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第102話 宝の持ち腐れ


「ただいま。」


我が家の玄関のドアを開けた俺はそう挨拶をした。


「お帰りなさいませ。グレイ様。メジロ様。メイド長。」


ささっと屋敷にいたお手伝いさんが集まってそう言った。


「メイド長?」


俺がそう聞き返すと、マロンとノアは慌てて俺たちを出迎えたお手伝いさんの方へ駆け寄った。

何やら話をしているように見えた。


「長くなりそうだし俺は自室に戻るよ。」

「私もそうするわ。」


俺の言った後に続いて目白さんもそう言って四階へ移動した。


「やっと、我が家に着いた。」


自室のベッドに真っ先に寝転がってそう言った。


「その汚い服で寝転ばないで頂戴。私も寝るのよ。」


目白さんにそう注意を受けた俺は仕方なくベッドを降りた。

確かに考えてみれば外で汚した服のままベッドに乗るのは非常識なことだった。


「すみません。つい、疲れが溜まってて。ハハハ。」


そう笑って俺はこの何ともいえない空気感を誤魔化した。


「まあでも、私もその気持ち分からなくもないわ。」


荷物を下ろしながら目白さんはそう言った。


「目白さんも色々あったんですね。」

「そうね。色々とね。」


そう目白さんは俺の方を見て言った。









「心配したよー。」


翌日、学校帰りに俺の家にアルバートたちが来ていた。


「そんなに心配かけましたか?」

「そうに決まってるじゃない。だって八日よ。」


俺の無神経な反応にローズがそう訴えかけるように言った。


「俺も一週間もいなかったら流石に心配くらいするよ。」


アルバートもローズの意見に賛成するかのように言った。


「それで、どうだったの?」


騒がしさが一旦落ち着いた後、ジェイミーがそう聞いてきた。


「まあ、ダンジョンはクリアした。多分、力ももらった。」

「多分って何だよ。」


多分といった抽象的な表現にアルバートが突っ込んだ。


「俺も目白さんも何が使えるようになったのか分からないんだよ。」


俺の言葉に三人は横にいた目白さんの方を向いた。

目白さんも三人からの視線を感知したのかコクリと頷いた。


「それじゃあ、宝の持ち腐れってことじゃないの?」


ジェイミーが痛いところをついた。

確かにこのまま何も分からなければ宝の持ち腐れではある。

だが、前の時と同じようにピンチの場面で役立つのかもしれない。


「いずれ分かるようになるから。」


そう言って俺は話を終わらせた。







後日、俺は理事長室へ行き事後報告をした。


「まずは、グレイさん達の身が安全だっただけで良かったです。」


俺からの報告を聞き終えた理事長はそう言った。


「今後もしかすると今回のようなことが起きないとも言えません。」

「その時は、我々も可能な限り力を貸そう。ところで何のためにグレイさん達はダンジョンへ行くのですか?」


理事長の問いに俺は答えた。


「ミカエルに奪われたフィオナを取り返すためです。」


俺はキッパリとそう言った。


「じゃあつまり、グレイさん達はあの塔へ登ると?」

「はい。いつミカエルがまた降りてくるか分からないので。」

「それなら大丈夫ですよ。」


え?と思わず声を出してしまった俺だった。

理事長は止まらずに話を続けた。


「そもそも神は文献によると強大な力と力がぶつかることで降りてくるようなんです。だから、そんなことをしない限り降りてくることは無いと思います。」


そんなことについて書かれている文献があったのか。

理事長の話が本当ならばミカエルが降りてきた原因は恐らく俺と目白さんの戦いにある。

あの時生まれたこれまで見たことないほどの巨大な衝撃波。

それが原因でミカエルは地上に来たのだろうか。


「グレイさん達の行動で神が降りてくるかもしれないのでこれからはそんなことをするのは控えて下さいね。」


俺の行動一つで神が降りてくるかもしれないのか。


「ああ、でも決してダメというわけではありませんから。」

「なるほど。あの、その文献というのは……」

「これでしょう。どうぞ。」


俺の言葉を予想していたかのように机の引き出しから一冊の本が出てきた。


「ありがとうございます。」


その後、もう少しだけ話をしてから俺は理事長室を出た。

第九章 古代の迷宮編-完-

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