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第115話 記憶の映像


「おーい。グレイ君、起きてよー」


そんな明るい声と共に俺は目を覚ました。

最もその目を開けた空間は自分の寝ている部屋ではなかったが。

いつものようにどこかも分からないような空間に飛ばされていた。


「海斗に愛莉か。何を俺に伝えたいんだ?」

「話が早くて助かるね。簡潔に言うと時間がないって事だ」

「その話は前聞いたぞ」

「違う。神つまり、ミカエルは今現在、己が魔力に侵されている。そのスピードが比例じゃなくて反比例のグラフのように急激に速度が増しているんだ」


それで催促を促しにきたと言うわけか。

ちょうど、俺もこの二人に聞きたい事があったからいいのだが。


「いつ頃に出発した方がいいんだ?」

「五日後までには出発しないと間に合わない」


五日か。

想像していたよりもかなり時間がないな。


「分かった。五日後までには塔に入る。それで俺も聞きたい事があるからいいか?」

「どうぞ」

「二人が前言っていた言葉。つまり、『伝説は繰り返され現在に提唱される』って言うのはどういう意味だ?」

「それは……」


俺がそう聞くと何故か愛莉が固まった。


「僕が答えよう。まず、この世界の伝説というのを知っているかい?」

「いや、知らないな」


まずまず、俺はこの世界で伝説という伝説を俺は知らない。


「君も聞いた事があるだろう。『フェイトフル・ホーナー』のことだよ」

「『フェイトフル・ホーナー』が?あれは物語のはずだ。」


そう。

俺が初めてこの学校に入り初めての授業で教えられた物語。


「事実上はね。僕たちが神と戦っている時に出来た話をまとめて書いた。それを過去に送ることで伝説に変化させた。その伝説を小説にして未来に送り出した」

「それが『フェイトフル・ホーナー』ってわけか?」

「そうだ。だからあの話は伝説でもあり実話でもあった事なんだ。」


あの話は深くて面白いなと思っていたらそんな背景があったのか。

フェイトフル・ホーナーは、ざっくり内容を化け物と戦う主人公とそこで出会った男との話だった。

それに戦うのは今のような魔力が発見されていなかった時代。

つまり、銃やナイフで戦っていた時代の話だった。

初めは互いの意見は食い違って喧嘩ばかりだったが時間が経つにつれて互いの気持ちは惹かれていく。

だが、その男は途中で化け物となり主人公が苦渋の決断で倒す、といった内容だった。


「その事実はどんな内容だったんだ?」

「気になるかい?」


海斗にそう聞かれて俺は首を縦に振った。


「じゃあ、愛莉。説明を」

「はーい。じゃあ、そこに座って」


愛莉は俺の方へ寄ってきて手を振るとそこにソファが現れた。


「すごいな」

「そうでしょ!じゃあ、みんなの記憶から作ったあの時の話を再生するね」

「ああ、よろしく」


愛莉が海斗に聞き、海斗の言葉を聞くとソファの前に映像が流れ出した。







「こいつら、狩っても狩っても!」


化け物と戦いながら女は言った。

彼女は世界を満たすほどの化け物を狩るために編成された特殊舞台の隊長だった。


「マズっ!!」


孤島に任務としてやってきたがボートは沈みこの島から出る事はできなかった。

そうして化け物を倒し続けて三日。

不眠不休だったのもあり銃のリロードを忘れていた。


「クソッ…ここまでか………」


間合いも詰められ化け物に襲われ死を覚悟したその時、銃声が響き渡った。


「なんでこんな女がいるんだ?」

「私は特殊部隊隊長だ」

「ハッ、こんな女が特殊部隊隊長?冗談はやめた方がいい。この世界では冗談なんて通じないと思うけどな。島の反対側に空港があるみたいだから生きてればまた会おうな」


そう言い残して男は去っていった。


「舐められたものだ。私がヘマしたのが悪いのだが。あの少年を信じて空港に行こうか」


それから私は空港まで出来る限り急いで行った。

化け物に殺されかけた事も多々あったが何とかして空港にたどり着いた。

空港の中は化け物はいるが全て床に倒れていた。

唯一、飛行機の止まっているゲートを見つけ飛行機の中に入った。


「あんたか。よくここまで来たな」

「私はエマ。エマ・ブライアンズ。あなたは?」

「俺か?俺はジュリアン。よろしくなっ!?」


その時飛行機は大きく揺れ鉄骨が刺さっていた。


「何なの…あれ……」


操縦席からはこちらに歩いてくる何か小さなものが見えた。

人間のようだが背中からは触手のような長いものが伸びていた。


「とにかくここから脱出するぞ!エンジンが漏れてやがる!」


ジュリアンに言われて飛行機から飛び出した。

その瞬間、大きな爆発音と共に私は爆風で吹き飛ばされた。

飛ばされた先には大きな穴が空いていた。

当然、私は何もする事は出来ずその穴に落ちていった。






「あれ?止まったぞ」

「これは記憶の弊害というか、記憶っていうのは曖昧なものだからどうしてもこうなるのよ。ちょっと待ってて。直すから」


映像が止まると愛莉は映像を映し出していた水晶のようなものを調べ出した。


「ここまでは内容は掴めたかい?」

「そうだな」

「それ以外にはないのか?」

「何かあるのか?俺は特に今までの映像を見てても何もなかったぞ」

「じゃあ、記憶の繋ぎ目直したから映像流すよー」


何なんだよ、と心で呟きながら再び流れる映像を俺たち三人は見だした。

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