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第104話 海岸

翌日、俺は下校する前に理事長室に向かった。

理由はアルバートたちの調査の同行を許可してもらうためだ。


「こちらこそよろしくお願いします。」

「はい。」

「それでそのことなんですが、急で申し訳ないんですが出発が今夜になりまして。」

「分かりました。全員に伝えておきます。」


今朝、俺はアルバート達に声をかけてはいたものの夜ごろになるとは思わなかった。

俺は早足で理事長室を出てアルバート達を探した。


「グレイ。今ところで何してるんだ?」


呑気な声でアルバートが俺の後ろから声をかけてきた。


「出発が今夜に変更されたから準備をしておいてくれないか?」

「分かった。もしかして、ローズたちを探してるのか?」


俺がアルバートの周りを見回しているのを見て言った。


「それなら俺が伝えておくよ。グレイは家に帰ったらどうだ?」

「じゃあそうさせてもらうよ。」


そうアルバートの言葉に甘えて俺は家に一足早く帰った。








「それでは出発しましょうか。では乗ってください。」


理事長は馬車の扉を開いてそう言った。


「すごいよ。ジェイミー!」


中に入るやすぐにローズがそう子供のような声を上げていった。


「ローズ、入学試験の時乗ってきたんじゃないの?」


そんなローズの言葉にジェイミーは冷静に答えた。


「懐かしいな。」


俺も後に続いて馬車に乗った。

この馬車は原理が分かっていてもそれを飲み込むことができない。

馬車が広いのではなくて俺たちが小さくなるという事実は受け止め難い。

中にある座席に腰掛けてしばらくすると馬車は動き出した。


「どうしたんですか?」


理事長が俺の方を見て言ってきた。


「いや、この馬車は不思議だなと。」

「そうですか。入学試験の時も起用されているほどの機密情報なんですけどね。たった三日で見抜かれた時はもう驚きましたよ。」

「本当に色々なことがあったんだな。」


揺れ動く馬車の天井を見て俺は言った。

きっと、海底都市に行けば何かが分かるはず。

俺はそう感じていた。

海底都市にはまだ忘れているものがある。 

何ヶ月も海の中に沈んでいたとはいえまだ結界は多少は残ってはいたらしい。


「もう夜遅いので眠っていただいて結構ですよ。朝には着いてますから。」


その理事長の言葉に安心して俺は目を閉じた。








「グレイ様。着きましたよ。」


俺はマロンの言葉と共に肩を揺すられて目を覚ました。

馬車の扉を開けてみるとそこに見たことのない光景が広がっていた。


「ここは?」

「海底都市の最寄りの海岸ですよ。」


俺の後ろをついてきたマロンが言った。


「グレイ様たちを探すのにあのダンジョンの最奥に進んだんですよ。」

「そうだったのか。大変だったんだな。」

「いえ、グレイ様たちを見つけると思えば全く。」


頼もしい限りだなと俺は感じた。


「グレイ様。朝食の準備が整ったようですのでこちらへ。」


そう言ってマロンは先ほど紹介してくれたダンジョンの中へと入っていった。

入り口から十メートルも歩かないうちに横に空いている穴にマロンは曲がった。

曲がった先は意外にも明るくなっていた。


「こんなところに住居スペースを作ったんですか。」

「そうですね。入学試験の時のグレイたちを参考にして作りました。」


俺が辺りを見回しているとテーブルに座っている理事長が言った。

その空間には昨日、馬車に乗った人全員が揃っていた。

俺はそれを見て急いで席に着いた。


「ここの下から海底都市に通じる道がありますので後で全員で行きましょうか。」


テーブルに置かれた料理を切り分けながら理事長は話し始めた。


「一応、安全のために先に数名が調査に向かいました。もしもの時のために一人では歩かないようにして下さい。後は日没までには必ず帰ってきてください。」

「あの、何で日没までに帰らないと行けないんですか?」


理事長の言葉に疑問を持ったのかローズがそう聞いた。


「海底都市はまだ海の中です。暗くなっては光が届きませんので。」


安全面では細心の注意を払っているというわけか。


「ということでそれだけですので。もう時間が惜しいので行きましょうか。」


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