第14話 セツシート大学入学式
もう講堂にはざっと見たところ500人は人が椅子に座っていた。
これも魔法科と普通科が混ざっているからだろう。
とりあえず真ん中ら辺の少し左側くらいの場所に座った。
少し座って待っていると、壇上に小柄な30代くらいの女性教員らしき人が立って
「みなさん。ご入学おめでとうございます。ただいまより、セツシート大学第157回入学式を開始します。まず校長の、セイラス校長先生からのお言葉です。」
そう言って、後ろの方にある教員たちが並んで座っているパイプ椅子の席に座ると同時に、校長が席を立ちマイクを通して喋り出した。
「みなさんおはようございます。———これで私の話を終わります」
そう言って深くお辞儀をすると、場内から大きな拍手をする音が鳴り響く。
そのあと司会が喋り閉会の言葉を副学長が述べてこの場でクラス分けが発表された。
予想通り普通科と魔法科は、分けられた。
普通科が6クラス、魔法科が8クラス、1クラス大体40人になった。
俺は、1年9組だった。あいにくフィオナも同じ組だった。よかった。
これで違う組になったら流石に校長に同じクラスにしてください、って言いに行くところだった。
そうして短く入学式が終わった。
そのままクラス教室に移動をした。どうやら特待生だからといって教室が違うとかそういうことは、ないみたいだ。
俺は、2列目の後ろから5番目の席だった。
ちなみに、フィオナは5列目の5番目だ。
早速席に座り当たりを見回す。
こういうのは、縦でも横でもいいから誰かと話すのが1番いい。
俺は、ここで失敗して高校生活があんなひどいことになったからな。
この行程は、大事だがみんな緊張して喋る気配がないので担任が来るまで待つことにした。
自分の席で何もせずに。ただボーッとして、時間が過ぎるのを待っているだけだった。
すると、教室のドアが開いて1人のメガネをかけた女性教師が入ってきた。
年齢は30歳前半くらいだ。
「みなさんおはようございます。今日から9組の担任になりましたヴィオラと申します。では、まず4人に1組で自己紹介をしましょう。お互いに信仰を深めましょう。」
そう言ってヴィオラ先生は、4人ずつのグループを作っていった。
ここは、絶対に成功させないとこれからの学校生活が終わる。
だから、必死に自己紹介を考えた。すると1人目の人が自己紹介をし出した。
「おはようございます。私は、ジェイミー・ファブリックと言います。できれば仲良くして欲しいです。」
そうグループの中の1人が自己紹介を始めた。
その人は、水色の髪をした小さい女の子だった。
すごく緊張している様子だったが、すぐにその緊張が溶けた。
「そんな緊張しなくてもいいよジェイミー!私は、ローズ・ブルーマリンです!ローズって呼んでくれたら嬉しいです!」
そう言って元気よく挨拶をしたのが赤い髪でショートヘアの人だった。
明るい人だ。
クラスの人気者になりそうな人だな。
恐らくジェイミーさんとローズさんは、昔からの友達なのだろう。
じゃなきゃこの状況であんなふうに会話はできないはずだ。
続いてグループの3人目の人が自己紹介をし出した。
「僕は、アルバート・レンターン。好きなことは魔法とかを使うことかな。アルバートって呼んでくれたら嬉しいな。」
そう言って席に座った。
淡い栗色の髪をしている人だ。
この人なら友達になれそうだ。
いよいよ最後は俺だ。
緊張しないでいい。
今までの人たちと同じようにすればいいだけなんだから。
「えーっと、僕の名前は、グレイ・ジュリエットです。グレイって呼んでくれたら嬉しいです。親しくしてください。」
そう言って席に座ろうとしたら、さっきの赤い髪のローズさんが、俺のことを指刺して
「あんたもしかして特待生なの?」
と聞いてきたので、親切に説明した。
「うん、まぁ特待生だけどそれがどうかしたの?」
別に特待生だからって何か優遇されることもないけどなぁ、そう自分の中で考えた。
顔を赤くしてローズさんが俺に右手を出しながら言ってきた。
「あ、あ、あ、あの私、特待生の人と、と、と、と友達になるのがこの学校に入ってやることだったんです。だ、だ、だから私と…私と友達になってください!」
そちら側から友達になってほしいというならこちら側も大歓迎。だから、俺はその差し出された右手を左手で掴みながら、
「はい。こちらからもどうぞよろしくお願いします。」
というと、グループの人全員が
「僕とも友達になってほしいんだけどいいかな?」
