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第128話 呼び出した理由


「ん、んん………」

「フィオナ!ようやく起きた」

「兄、さん……?いっ……」

「まだ安静にしておいた方がいい。フィオナを傷つけた俺が何か言える立場じゃ無いけどさ」


古代の先人にマロンとノアもある程度は治してもらいフィオナの肩も治してもらった。

だが、いくら古代の先人のいえど傷を完全に防げるわけではなかった。


「兄さん、目白さんもごめんなさい……ごめんなさい、私…私みんなに…………」


フィオナはそう涙を流しながら俺たちに言ってきた。


「何で謝るんだよ。フィオナは何も悪く無い」

「でも、意識はあったのに……」

「それを拘束したのはミカエルだろう。俺はミカエルは許さない」

「マロンとノア傷だらけで疲れていると思うが頼みがある」


古代の先人二人に傷の治療を受けながらマロンとノアは反応した。


「フィオナを下で休ませてくれ」


俺がそう言うとフィオナは抗議してきた。


「なんでですか。私も行かせてください」

「フィオナ。俺はお前のことを思って言ったんだ。今、その身体で戦えるわけがない」


もうこれ以上妹を傷つけたくない。

辛い思いをさせたくないと思った結果思いついたのがその言葉だった。


「フィオナ。大丈夫よ。私たちは負けないから」

「下から見守っておいてくれ。そこで沢山話そうな」

「………うん」


そう小さくフィオナは頷いた。


「マロンのノアもよろしく頼む」

「「はい」」


そう言って俺はミカエルの行った扉を開けた。


「ミカエルはこの先だ」


引き続き海斗を連れて先へ進んでいった。

愛莉はマロンやノアたちの治療に当たらせていた。

長々と続く階段を登り始めて俺たちはついに塔の最上階へ達した。


「ミカエル!」


扉を開けて俺は中へと進んだ。

そこは天空の聖堂の名前の通り全面ガラス張りの聖堂だった。

その一番奥に浮いているのはミカエルだった。


「ほう、あれを倒したか。海斗、何百年か経って少しは技術は進歩したようだな」


上から目線でミカエルは海斗に対して話しかけていた。


「お陰様でな」

「ミカエル。お前が言ったマヨルダとはどういう関係だ!」

「いいだろう。ここまで来た褒美として教えてやろう」


そう言ってミカエルは俺たちの方へ降り立った。

するとミカエルは流暢に話し始めた。


「元々、私たち女神には天使がついていた。天使にはそれぞれ才能があった。そして、天使は私たち女神と永遠の契約を結び交わした。だがそれも天使は時代を重ねるごとに忘れていった。そして暴動が起きたのだ」

「暴動が?永遠の契約を結んだのに?」

「そうだ。その主犯格であったのは堕天使五帝、今で言うマヨルダ、メランダ、ウィリアム、クリストファー、ゲルメール。それらの記憶を完全に削除して我々に逆らえないようにあの紋様をつけた」


それが海底都市とのあの五人との接点というわけか。

つまり、マヨルダたちは天使だったという事なのか?


「記憶を消したが前世での行動というのは消えず彼らは地上でもとんでもないことをした。マヨルダはメランダの体を埋め込んだ氷竜と出会い、ウィリアムとクリストファーは強化剤を作り出した。そして、その実験体としてゲルメールで実証された」


なんか人間のやる事じゃないなと感じていたら元々人間じゃなかったのか。

なら納得できるな。


「ただ一つだけ問題があった」

「問題だと?」

「そう。いつか記憶を取り戻して私たちに復讐をするのでは無いかと思い私たちは大いに恐れた。そこで私はお前たち異世界人を呼び出したのだ。本当にお前たち古代の先人は見ていてとても面白い。だからお前たち異世界人は私たちのおもちゃになったのだよ」


ミカエルの言うことをまとめれば俺も古代の先人もいいように使われて来たということだろう。


「たとえ、それがお前たちの事情があっても今やっていることは間違いだ!」


海斗がそう叫んだ。

そんな話を聞かされれば誰でも頭に来るだろう。

俺も結局はミカエルたちのような女神に利用されていたと思うと怒りが込み上げてくる。


「ふん…何とでも言っているが良い。所詮は記憶の分際なのだからな」


ミカエルは手を高く上げて大きな光を作り俺たちの方へと撃って来た。


「んなっ……」


あまりの明るさに目を瞑っていたが特に何も起きなかった。


「記憶を消すなと容易いことだ」


ミカエルの言った言葉に俺は辺りを見回した。

そしてそこにはもう先ほどまで俺の後ろにいた古代の先人は消えていた。

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