第9話 実技試験③
家に帰ってきたわけだが、夜ご飯を作らないといけない。
こういう時は、「グレイの3分クッキング」みたいな感じにしようか。
はい。今日は、「川魚のアクアパッツァ」を作っていきます。
まずフライパンを温めます。
このフライパンは、石を切り出して作ったもので、綺麗に殺菌も残さないよう処理したものだ。
オリーブ油とニンニクで香りを引き立たせる。
この間にフィオナにお願いをする。
「フィオナ。トマトとキノコとかの野菜類を4等分にしてくれ。貝類は、洗っておいてくれ。」
「兄さん。わかりました。」
理解が早くて助かるなぁ。
洗面台とかに水が通っているのは、先ほど魚を取った川の水を普通にここめで地下を通して引いただけだ。
結構疲れたのだが。
そこから水で一気に煮沸して氷で冷やして常温で蛇口から出てくる。
ここが一番疲れたかもな。
まあ、フィオナが、野菜を洗ったりしている間に俺は、魚にコショウのような調味料を振り少し放置しておく。
その間に残りの2尾を、火の上にかけて丸焼きにする。
「兄さん。野菜類を切り終わり、貝類も洗い終わりました。」
頼もしい言葉だな。
それじゃあ先ほどのフライパンにコショウを振って下準備をした魚をフライパンの上に置いて焼いていこう。
「フィオナ。丸焼きにしている魚を見ていてくれないか。」
「兄さん。任していてください。最高の料理を作ってみせます。」
それじゃあいよいよ魚をひっくり返すか。
ここが一番大切だ。魚
は崩れやすいので、崩さないようにそーっと持ち上げひっくり返す。
あとは、綺麗な水を入れてさっきフィオナが切ってくれた野菜を入れて、貝類も一緒に入れる。
あとは、煮込むだけだ。丸焼きにしていた魚もできたかどうか確認しに行く。
「フィオナさん。魚はいい感じに出来ましたか?」
俺が、フィオナに向けて聞く。フィオナは、こっちを向いて石で作った皿に魚を乗せて、
「はい。兄さん。完璧に出来ています。」
と言ってこっちに魚を見せてきた。
食べられそうだったので俺は、リビングに持って行くように指示する。
俺は、事前に干しておいた塩を取りに行く。
海水を蒸発して作った。
1回しかやってないから伯方のあの塩には、まだ程遠いが贅沢は言わない方が良い。
というわけで、これで「川魚のアクアパッツァ」の完成です。
食卓には、真ん中に大きなフライパンに乗ったアクアパッツァ。
小皿には川魚の丸焼きがある。
ビタミンが取れてヘルシーに見えるな。
で、アクアパッツァの横に先ほどの塩が置いてある。完璧だ。
「じゃあ、フィオナ。食べようか」
今は大体6時30分くらいか。
いい時間だな。
まずは、俺の目の前の小皿に置いてある川魚の丸焼きを食べようか。
黒色に焼かれた皮を開くと中から驚くべき白い色の肉が出てきた。
白く美しい。ここに塩をかけて俺は食べた。
非常にうまい。この焼き魚のほっこりする柔らかさと暖かさ。
素晴らしいな。
さて次は本日のメインディッシュ。
川魚のアクアパッツァだ。
中にある野菜と汁をとりフィオナと半分にした魚を皿に入れる。
口の中にまずは野菜を入れた。
野菜にも味が染みていて、かつ魚の出汁が染み込んでいる。
次に魚を食べる。うまいこと味が染みているな。
非常にうまい。
それしか言葉が出ない。
そんなことを思い俺とフィオナは、汁まで完食してしまった。
そして俺は、明日のことをフィオナに相談する。
「なあ、フィオナ。今日で1ポイントから6ポイントのものは、集まったわけだけど明日で大体全部集めようと思うんだけど、それでいいかな?獅子オオカミとかになると出現率がだいぶ低くなるけど明日1日朝から夕方まで使えばいけると思うんだけどいいかな?」
優しくフィオナに語りかける。フィオナは、こっちを向いて言った。
「はい。兄さん。明日で大体ではなく、全部集め終わりましょう!」
天使のような笑顔で俺に微笑んだ。前世では、考えられないほど目の前にいる女子が可愛く見える。
「じゃあ今日は早く風呂に入って早く寝ようか。」
俺はそう言って、席を立ち風呂場に向かった。
風呂場は、石を当たり前のようにくり抜いて作った。
水を満タンに入れると200リットル入るくらいの大きさだ。
