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第107話 当たってますけど……


「得意げそうに何を言ってるんだ?」

「ほら、こっちだ。」

「なっ……」


そう言った古代の先人の後ろからは女性が出てきた。

その女性は出てくるや否や俺の方へ寄ってきた。

見た目は目白さんより少し小さいくらいだろうか。


「ふーん。君が私のを起こしてくれたの?とてもそんな風には見えないのに。海斗はどう思う?」

「いや、彼は相当強いよ。少なくとも僕たちよりはね。」

「海斗って言うのか?」


女性が言っていた言葉に疑問を持って俺が聞いた。


「言うのを忘れていたか。じゃあ、改めて。僕は海斗、彼女は愛莉。名前から分かる通り日本人。」

「これから何回も会う事になると思うからよろしくねー。」

「それで愛莉が牢獄の管轄っていうのはどういう事なんだ?」


俺は海斗の近くに立っている愛莉に聞いた。


「その通りだよ。ずっーと、私が作った魔力の供給装置が作動して結界を維持し続けててたの。それに天使の涙を何度も防いだ結界を作ったのも私なのよー。」

「本当に何でもできるんだな。」


ホッ・カイドウが海に沈んでから今まで魔力を流し続けるなんてこと、この世界ではできないだろう。

しかも、天使の涙を何度も耐えるほどの強度を誇る結界を維持するのだ。

相当な技術がいるだろう。


「そうだよ。古代の先人っていうのはホッ・カイドウが沈んでからそれぞれの地域でもう二度と神を下ろさないために役割を今も果たしている。」

「セツシートに神が来たのは何だよ。」

「君と目白さん。二人の魔力がぶつかり歪みが出来た。そうならないために禁忌魔法陣で二人を呼び込んだんだ。」

「それで?」

「それなのに外部から手助けが来て抜け出したから君が来たんだよ。」


なるほど。

つまり、あのダンジョンは全て神を下ろさないため、そして俺たちを守るためだったのか。


「せっかく海斗が手助けしたのにマヨルダ達は私が見てない間にすっっっごく思考がおかしくなってたの。迷惑かけてごめんね。」


そう言って愛莉が俺の方へ寄ってきた。


「ちょっ…あのー、」

「どうしたの?」


端的にこの状況を説明しよう。

愛莉の胸が俺の腕を飲み込んでいる。


「いや、もう過ぎた事ですし全然いいですよ。」

「えっ、本当に!ありがとう〜」


そう言って愛莉は俺に先ほどより一層、力を強めて俺を抱きしめた。


「愛莉、興味があるのは分かるけど、グレイが困っている。」


海斗がそう言って俺から愛莉を引き剥がした。


「それが君たちを海底都市に連れて行った理由だよ。後は君に起きている現象か。愛莉。説明してあげて。」

「はーい。今起きているのは簡単にいえば過去って事。その土地に刻まれた過去の記憶を探せるの。」

「それはすごいな。愛莉が作ったのか?」

「そうだよ。」


愛莉は話し方や行動こそ危なっかしく見えるが技術はすごい。

過去を見ることができるなんて信じられない。


「そういえば海斗ってあれ言ったの?」

「あれか。言ってなかったな。」

「もー。海斗ったら、忘れっぽいんだから。」


海斗と愛莉が何やら話し込み始めた。

あれとは何だろうか。


「そろそろ夜が明ける。僕たちが言えるのはあと一つ。」

「「伝説は繰り返され現在に提唱される。」」


そう古代の先人が言った瞬間、辺りが白く光った。

次に目を開けるとそこには何も残っていなかった。


「どういうことだよ……いい人なのか悪い人なのか分からないな。」


辺りを見回しながら俺はそう言った。







太陽が登り始めた頃、俺はみんなの所へ戻った。


「おや、グレイさん。早いですね。」

「はい。朝早くに目が覚めたので日の出を見てました。」


俺が部屋に入ると食卓で朝食の用意をしていた理事長が声をかけてきた。

マロンとノアが作った朝食を理事長はテーブルに並べている所だった。


「いいですね。私たちはここから手を離せないので申し訳ないですが寝ている人を起こして来てくれませんか?」

「分かりました。」


そう言われて俺は寝室に入った。


「アルバート。朝だぞ。」


俺が肩を揺らすとゆっくりと目を開けた。


「もう朝か。グレイは早いんだな。」

「そんなに早くは起きてないよ。」

「じゃあ、あっちで待ってるから。」


そう短く会話をして食卓のある部屋へと戻った。


「おはよう、グレイ。」

「おはようございます。目白さん。」

「あの、目白さん。言いたいことがあるので時間取れますか?」


俺は席につきながら目白さんにそう聞いた。

話したいこととは今朝あったことだ。

海斗と愛莉のことや、俺の昨日までの現象についてだ。

その土地にある過去のことを見れれば海底都市の謎もかなり解けるはずだ。


「そうね。今日も海底都市に行くだろうしその時にでも話して。」

「分かりました。」







「それでは昨日と同じく、日の入りまでに帰って来てください。」


理事長と共に海底都市に降りた俺たちはそれぞれ昨日回れてない場所に行った。


「話したいことって何?」

「今朝、古代の先人と話したんです。」

「寝ている間?」

「それが現実に現れたんですよ。」


今までなかった事例に目白さんは少しだけ驚いたように見えた。


「それだけ?」

「いえ今までは男性、海斗っていうみたいなんですけどその人だけしかいなかったじゃないですか。」

「それ以外の人が現れたの?」

「そうなんです。」


目白さんはいつもと変わらず勘が鋭く一発で俺の言いたいことを当てた。


「身長は目白さんよりちょっと小さいくらいで胸が大きい女性で愛莉っていう人なんです。」

「胸が大きい…大きい方が……」

「目白さん?大丈夫ですか?」

「えっ、ああ。続けて。」

「その愛莉って人が海底都市の結界維持をしていたそうなんです。」

「なるほどね。」


目白さんは顎に手を当てて少しの間考えていた。


「なら、今日はその魔法陣についてね。」

「あと、昨日の現象について分かったので話します。昨日の現象はどうやら過去を見ていたようなんです。」

「過去?」

「はい。その土地に刻まれた歴史を紐解くことが出来るようで。」

「発動条件とかはないの?」

「それが分からなくて。」


発動させるのに必要なのが場所なのか、魔力なのか。


「海底都市を回ってる間にその内分かるようになるんじゃない?」

「じゃあ、結界の近くにいきましょうか。」


俺は目白さんの手を取って結界の近くまで瞬間移動をした。

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