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第134話 未来を見通す目


「最後の挨拶でもしておけ」


ミカエルはそう言った。


「目白さん……目白さん!」


目白さんのそばに座って膝の上に頭を乗せて言った。

俺の目からは涙がボロボロと流れ落ちていった。


「グレイ……運命っていうのは変えられないの」

「何を言って……」

「これを」


ゴホッ、と目白さんが咳き込むと口からも血を吹き出した。

目白さんは自分の手に持っていた剣を俺に渡して来た。

その後目白さんは俺の頬に手をかけて言った。


「グレイ、あなたのことが好きだった……最後に受け取って…………」


目白さんは顔を俺の方へと近づかせてキスをした。

今まで目白さんと一緒に過ごした時の記憶がよみがって来た。

その後すぐに目白さんの体から力が抜けて血の気が引いて行ったのが分かった。

自分の中にあった何か大きなものが崩れ落ちたかのような感覚に陥った。


「そんな、嘘だ嘘……」

「現実だ。そしてお前たちは負けたんだ。諦めろ」

「うああアァァァ!!」


すると、感覚のみが俺の体から抜けた。








「そうね。私は死ぬ運命にあるの?」

「ああ、」


これは過去なのだろうか?

目の前では海斗と目白さんが喋っていた。


「でも伝えるべきことがある。愛莉」

「グレイは過去を見ることができるの知ってるわよね」

「それは知っているわよ」


そこに愛莉が加わった。


「なら自分は何が観れると思う?」

「………」

「未来よ」

「未来?」


珍しく目白さんが驚いた顔をしていた。


「そう。でも未来を観るのはせいぜい三秒くらい」

「そんな力、私がもらっても?」


先ほどのミカエル攻撃の避けは未来を見ていたからだったのか。


「全然いい。あともう一つ。能力の受け渡しだ。君が死ぬ間際グレイ君に君の血を飲ませてくれたら今持っている能力を全てグレイ君に受け渡せる」

「ええ。分かったわ」








「能力の受け渡し?」


意識は現実へと戻って来た。

どうやら現在では時間は経っていたなかったのだろう。

目白さんの剣を振ってみると微かだが挙動が見えた。


「もう別れは済んだか?すぐにお前も送ってやるから安心しておけ」


ミカエルはそういうと触手を俺の方へと撃ち込んできた。

だが、触手の動きは手に取るようにわかった。

あっという間にミカエルの懐へと入ることができた。

ミカエルは何一つ表情を変えずに魔法を大量に撃って来たがそんなものは関係ない。


「ミカエルッ!!」


俺は右手に目白さんの剣を持ち左手に自分の剣を持った。


「合併相乗魔剣・斬永氷華炎満!!!」


目白さんの剣は俺の剣よりも魔力を乗せやすくてすごく速かった。

ミカエルの弱点をついて凍らせていた。

凍って身動きが取れないミカエルに俺の剣に乗せた炎舞を叩き込んだ。


「グァァァァ!!」


すでに天使の涙でボロボロになっていたミカエルは俺の攻撃でついに地面に倒れた。


「やっと終わったのか?」


ミカエルは黒焦げになってその場に倒れていた。









「アルバートはそっちを!」

「おう!」


ローズにそう言われてアルバートは女神たちを倒していた。


「後ろも気を付けろよ」


前の天使に意識を奪われていて背中が空いていたのを見つけた女神が攻撃しようとしていた。

それを見つけたクロムが女神の攻撃を防いだ。


「すまない。これいつまで続くだよ!もうこっちも限界だ」


アルバートたちが戦っているものの実際かなりかつかつな状況だ。

少しでも油断すると攻撃を喰らってしまう。

そう言って戦っていた時、その場にいた女神全員の動きが止まった。


「ん?」


すると女神は動き出し天空は飛び立って行った。


「勝ったのか?」


アルバートが一番最初にそう言った。

そしてその場にいた全員で喜んでいた瞬間、空に亀裂が入った。

亀裂からは誰か人影が思い切り飛び出していた。


「グレイ!?」

「早く全員逃げてください……」


グレイは地面からフラフラになりながら立ってそう言った。

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