表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/41

3


 「おーい!エレノア!」


 外に出るとヒロインの義理の弟、カイン・ガーランドが手を振りながら、こちらに駆け寄ってきた。彼は隠れ攻略キャラで、ヤンチャ系として公式に扱われていた。


 「待ってたんだぞ!早く行こう!」


 くせっ毛の金髪に碧眼を持つ彼はわたしの手首を引っ張り、馬車の中へと連れていった。



 馬車で連れて行かれた先はガーランド家の邸宅であった。乙女ゲームでも幼少期はいつもここの中庭にみんなで集まり、話をしたり、読書をしたり、たまには即興劇をもしたりしていたと話題に上がっていた。


 「やぁ、エレノア」

 そう挨拶してきたのは、現在婚約者、いずれそれも破棄されるであろう、ヘンリー王子。栗毛色の髪にそばかすが愛らしい。見た目からも優しそうな人であった。実際、公式からも「心優しい王子」として紹介されている。


 わたしはゲームの液晶越しではなく、なんの隔てもなくヘンリー王子を見れることに感動した。ヘンリー王子は息を呑むほどの美形だ。


 わたしはついつい見惚れてしまった。いけない、いけない。どうせ婚約破棄されるのだから、軽率にときめいてしまってはいけない。


 「ごきげんよう」


 愛らしい声が聞こえた。振り返ると目の前にはカナリア・ガーランドがそこにいた。金髪のウェーブヘアに緑の瞳がとても綺麗だ。色白の肌によく白のドレスが映えている。


 わたしがなるはずだった、カナリアを前になんだか苛つきの感情が止まらない。


 これはエレノア・フィツェーレの血のせいか、それともわたしの嫉妬からくる僻みだろうか。


 ともかく今のわたしは悪役令嬢などではないので、その苛つきは外には出さずに呑み込むことにした。


 「ごきげんよう」


 そうわたしは皆に返した。



 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