとめてくれていた。
年齢層は10歳から24歳だと言っていた。
彼ら全員を連れて家の中に瞬間移動をした。
まず玄関に、1人ずつ横に並ばせた。
男子と女子の比率は、大体9:1だった。
とりあえずみんな薄汚れていて泥とかついていたから全員お風呂に入らせた。
彼らには恥ずかしさとかはないみたいだった。
一応男子と女子を分けて入らせた。
男は全員俺が髪を洗ったりした。
女子はフィオナがやってと言って全員清潔になった。
お風呂を終わらして清潔にしたところでもう1回横に1列綺麗に並ばせた。
あの店の人が言うには男子は料理を作れる人で女子が家事を担当できる、らしいので男子には白い服に頭に高い帽子を被せてあげた。
男子は全員20代に見える。全員人間だ。
「これからよろしくね。美味しい食事を作ってください。食事はここにいる僕を含めた22人全員で行うし個室も用意してるから頑張ってね。」
そう言ったらなぜか男子集団が全員目に涙を浮かべて
「そんないい暮らしをさせてもらえるなんて、僕たちは…僕たちは幸せです。これからよろしくお願いします!」
泣きながらそう言われた。きっと今まで相当ひどい環境で育ったんだろうな。
女子は、全員長耳族と獣人族だった。
「さっきも言ったけど個室も用意するし食事も全員で食べる。最大限いい暮らしをさせるからこれからよろしくね。」
女子たちは、男子と違い泣かずに俺とフィオナの抱きついてきた。
この世界はなんでこう抱きついてくる人がこんなに多いのかな?そう思ってしまった。
ちなみに女子はメイド服を着せてあげた。
これは完全に俺の趣味だ。
ご主人様大好きですっ、と言われて胸が大きくしかも19歳くらいの人に抱きつかれて幸せな気持ちになっていたら
「兄さん。やっぱり見惚れてましたね。私には、魅力がないんでしょうか?」
やばい、そう感じた時には遅かった。
フィオナが俺に不気味な笑みを浮かべて俺の元に迫ってきた。
その瞬間視界がぶれた。
それと同時に俺はフィオナに押し倒された。
「なんですか?言い訳ならいくらでも聞いて差し上げますよ。」
めちゃくちゃ怖い。何が怖いってこれからどうなるかだ。
みんな助けてと言おうとしたが、もうみんな玄関にはいなかった。全員部屋決めをしようと階段を上がっていってしまった。仕方ない。
「いや、フィオナには魅力はたくさんある。でも、俺とフィオナは兄妹だからな?そう言うのは普通ダメだろ。だから、フィオナとあのメイドたちを比べることはできない!」
そう言った。少しは気分が良くなったと思ったらフィオナが右手に魔力を込め出した。
「そうですか。私はあのメイドたちと比べることができないくらいの存在なんですね。特にここでしょうか?」
フィオナが自分の手で胸を触った。
ゲッ、と言う表情をしてしまったのが運の尽き。
次の瞬間フィオナが俺に向けて水素爆発球を撃ってきた。
撃った瞬間フィオナは退避、俺の周りには防御結界これにより俺だけが爆発を喰らった。
この件で初めて分かった。
この魔法はフィオナに教えるべきではなかったと。