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第129話 三分間


「ミカエル!あなた何を……」

「言ったであろう。記憶を消したのだよ。お前たちと遊ぶのにはとても邪魔だからな」

「遊ぶだと?」

「お前たちは私を倒したいようだが、私にとっては一種の暇つぶしでしか無いのでな」


俺はミカエルの口から放たれた言葉に衝撃を覚えた。

ミカエルは元より俺たちのことなど見ていなかったのだ。


「さあ、遊戯を始めようじゃ無いか」


そう言い終わるとミカエルは俺の目の前から消えた。


「……ぐがっ!」


どこに行ったのかと探していると後ろからミカエルは現れ純粋な魔力の力で飛ばされた。


「くあっ!」


目白さんもミカエルの魔力を剣で捉えて防いではいたものの耐え切れず後ろに吹っ飛んだ。


「んん。久方ぶりにこんな事をしたがやはり体は覚えているものだな」


手をポキポキと音を鳴らしながらミカエルはそう言った。

と思った瞬間、またもやミカエルはその場から消え俺の目の前に現れた。

ミカエルはフィオナと同じく瞬間移動をしているが完全に魔力が消えている。


「ならこれで!」


ミカエルが俺を殴ろうとした瞬間、俺はミカエル本人ではなく地面に向かって魔法を撃った。


獄火球ヘルファイアーボール


流石のミカエルも地面に撃たれるのは予想していなかったのか地面からの爆風はもろに受けていた。

そこに目白さんが間髪を入れずに剣で斬りかかりに来た。

目白さんの剣はシュンッ、と音を立ててミカエルに振り下ろされたがミカエルは余裕のある顔で横に避けた。

ミカエルは目白さんの剣を足で踏み地面に埋め込んだ。

剣を埋め込まれた目白さんはすぐに魔力で剣を作ろうとするがもう遅かった。

魔力を俺と同じようにミカエルは地面に撃った。

爆風は恐ろしいもので周りにあったガラスを全て割った。


「ぐはっ……」

「うぅ………」


壁に体を打ち付けられた。

背中が痛い。

腰が痛い。

体が痛い。

本当に神なんてものに俺たちは勝つことは出来るのだろうか。


「仕方ないけど使うしか無いのね」

「目白さん?何をしようと……」


壁から立ち上がって一言喋った目白さんに俺はそう聞いた。


「グレイ。勝てるかもしれない方法が見つかったわ。でも発動には少し時間がかかる」

「そういう事なら時間稼ぎは任せてください。どれくらいです?」

「三分。三分でいいわ。ミカエルの気を惹いて」


目白さんが何をしようとしているかは分からないが勝てるかもしれないのならそれをやるべきだ。

俺は立ち上がって左手に剣を持った。

これも目白さんとの戦いの中で覚えた戦闘方法だ。

剣を利き手と逆に持って利き手で魔法を撃ちながら戦う。

ミカエルにこの戦法が効くかどうかは分からないがやってみる価値はあるはずだ。


「さっさと負けを認めればいいものを」


ミカエルは獄火球と獄水球を一気に作り出した。

本来人間には魔法は一つまでしか作ることができない。

だが、ミカエルはそれが出来ているその点もまた俺たちとの違いだ。

でも、だからなんだというのか。

魔法が二つ作れたところでミカエルは多少有利にはなるがそれだけのこと。

それに対抗すべく俺だって魔法と剣の両方を使えるように練習してきた。


「ミカエル。そんな魔法を作ったところで俺には勝てない」

「口だけは達者なようだな」


ミカエルはそう反応すると魔法を俺に向かって撃って来た。


「相乗魔剣・颶風!」


ミカエルの撃った獄水球に対しては俺が剣で魔法の中に突き刺して内側から爆発させた。

そして、もう一つの獄火球に関しては魔力で対応した。

魔力は柔軟でどんな時も安定した力を持つ。

だからこそ、こう言った場面で重宝する。

ミカエルが魔力を使う理由もそれだろう。


「くおおォォォ!!!」


魔力の壁を作り押し返そうとするも獄火球は止まることはなかった。

攻撃自体がとても重いのだ。

必死に止めようとするが足は勝手に地面を擦って後ろの目白さんの方へと近づいていく。


「ああぁぁぉぁ!」


それでも俺は負けじとありったけの力を振り絞った。

そして、ようやく獄火球を跳ね返した。


「遅い!」

「アッ!?」


獄火球を撃ち返した途端ミカエルは俺の後ろに現れた。

だが、それも俺の想定のうちに入る。


「一度されたことは覚えるんだよ!」


ミカエルにゼロ距離で再び魔法を撃った。

今回は流石のミカエルも避けようと思っても無理だろう。

なぜなら、ミカエルは俺の攻撃を避ける準備はしていないからだ。

避けるという動作が脳から司令されるよりも早く俺は魔法を撃ち込んだ。


「アアアッッ……」


そうミカエルは叫んだ。

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