「あ、あのぉ、私も友達になって欲しいんですが、いいでしょうか?」
2人一気にきたけどこれはこれで凄く嬉しい。
やがて、ヴィオラ先生が
「自己紹介が終わったようですのでこれから集団でのグループワークなのでのグループを自分たちで作ってもらいます。これからの自分の運命的なことになるかもしれないのでよく考えるようにしてください。1グループ6人から8人とします。」
こんなグループを作れといきなり言われてもな、と以前の俺ならそう言っただろう。
でも、今は違う。
だって目の前にもう俺とグループを組もうと言う人がいるのだから。
とりあえず俺は、フィオナのもとに行って
「いっしょにグループを作らないか?」
と聞いた。一応ここで嫌と言われたらかなりのショックを受けて明日から学校に来なくなるかもな。
だって、幼少期。ほぼ0歳の頃からずっと世話をしてきたんだから。
でもそんな心配は無用だった。
「あたりまえです。私も兄さんと同じグループになろうと言いに行こうとしていたところです。」
ならよかった、と安心していたら先ほどのローズさんとジェイミーさんとアルバートくんが俺に話しかけてきた。
「あの、グレイさん。できればなんだけど、僕たちをこのグループに入れてくれないかな?僕は、もっと今より強くなりたいんだ。だから、1年生の1番総合的に強かったグレイさんといっしょに……」
そこで、言葉が途切れた。俺から視点がフィオナに移ったからである。
もしかして特待生2人いるグループに入るのなんて…って思っているのか?
そんなかしこまらなくてもいいんだけどね。
「全然いいですよ。あなたたちは私たちに一生追いつけないかもしれませんが、そこら辺の奴らよりは強くして見せます。このグループに入ったのは幸運でしたね。」
そう笑いかけてフィオナがグループにさっきの人たちを引き入れた。
「じゃあ全員グループ組めたようだから、教科書とかを配布する。前から送るから後ろに送ってくれ。その前にグループで固まって机に座るように。」
そう言って俺たちは後ろの方の席に座った。やがてアルバートくんが俺に教科書を渡してきた。もちろん名前をしっかりと書いてそのまま魔法空間にしまい込む。そして今日の入学式は終わった。
家をまだ持ってないからどれか選ばないとだめになる。
普通の人たちは寮や自分で家を借りるのだが特待生は昔からセツシート大学の保有する家を選ばなければならない。これも意味のわからないセツシート大学の歴史なんだよな。
そう思って今日担任から渡されたリストには10件ほど家候補が書かれていた。
1つ目と2つ目の家は小さな一軒家だった。
2人で持つならばこれくらいでいいと思ったんだが、フィオナが兄さんにこんなに小さい家は似合いません!
と言ってきっぱりリストにバツを入れた。
続く3軒目から6軒目までも同じような理由でダメと言われた。
7個目の家は結構大きさもあり豪邸のようだったのでフィオナはここがいい、と言った。
だが今度は俺が家の後ろが墓場なんて物騒だからだめだ、とリストにバツを入れた。
8個目と9個目は俺もフィオナもいいと言ったが10個目には勝てなかった。
10個目の家は先ほどの7個目の大きさに加えて4階建て。
なんかの県庁くらいの大きさの家だった。
でもこの大きさだと、流石に掃除ができないから却下だった。
でもリストを見ると、お手伝いさん10人まで雇うこと可、という文字に釣られてしまった。
学校に戻り俺もフィオナもここに丸をして校長に提出。
それから鍵をもらう。が、ここで大きな問題を校長から言われた。
10人まで雇えると書いたが、
「もうそこの家誰も買わなかったし誰も選ばなかったからお手伝いさんとの契約破棄しちゃったんだよね。だから、自分たちでお手伝いの人を選んできてね。この紙見せたら無料で渡してくれるからよろしくね。」
と言われた。この街には奴隷こそ売ってないが奴隷を完璧なお手伝いに育て上げているらしい。
その種類も多様で長耳族や、獣人族など様々な種類があるらしい。
幸い明日は休みなのでじっくりといいお手伝いさんを雇うかな。
メイドのコスプレさせたりして……いやいやここは紳士的に女性の人と男性の人を平等に雇うしかない。
そう思いながら今日から俺たちの家になった豪邸の前にいった。
俺たちはこれからここで過ごすんだ。
そういう気持ちを持って大きなドアに鍵を入れて家の中に入った。
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