前世では、15分くらいかかったけどこの世界は違う。
まず、水魔法で中に8割水を入れて、出すと同時に火魔法で熱を水に送り込み、38度くらいのお湯にする。
で温度を保つために、下に火魔法で火を炊いておく。
シャワーも同じ原理でそれを無人化させて簡易的にしたものを使う。
風呂を沸かした俺はリビングに行きフィオナに話しかける。
「フィオナ。お風呂沸いたから入っていいよ。」
優しく言葉をかける。するとフィオナは、うん、と言って歩いて行ったけどフィオナは扉の奥から俺を見る。
「兄さん。一緒にお風呂入らなくていいんですか?私はいいですよ。」
口から水が吹き出そうになった。8歳とはいえ、流石に女子と風呂には入らない。だから、フィオナにキッパリとこう言った。
「フィオナ。お風呂は、この年齢の人と一緒には入らないんだぞ。」
そう言ったら残念そうな顔をして、扉を閉めてお風呂に入った。
フィオナは出てきた後俺もフィオナの後にお風呂に入った。お風呂から出てきて、俺は言った。
「フィオナ。明日に備えてもう今日は寝よう。」
時間は9時だ。
いつもより少し早いが問題ないだろう。
そう思って俺は、ベッドに入る。
このベッドは学校から支給されたものだ。
正確にいえば、ベッドか敷布団か選べるようだった。
もっといえばいるかいらないかも選べた。大きさは縮小魔法をかけて渡された。
学校からは、返さなくて良いと言われたから置いてきていいだろう。
するとフィオナも驚くべきことに俺の入った布団の中に入ってきて、俺を抱きしめた。
「あのー。フィオナさん。あなたのベッドはあっちに準備してありますよ。」
俺は、置いていた方向に指を刺して俺は言った。
けどフィオナは、俺の体を抱きしめながら横になった俺の胸元くらいから俺を見上げて言った。
「兄さん。私は、将来兄さんのお嫁さんになるのですよ!これくらい普通です。」
嫁?ああそういえば、なんかフィオナが俺と結婚するとか言ってたな。その頃の記憶を思い出す。まぁいいだろう。
今日はとにかく早く寝て明日に備えるのが最優先だ。
「まぁ別にいいけど俺の睡眠を邪魔するなよ。」
「もちろんです。寝ている間に兄さんを襲おうなんて考えていませんよ」
絶対考えてたな。まぁそんなことを考えながら俺は眠りについた。
ー次の日ー
俺は、朝6時に起床した。
まず朝に起床したら、日光を浴びる。
そのためにまだ寝ているフィオナを起こさないように静かにベッドを出て、川の元に行き顔を洗う。
朝ごはんは、学校から支給された食事でも食べるかな、と考えた。
これは、学校が全員に縮小魔法をかけて渡してきたものだ。
でも1人3食しか支給されていないから慎重に使わないとな。家に戻って、フィオナを起こす。
「おい、フィオナ。朝だから起きろよ。」
「んん、わかりましたぁ。」
これは起きないなぁ、と思ったので、先に支給された用意を出す。中は、小さな丸いパン2つとマーガリンが1つだった。
マーガリンは、直径2センチで高さは5ミリくらいか。
まぁこれだけあれば十分だろう。
用意が終わると、フィオナが起きてきたので、早めにご飯を食べて身支度をして、家に岩を置いて外からバレないようにして、俺たちはリストのもの全てを集められるように森の中を歩き出した。
10分くらい歩くと獅子オオカミが、5匹の群れで現れた。獅子オオカミの対処は、アーシャに習った。こういうのは、電気系の魔法で対処すれば良いと習った。けど多分俺が放つと黒焦げになってしまうと思ったので、フィオナに任せた。
「フィオナ。電気系の魔法でできるだけ優しく撃ってくれ。」
そう言ったので、フィオナも優しく撃つだろう。昨日のゴブリン村の経験もあるだろうからな。
「わかりました。電気球!」
まぁレベル3だしいい感じの強さだった。
だから、オオカミは黒焦げになることもなくその場に倒れた。
俺とフィオナで、獅子オオカミの角と中の肉と毛皮後爪を回収した。
後に残ったものは焼き払った。
もちろん俺の魔法で。
間違えて森を燃やしそうになったけど。
やっぱりこの世界で魔法より難しいものはないな。
そう思って、今日という実技試験2日目が始まった。