第119話 剣と魔法の戦い
「まずですね、前回、神が降りてきたのって何故か分かりますか?」
「俺と目白さんの間で魔力がぶつかり時空の歪みが出来たのでは?」
「そうですね。その魔力の歪みが大きかったんです。なら小さくすればどうなるでしょうか。」
そういう事か。
確かに魔力で出来る時空の歪みは小さければ神に気づかれることもないかもしれない。
「それでどうやって魔力を小さくするんです?」
「セツシート大学の最高技術の一つである体を小さくする事です」
その手があったか。
体を小さくすれば魔力の量も減るのか?
それとも歪みの大きさが小さくなるのか?
どちらかは分からないがどちらにしてもいい事しかない。
「それなら行けそうですね。じゃあ、早速やってみましょうよ」
「はい。じゃあ、飛ばしますね」
そう校長に言われ目の前が真っ白になった。
思えばこの感覚も入学試験ぶりだった。
飛ばされたのも懐かしさの残る入学試験をした森の中だった。
「それで目白さん。ここで何するんです?」
「とりあえず、魔獣は全員消してもらったから私とあなたで戦うのよ」
魔獣は消したって。
表現がすごいことになっている。
「戦うんですか。そう言えば闘技大会の時の決着、付いてませんでしたね」
魔力空間から剣を取り出しながら俺はそう言った。
「じゃあ、やりましょうか」
そう言った瞬間、目白さんが先手を取った。
瞬きもしないうちに目の前にまで飛んできたが何とか剣で防いだ。
前回、目白さんに剣を教えてもらったおかげで色々俺も出来るようになった。
一度間合いを取り俺は魔法を撃った。
「獄水球!」
さも当然かのように目白さんは俺の撃った魔法を真っ二つに斬った。
でも、ここまでは想定済み。
「相乗魔剣・氷華!」
目白さんが俺の魔法を斬ると同時に俺は目白さんに突っ込んだ。
「って!?」
目白さんは俺の剣を受け止めた。
正面から目白さんと戦えば俺は絶対に負けるだろう。
俺の専門とも言える魔法を目白さんは剣で斬ってしまうなだから。
でも今は違う。
「どうですか。この氷は」
「最悪ね」
そう。
相乗魔剣、氷華は対象物を凍らせることが出来る。
今だって目白さんの剣は俺の剣に触り続ける限り氷続ける。
「でも、相手が悪かったわね」
この時の俺は目白さんのこの能力を忘れていた。
一瞬で魔力で作られた剣が生成された。
「クソッ……」
やむおえず剣を取り距離を取ったが目白さんが手加減するはずもなく作られた剣は俺目掛けて飛んできた。
俺は魔力を可視化出来るからある程度は避けたり受け流せる。
でも、一般人からしたらどうだろうか。
見えない剣。
それこそ最強なのかもしれない。
「ハアァ……ハアァ…………」
両者戦い続けて約三十分。
体力の限界が近づいてきていた俺は目白さんに提案をした。
「決着もどうせつかないようですし一撃で終わりにしませんか?」
「それもそうね。じゃあこの一撃で終わりよ。」
互いに剣を持って身構えた。
この一撃に全てを乗せる。
今出せる力全てを乗せる。
「相乗魔剣・斬!」
「相乗魔剣・斬!」
俺の頭の中には?の文字が思い浮かんだ。
互いに同じ技を撃っているからである。
同じ技を撃っているのに何故か目白さんの攻撃の方が重かった。
「ぐっ……」
「目白さんはやっぱり強いですね」
結局はあの後俺は目白さんに負けた。
「でも、途中まではすごく良かったと思うわよ」
「そう言ってくれると嬉しいけどな……」
「これで自分の実力が測れたでしょ。その二人が合わさったらどうなるかも想像がつくでしょ」
確かにそうだった。
二人が合わされば強い。
「今、私たちに出来るのは強くなることだけよ」
「分かりました。魔法と練習をちょっとします。その後、剣技を教えてください」
「私もちょうど剣技を見直したかったのよ。じゃあそれまで個人で練習しましょうか。三時間後にまたここに集合しましょう」
そう言われて俺は目白さんとは逆方向へ歩いて行った。